第5話 部活動をお世話しよう2
明日には入学式があり新入生たちが登校してくるため在校生は休みになっているが、今の俺には様々な部活動の面倒を見るという仕事もあるため、もちろん新入生勧誘のために明日も学校に行く予定である。そしてどんな新入生が必要かも考えたいためこれからいくつかの部活に確認しに行くことにした。
とりあえず先ほど閉じたスケジュール帳通りなら、野球、弓道、ハンド行ってから、最後に美術部?美術部なんて書かれていただろうか?まあいい、まずはグラウンドに行こう。
「おーい源藤、ちょっといいか?」
野球部の練習しているグラウンドに来たが、一年のころ同じクラスだった源藤が近くにいたので声をかける。
「あ、キャプテン、三上来てくれましたよ。」
「そうかじゃあ俺と源藤は少し外すから、他の奴はそのまま練習を続けるように」
野球部のキャプテンが全体に向け号令をかけた後でこちらに向かってくる。
「わざわざありがとう、一応初めましてってことで俺は三年の水島だ。キャプテンを務めさせてもらってる。」
とてもさわやかで笑顔がまぶしいイケメンさんだ。さっきの指示伝達を見るにおそらく相当人望もあるのだろう。
「こちらこそよろしくお願いします。でも先に言っておきますけど俺が来たからって何でもできるわけじゃないですからね。ハンド部はあいつらが頑張った結果であって」
「ははっ、もちろんさ。でも俺たち野球部は毎年一回戦勝つのがやっと位のレベルで、でも部員にやる気がないわけじゃないから猫の手も借りたいと思って頼んだんだ。もし力を貸してくれるならお願いしたいんだけど。」
まずは俺についての認識を改めてもらわなければいけないと思いったが、やはりすばらしい人徳の持ち主だった。キャプテンの鏡のような人だ。
野球部といえば運動部の花形みたいなイメージを持つ人が多いが、この学校ではなぜかあまり盛んではない。そのため部員も思ったよりも増えずに2,3年生で12人とあまり数が多くない。
「それなら俺も頑張りたいと思います。夏の大会は勝てるようにしたいですね。」
「ありがとう。」
「それじゃあ早速なんですけど、どんな感じの一年生が必要なんですか?」
「まあ入ってくれるならだれでもって言いたいけど、やっぱり経験者が来てくれると嬉しいかな。」
まあ強い経験者は強豪校と呼ばれる高校へ行ってしまうだろうからあまり望めないだろうが。
とここで俺が一番最初に野球部に来た理由となる切り札をきる。
「実は俺の妹の情報で小学生のころにピッチャーやってて県代表にまでなったやつがいるらしくて、でもどこかを怪我しちゃってやめちゃったやつが入学するらしいんですけど、でもそいつ野球続ける気あんまりないそうなんですけど。」
「そうなのかい、野球続けられないほど大きな怪我だったのかな。」
「いえ、休み時間とかに軽くボール投げてる姿とかあったらしいんで動くことはできてるらしいんですけど。」
昨日の夜
「なあ木乃美ー、お前の学校からうちに入学するやつってどんな奴がいるかわかるか?」
「なんでそんなこと気にしてるの?なに、もしかして後輩女子でも狙ってるの?ダメだよお兄、来年私が入るまで我慢して。」
「いやそんなわけないだろ、いろんな部活の人に頼まれちゃって」
「えー、でも一個上なんてあんまり知らないし・・・、あぁでもなんか野球うまかったらしい人ならいるよ。」
「へぇ、どんな感じで」
「なんか友達が告白しようとしてたから少し調べたりしたことがあるんだけど、なんか小学生のころには県代表にまでなったみたい。でも怪我しちゃってもう部活はやってないとか・・・」
そんな会話をしたことが今に生きている。そしてなぜか木乃美にもリサーチ能力が引き継がれているらしい。
まあそんなわけでビックニュースとして伝えるべく野球部に寄ったのだ。
「なるほどね、でも経験者が来てくれるならこっちとしては嬉しいことこの上ないよ。」
「じゃあ俺の方から野球部はいってくれないか聞きに行きますね。」
スケジュール帳にメモして気持ちを入れる。気分はさながらスカウトマンだ。
運動部の奴らは基本的にノリで勧誘活動をしたり、体験してもらってからなんて受動的なタイプの部活が多いため、本人が最初からあきらめかけていると入ってこなかったりすることが多いのだ。
「それに今年はたぶん運動神経いいやつが多いと思いますよ。」
そうこれは半分以上核心を持って言えることだった。
「どうしてだい?」
「ハンド部のおかげですね、あれで一応全国出場なんでハンド部入りたいって目的で来るやつも多そうなんで。」
全国で名前を売れたのかどうかは怪しいが、学校のホームページや校門から見えるように堂々とした垂れ幕がかかっているため知っている人も多いだろう。
そのあとも少し話した後で最後に確認する。
「すみません、最後に何なんですけど、たぶんどの部に入っても活躍できるんじゃないかってやつがいて。それで俺野球部だけじゃなくてほかの部活からも同じ感じで相談受けてるので、そこは勧誘勝負ってことでお願いします。」
残念ながら野球部だけを贔屓にすることはできない。弱小野球部を救うなんて物語はよくあるけれど、ここはただの公立校でほとんどの部活が弱小に属しているだろう。まあだからこそ、俺なんかにでも手伝ってほしいって部活がたくさんあるわけで、
「もちろん、ありがとね、こっちでも勧誘の仕方とか工夫してみるようにするよ。今度からはほかに何かあったら俺に直接でもいいし、言動を通してでもいいから連絡して。」
大体時間にして30分ほどだろうか、まだほかの部もあるのでまずまずの時間で終わらせることができただろうか。まあ俺自体はただの帰宅部なのだが。
「それではまた。」
挨拶だけ済ませてほかの部へと向かう。
その後も弓道部とハンド部と似たような話し合いをして再び校舎に戻ってきた。まあハンド部は話し合いになんかならず、一が
「おう、お前に全部任せるよ、俺らは俺らでできることはしっかりやるからこれからもよろしくな。」
の一点張りだった。そのおかげもあって思っていたよりも早くに終わらせることができたのだが。
そして最後にあった美術部なのだが、いかんせん俺がメモった記憶がない。そもそも美術部なんて何を手伝うというのだろうか。
運動部のサポートは分かりやすいし、去年のハンド部で要領を得たのだけれど、文化部、特に美術になんてしっかり触れた機会もないので内容どうこうは手が出せないだろう。
美術室は校舎の三階にあり、その中でも一番奥に位置している。階段を上り終わったところであとは美術室まで一直線なのだがどうやらその美術室の前に誰かいるみたいだ。
いやでもこの学校であの金髪って一人しか・・・。
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第5話読んでいただきありがとうございます。
ちょっと文増えたのに全然ヒロイン出てこないやんけ!!
はい、おっしゃる通りです、ごめんなさい、次回から、次回からはしっかり出したいと思ってるのでよろしくデス。
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