第4話 転校生をお世話しよう?
「よし、それでは入ってきなさい。」
いつもとは違い少しざわざわいた教室が先生の一言で静寂に包まれる。
転校生はどうやら昨日の放課後に学校に着いたらしく、みどりが見たのもそのときだろう。だからすでに女子が来るということが広まってしまっており、男子の期待感が見なくてもわかるほどだ。みどりがかわいいというほどだからもうかわいいことは証明されているのだろう。
ガラガラ
ドアが開き、一人の少女が入ってくる。クラスの反応は何もなかった。結論、みんなが見惚れてしまうほどにかわいかった。
染めたものとは違うきれいな金髪に大きな碧眼は日本人のそれとは異なっている、しかし身長は一般に比べて低く、顔もまだ同級生よりも幼さを残していた。つまり外国人のきれいさと日本人のかわいらしさを掛け合わせたような、まさに最強である。
「美雲アンリです。エー、この前までアメリカにいました。二ホンに帰ってくるのは6年ぶりくらいで、まだカタコトになるトコもあるかもですが、これからヨロシクおねがいしマス。」
きっとまだ日本に戻ってきてから間もないのだろう、むしろカタコトなことで何人かの男子がにやにやしまくっている。さらに最後に照れたような顔で五人くらい男子が死んでしまったようだ。女子からもキャーキャー言われるような小さくてかわいいお姫様感が出まくっている。
「いろいろあって今日からの登校だ、それよりももうすぐ授業が始まるから質問とかは休み時間にするように。」
「えー」「そんな―」
教室のあちこちから残念そうにする声が飛び交う。
「あー、あと美雲は見てわかるかもしれないがハーフだ。金髪も碧眼も生まれつきのものだから、他のものは決してマネしないように。」
生活指導も務めているわがクラス担任の梅ちゃん先生こと梅沢先生が注意を促す。本人に梅ちゃん先生っていうと怒るんだけどね。
「じゃあ神田の席は出席番号順そのままでいいから、この列の一番後ろな。なんかわからないことあったら前の席の三上に頼むといい。あいつは、…まあなんでもやってくれるから。」
先生それは誉め言葉なんですよね、都合がいいやつだからって意味を含んでいるように聞こえたんですけど、考えすぎですよね、きっっと。
先生が出ていくと同時に美雲さんがこちらに向かってくる、いや、自分の席に向かっているだけなのだが、すれ違うクラスメイトにひとりひとり軽くお辞儀をしながらヨロシクと声をかけている。なんて優しい人なのだろう。そして俺の前まで来てから、
「美雲デス、わからないこといっぱいなのでヨロシクです。」
さっき先生から名指しされただけあって、しっかりあいさつされてしまった。やっぱり絶対いい人だ、俺の周りなんかは理不尽な奴ばかりでお礼さえたまにしか言わないやつらしかいないので落差が激しい。
挨拶1つで感動してしまった。
授業がすべて終わり、今日一日を通してわかったことは彼女はパーフェクトヒューマンだということだ。
まず頭がいい。今日は始めの授業ということもあって英語と数学、古文では確認テストのようなものが行われ、古文に関しては知識がないのでどうしようもなかったようだが、英語と数学はクラスで唯一の満点だった。かなりの難問も出したと授業の最初に注意があった数学で満点を取ったのだから相当なのだろう。先生が驚いていたし。
そしてもう一つ、こんな普通の公立校では目にしないようなお嬢様オーラが出ていた。言葉が多少拙いところがあっても一つ一つの動作に上品さがあり、でもそれでいて声がかけずらいなんてこともなく、休み時間にはクラスメイトだけでなく、他のクラスから遊びに来ていた人とも仲良くしゃべっているほどで、楽しく過ごしているように見えた。いや、今日一日ずーっと見てたわけではないから、決して。
けれど女子の大軍を目の前にしてしり込みしていた男子たちはきっとずっと見ていたのだろう、女子から軽蔑するような目線を向けられてるやつもいた。けれどそんな被害者が出てしまうほどに彼女の容姿と行動は目を引くものだった。
俺の普段から使っている人間観察スキルをフルに使った結果、彼女には何の助けもいらないのでは、というものになった。まあ困ったら助けてあげてなんて言葉をうのみにしていたけれど、本人別に何も困ってないみたいなので、俺は別の作業を始める。
放課後も20分ほど過ぎると、教室から大部分の人がいなくなってしまう。転校生はいまだに質問攻めを受けているが、残っているのは美雲さんを含め6,7人の女子だけだ。
最後にスケジュール帳を閉じて、自分もみんなと同じように教室を出ていく。
まあ何も手伝えることがないとないで、なんだかちょっぴり寂しくもなってしまったりもするのかもしれないな。
____________________________________________________________________
今回から簡単なあとがき書きたいと思います!
といわけでここまで全くラブコメ出来てないですけどまあこれからってことで
一話一話短く区切ってるんで許してください
まあここからってことで読んでくれると嬉しいです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます