サイバーマン 《原著 いーすとさん 》
《改題 サイバーウーマン》
「ヒヒヘヘヘヘッ! ウホッウホッ! さあ、今夜も児童ポルノを視聴してやるぜっ! あー、これって、マジ犯罪だよな。ガイコクじゃ、恵まれない美少女がこんなにいるんだなっ! 可哀想に……あんなことやこんなことまでされて……マジ最高! 変態バンザイ! 男の欲望の餌食になってくれてありがとう! 多分、この子たち、監禁されて、ヤク漬けで、大人になるまで生きてねえよなっ! マジ残酷で容赦ねえわ! 東欧って恐え〜!」
この世界の片隅で。
一人の下種が性犯罪の動画を手に入れようとしていた。
「アメリカじゃ、FBIが児童ポルノを観たヤツを捕まえに来る、て本当かなぁ。まさか、日本まで来ねえよなあ。ところで最近、やけにうるさく聞くサイバーウーマンの噂、あれ都市伝説だよな、大丈夫だよな。児童ポルノを見てると二人の美女に惨殺されるってやつ」
* * *
チントンシャン。
児童ポルノを観ると彼女たちが来るよ。
チントンシャン。
その動画が合図だよ。
チントンシャン。
それを観たが最後。
チントンシャン。
おまえは決して窓の外を見てはいけない。
チントンシャン。
ほら、おまえの……
* * *
「ウホッ! きたきたー! チェコの女の子! 超絶美少女が多いんだよなーっ! マジ色白くてなんでこんなに可愛いんだよ! 緊縛プレイで泣き叫ぶのがサイコー! ああ、俺もマジでこんなガイコクの女の子監禁してえっ! 好き放題にめちゃくちゃ虐めてみてえっ!……え、アレ?」
興奮していた男は突然、砂嵐になった画面に呆気にとられた。
「おい、どうしたんだよ! いいとこでお預けかよ! これから吊るすとこでなにやってんだよ!」
ブチ切れた男は床を踏み抜く勢いで悔しがって地団駄を踏む。
「おい! ……アレ?」
砂嵐が止み、突然画面が変わる。そして中央に一人の美女が立つ姿が映し出された。
「うわ、すっげー美女! なに、このオッパイ! 人間離れしてんな。えっ、これ、もしかして人間じゃなくてエルフなんじゃね? 脚長すぎだろ。耳、変だし。綺麗すぎて恐え」
その美女は驚異の10頭身であり、巻き毛のプラチナブランドで、紫の瞳をしていた。身体のラインは人間の範疇を超えており、神のような美しさだった。
「耳尖りすぎだろぉ。アレかな、CGかな」
女は露出の多い甲冑を着ており、メロンのようなふた山がその胸に存在している。艶めかしく妖しく、観るものの欲情を掻き立てる。
「ああ〜ヨロイ着せたまま、こんな女を後ろからヒイヒイ○してみてえっ! オッパイ揉みしだきてえっ!」
そんなことを言う男に画面の女がこっちを見て……嘘ではなく本当に男を見て、背中に手を回してゆっくりと差していた剣を抜いた。
そのまますらりと頭上に振りかざす。
「……っ、なんだよその剣ッ! ギャハハ! やっぱりアホなエロ動画だなっ! センスゼロだぜ!」
その剣の形を見て即座に男は腹を抱えて笑い嘲った。
そのとき、映像のエルフの口が開いた。
「……我の姿を見たものは何人たりとも許さぬ」
美貌のエルフは、はっきりと言ったのだ。
「幼くかよわき女を弄ぶ汚らわしき下種は、この世から消え去れ」
「え」
チントンシャン。
その動画が合図だよ。
チントンシャン。
それを観たが最後。
チントンシャン。
おまえは決して窓の外を見てはいけない。
チントンシャン。
男は背後の異様な気配に、ついに後ろの窓を振り返った。
「うわああああああっ!」
そこには、二人の美女エルフが窓にはりつくようにして男を見ていた。
一人は先ほどの映像の中の巻き毛のエルフ。
もう一人は同じくプラチナブロンドの直毛ロングヘアのエルフだ。
二人とも神神しいまでに美しく、よく似ており、まるで月の光から生まれ落ちた双子姫のようであった。
「姉上の姿を見たものは何人たりとも生かしておけぬ」
ストレートヘアのエルフが低く呟く。
「まっ、まさかっ、もしかしてこれがあの噂のサイバーウーマンっ!?……そっ、そんなマジでっ?」
チントンシャン。
その動画が合図だよ。
チントンシャン。
それを観たが最後。
チントンシャン。
おまえは決して窓の外を見てはいけない。
チントンシャン。
ほら、おまえの……
「女をいたぶる下種はこの世に生かしておけぬ」
「姉上。姉上の手を汚すまでもありませぬ。この虫ケラは私が」
氷のような冷徹な声でそう言い、ガラス一枚を隔てた向こうで、直毛の気高く美しきエルフは手に持った丸い円月刀を振り上げた。
「クズはクズにかえれ。クズが」
「うわああああああああああああああああ!」
チントンシャン。
その動画が合図だよ。
チントンシャン。
それを観たが最後。
チントンシャン。
おまえは決して窓の外を見てはいけない。
チントンシャン。
ほら、おまえの血で夜が染まるから。
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