第8話≪エルフの国へ≫

 それから数日。


「おお、忘れてた。自分のスキルがまだなんだか解ってねーじゃねーか。受付ぇ!受付ぇ!!」


「は、はい。レオン様、なんでしょうか?」


 ギルドの看板娘受付嬢がすっかりレオンの御用係となっていた。

 そんな様子を恨めしそうに周囲の冒険者は今日も睨んでいるが勿論、文句を付けられる人は居ない。


「す、スキルですか?それは……一体、どのようなものなのでしょうか?」


「……あん?」


「す、すみません……」


 もはや条件反射のようにとりあえず謝ってしまう癖がついている受付嬢。青年スタッフもそうかもしれない。


「能力は?なんかそういうのねぇの?勇者特有のもんなのか?」


「スターシャ様なら何かわかると思うんですが……お役に立てなくてすみません……。あ、あの、こちら申し付けられていたレオン様への依頼を二つ見繕いましたので、ご用意を……ひゃわっ!?」


 質問に答えられなかったという失態をごまかすために急いで他の話題にシフトさせたのだがレオンは座ったまま、立っている受付嬢の肩に手を回して自分の体に引き寄せ、受付嬢の耳に唇をくっつける様にして話し始める。


「ふぅー…。受付嬢だから許してやるよ。他の奴だったら殴り飛ばしてるからな?」


「ひあ…、ありがとう、ございます……」


 自分の女の様に自らの身体に凭れかからせ、耳へ生暖かい吐息を吹きかけて用件を告げるとおもちゃを扱う様に床へ突き放し転ばせて高らかに笑う。


「くははっ。依頼、早く持って来いよ」


「た、ただ今……」


 床に尻もちをつきながらも間髪入れずに返事をして立ち上がり、周囲の視線を感じながらカウンターの奥へとすっ飛んでいく。


 (うぅ……耳に息が……)

 あんな経験は初めてだと、受付嬢は生まれて初めて頬を染める。勿論乱暴にされて尻は痛いし周りの視線は恥ずかしいが、レオンの女の様に良いように扱われてあまり自分の女の部分は嫌がっているわけじゃない事を、受付嬢はまだ自覚していなかった。


 そんな女の想いは知らずにレオンは外を見上げて嘆息している。

「今日も晴れてんなぁ……今のうちは雨はめんどくせぇ」


「レオン様は雨はお嫌いですかぁ?」


 レオンは憲兵のクソ面を見て萎えたと言い出し、駆け出しはまだ使えない特別なギルド内の宿屋へ無理矢理泊まる日々を送っていた。勿論宿泊代は払っていない。

 ギシギシと軋む音とソニアの嬌声で、毎夜の当番であった青年スタッフは夜中眠ることができなかった。

 それ以来、青年スタッフのソニアを視る目がいやらしいものに。レオンを見る目が多少の羨望を含むものに変わってる。

 レオンとソニアはいつも通りのカウンターに一番近い丸テーブルに座っている。もはやそこに座る他の冒険者は居なくなっている。

 その近くを通るたびに青年スタッフは想いを馳せる。


 (あのソニアさんの鎖は奴隷なのかな……けど奴隷の紋章は無いみたいだし。レオン様の妻?娼婦?よく解らないけど、顔は見たことなくても身体は凹凸が凄い…。昨日、沢山喘いでたなぁ…他の宿泊客の苦情を収めるのに大変だったけど、抱かれてた女のひとが今日は平然とお話ししてるってちょっと興奮しないか…?)


 青年スタッフの妄想は止まらない。昨日からその事ばかりが頭を駆け巡っている。


「雨の日は一日中寝てる。たまに打たれたくなる時もあるが……適当にベッドでごろついてんのが一番よ」


「ならその時のために面白い話を用意しておかなければならないですねぇ…ふふ」


「ほう?つまんなかったら腹パンな、はははっ」


 そこへ受付嬢が駆け付ける。

 受付嬢を見る青年スタッフの眼もまた以前とは変わっていた。この前のレオンの身に凭れかからされているところを目撃してから受付嬢がヤられている妄想がとてもはかどってしまうのだ。

 青年スタッフは以前は顔しか見ていなかった受付嬢の尻や胸を頻繁に盗み見る様になり、そしてその視線に受付嬢は気づいていた。気づいて、嫌悪していた。

 こっそりちらちらと見て何のつもりなのだろうかと。嫌だなと思いつつ、無遠慮に嘗め回される様に見るレオンの視線も青年スタッフと同じように尻や胸を見ているのだがレオンの視線には何故か不快感が無いことを、特に不思議には思っていなかった。


「レオン様。依頼と報酬金のご用意ができました……んっ…失礼、いたします。これです…」


 受付嬢は近づくと抱き寄せられ、レオンの太ももの上に腰かけさせられる。その行動に多少困った様な顔をするも何か文句を言ったりして変に刺激することもないし、強く猛々しい雄の身体に座るのは特に嫌ではなかった。


「受付よぉ。周りの奴らが見てんぞ?」


 (レオン様はこうして意地悪な事を言う…。周りの、私に手を出すことができない弱い男の人に見せつけて楽しんでるんです。照れて顔が熱いですし視線は恥ずかしいですけど…)


 レオンの示威行動のようなものに受付嬢は最近よく巻き込まれていた。

 レオンに出会うまで、他の冒険者たちの事を弱いと思う事は無かったが、ここ数日のレオンの影響によりそういう暗い部分に無意識的に考えが及ぶようになっている。事実、レオンに手出しできる冒険者がほぼ居ないため弱い者たちであるのは確かだろうが…。


「あ、はは……恥ずかしいですね。それで…こちらが報酬金の銀貨2枚となります。それと、依頼二枚です」


 てきぱきと左から順にレオンの前に並べていく。勿論、レオンの食べ終えた皿をテーブルの端に重ねて片づけ、更に食べこぼしを持ってきた雑巾で拭くのも忘れない。

 レオンのために最近は濡れ雑巾を持って歩くのが習慣になっている。


「ソニア、金はお前が管理しろ。依頼の内容は受付、お前が説明しろ」


 我が物顔でギルドの雇用労働者である受付嬢に命令するレオン。その行動一つ一つが周りの苛々や不満を募らせる。しかしそれだけ雰囲気の悪いギルドになっても、他の冒険者が離れていくことはできない。実力面や金銭面、馴染み、など要因は多岐に渡る。


「それでは失礼いたしますねぇ」


 ひょい、と対面に座るソニアが手を伸ばして銀貨二枚を手に取りポケットの中の貨幣袋にしまい込む。


「では依頼の方ご説明させていただきますね?」


 頷くレオンの反応をしっかりと見届けてから太ももに乗せられたまま説明を始める。


「まず一つ目の依頼は教会が管理して居る墓地に発生したスケルトンやゾンビなどの討伐です。定期的に発生してしまうものなので今までも他の冒険者さんたちが何度も倒しています」


「ほうー…」


 あまり興味は無さそうに返事をするレオンは受付嬢の太ももに手を這わせて撫でながら、じーっと、気まずそうに顔を依頼用紙に向けて話している受付嬢の横顔を見つめている。


「それで、ですね……。次の依頼は少し難しいんですけど、最近この街の街道沿いに出没する野盗を取り締まる事です…あっ、ん…れ、レオン様…」


 説明を受ける間にレオンの手は太ももから腹を上り胸の下へと添えられ、揺らす様にたぷたぷと掌で胸を弄んでいた。

 流石に公衆の面前なのでやんわりとレオンの腕に手を添えて、腫物を扱う様にゆっくりと優しく胸から手を離させる。とても叩いて落とすなんてことはできない。


「そうだ。グレイスって冒険者が来たら俺の名前は言わずに用があるからギルドで待ってろって伝えとけ」


「…解りました」

 (グレイスさん、逃げたんだ……どうしよう。でもスタッフさんに任せておけば大丈夫、でしょうかね)


 青年スタッフからグレイスとレオンの関係は聞き及んでいる。そのため何が起こったのかは察しがつくが、レオンの言う通りにしたら必ずグレイスはぼこぼこにされるだろう。

 どうしたものかと悩み、青年スタッフに丸投げする事に決めた受付嬢は少し気が楽になった。


「結局スキルは解らずじまいか。まぁいいけどなぁ……大体察しがつく。ていうか説明は受けたような気がするしよぉ……。たしか勇者にしか使えない秘宝がなんとかかんとか……だったっけかぁ」


「そういえばレオンさんと出会った時、身体が全く動かなかったのにぃ、生ハメセックスした後は凄く身体が楽になってましたぁ。あれも勇者の能力なのでしょうかぁ?」


 (えっ!?な、生ハメっ!?言っちゃうんですか?ていうか何言ってるんですか!?こんな……大勢の冒険者さんがいるのに…!!大胆な女性なんですね、ソニアさん……!)

 自分の事の様にドキドキと落ち着きなくそわそわしてしまう。レオンにくっついているために余計に鼓動が鳴りやまない。自分もそういう眼で見られていたらどうしようかと。


「ああ、そういやそうだったなぁ。抵抗なかったからレイプしやすかったぞ」


「ちょ、ちょっ…えぇ!?ご、強姦…えっ?」


「うふふ、受付嬢さんにはぁ、まだ早い話みたいですねぇ」


 クスクス笑う様子のソニアを見て自分に余裕がないだけなのかと疑うが周囲の女性もレオンとソニアの会話に下を向いてもじもじと身動ぎしたり嫌悪感を感じて睨み付けたりしている。

 (やっぱりおかしいですよっ、大胆過ぎというか…無理矢理されたのに、今の関係はなんなんですか…!)

 受付嬢の疑問は尽きない。


「期待してたような無敵になりますみてーなスキルは無かったんだよなぁ。まぁいいわ、ソニア。まずは盗賊でも殺しに行くぞ」


「了解しましたぁ」

 返事と共にすぐに出立の準備を始めるソニア。レオンは受付嬢を傍に降ろして背筋を伸ばす。


「あーー…身体バキバキだな。帰ったらマッサージでもやるかぁ……」


「レオン様、大変な事多いですもんね。流石勇者様です」

 その内容は命令を下したり、毎晩情事に勤しんだりだけなのだが。


 最近受付嬢は持ち上げるのが手慣れてきていた。きっとそのマッサージもソニアがするんだろうなぁと思いながら。


「ソニアは街道までの道しってんだろ?なら今回は地図はいらねーな」


  それだけ言うと依頼書を二枚ポケットへ雑に突っ込んで歩き出す。


「いってらっしゃいませー…」


 冒険者にそんなことを言うのは、受付嬢になって初めての経験だった。




――街から伸びる草原を通る街道。


「草原もちょっとずれればこんな街道があったんだなぁ…最初は気づかなかったが」


「草も生えていて解りづらいですものねぇ…」


「そういやお前には草が生えてなかったなぁ…くく」


「あら…レオン様ったらぁ…っ」


 何のことかときょとんとレオンを見るソニアだがその視線が自身の股間に注がれているのを見て何の比喩かと勘づくと頬を染めて身動ぎする。勿論レオンに可愛く見られるため甘えた様に身をくねらせている。


「つうか盗賊って普段どこにいんだよ?今も誰か襲ってんのか?それとも潜伏してんのか?」


「地道に歩いてこの付近を捜してみましょうかぁ…?」


 その二人の耳にカァンと金属音が届く。音は断続的に続き、聞きなれたレオンにはそれがすぐに剣が交差する音だと解る。ソニアにもなんとなく察しがついたようでレオンの方を見上げている。


「まさか獲物の横取りじゃねーだろうな…」


 レオンに静かな怒気が宿る。顔が険しく、より獅子のように獣らしい顔になっていく。

 傍目に見ればとても受け付けない、野性的な気持ちの悪い顔かもしれない。いわゆるキモ面が更に顔を歪めているのだから余計にキモい。

 しかしその顔を見つめるソニアは愛おしそうにうっとりと見つめている。

 女性ならばその容姿から忌避の感情を浮かべる者が大半だろうが、既にソニアはレオンに心も体もほだされてしまっている。その醜い顔ですら男らしい恰好のいい顔としてしか見れていない。


「行くぞぉお!!」


 レオンは張り切る。そういえば今回の依頼の報酬金に目を通していなかったがそんなことは関係ない。受付嬢がおすすめして持ってきたのだから大金をゲットできるだろうと、勇んで飛び込んでいく。

 その先でレオンが見たものは……。



「貴様ら、私を誰だか知らんのか?」


 そんな台詞と共に盗賊達を一刀両断する、緑色の服を身に纏い黒いマントをひるがえして剣を華麗に振るう。肩上までの金髪。腰にはポーチや短剣などを指している。細身だがしっかりと肉のついた引き締まった身体が鎧を着ていない装備のためによく解る。

 胸はしっかりと谷間ができるほど膨らんでいて、服が戦闘用のためか胸が崩れないように動かなく固定されている。

 足には茶色の革のブーツを履いていて手にも同じような長手袋をしている。くるくると身を回しながら切り付けるたびに白い布地が淵についた緑色のスカートが舞っている。

 翡翠の切れ長で目の端が少し吊り上がっている瞳はしっかりと敵を見据えていて、男性の盗賊達と比べても身長が高い方である。それでもレオンより少し下程度だが…。


「こいつ、ただのエルフじゃねぇ!!」


 そう、その女の特徴は上に長く尖っている耳。美しく剣を操り盗賊を屠っていくのはエルフの女剣士。


「エルフ国随一の剣技を誇る、護衛騎士団副隊長。我が名はザバーニャイーグル!」


 名乗りが終わるころには盗賊は全員が地に伏していた。



「なんだありゃ」

 ザバーニャの剣技を見たレオンは距離を空けて警戒している。盗賊相手では完全には解らないが相当な剣の使いてであることが見て取れた。

 皮肉にも元所属していた傭兵団の団長と特徴が酷似していて鼻につく。


「あれは……エルフ国の王の護衛隊の副隊長ですぅ。ほとんど一番に近い剣の実力をもっているそうですよ?」


「お前を連れ戻しに来たんだろうなぁ…。末端とか言ってたが気に入られてんじゃねーのか?」


「いえ……。末端と言えど肩書は姫ですからぁ。誰もが知る国の姫がさらわれたまま……まぁ勇者様と旅と言っても急でしたからぁ、村の者が報告したんでしょうね。そのままでは威信にかかわると思ったからだと思いますぅ。でもザバーニャを使ってくるなんてよっぽど本気で取り戻しに来たんですねぇ」


 いつも通りのレオン用の媚び媚び口調だがソニアは内心焦っていた。どうしたらあの追ってから逃げ切ることができるだろうかと。捕まったら必ず連れ戻されるだろう。

 勇者と言えど、エルフを仲間にする必要はない。大義名分も無いのでは一国家の意見をはねのけることなどできない。

 なんとかうまい言い訳は無いかとソニアは必死に頭を働かせるが……。



「おうおう。人の獲物に何してくれてんだぁ?ああ!!?」


 レオンはそんなソニアを置いて一人ザバーニャにメンチを切っていた。


「レオン様!?」


 慌てて駆け寄るソニアに気づいたザバーニャと、その背後の護衛騎士10人程度は、乗ってきたのであろう馬車の御者台に居た騎士も含めて全員が平伏してソニアの前にひざまずく。


 口火を切るのは隊長であるザバーニャだ。

「話は聞いている。勇者レオン殿とお見受けするが、合っているかな?」


「ああ、その通りだ」


「エルフの村の一件はとても助かった。礼を言おう。そして今まで我が国の姫がご迷惑をおかけしたようだ。我らはソニア姫を迎えに遣わされた者。いままで姫の身柄を預かっていてもらった事も重ねて感謝する」


「別に構わねぇ。ところで…エルフの国は勇者に協力する気はあんのか?」


「エルフだけではなく、歴代の勇者たちに協力をしなかった国は殆どないだろう。今代の勇者であるレオン殿にも是非、我が国の支援を受けて頂きたい。そのために大きな馬車を用意してきたのだ。今から我らと共にエルフ国へ向かう事、同意してもらえるだろうか?」


 (なんだ、無理矢理俺から引き離そうってわけじゃねーのか。なら都合がいいなぁ……)


「おう、勿論だ。それとソニアの首についてんのが鉄製でな。とれねーんだわ。それも頼むぞ」


「勿論だ。奴隷商に連れていかれていたら何をされていたかわかったものではない…。とても感謝している……。ああ、少し、ソニア姫と二人で話をしてもいいだろうか?勇者殿には先に馬車に乗っていてもらいたいのだが…」


「ああ、構わねぇ…」


 ソニアに目で合図するとすぐに馬車に乗り込むレオン。そこらの一般人より鍛えた体であるレオンが乗るとぎしぎしと動いたが上質なものなのだろう。すぐに揺れはおさまり特に壊れることも無かった。

 その様子を見てザバーニャはソニアを木陰まで連れて行き、話を始める。


「ソニア姫……。とても心配したのだぞ?なぜすぐに王国に戻らなかった。あれだけの事があって村もすぐにたってしまったなど、どれだけ国王が心配していたか……」


「ザバーニャ。貴方にはそういう事情は分かっているでしょ?わざわざ説明させないでくださいねぇ。本当に心配なら末端だからという理由でただの村に送ったりなどしませんよぉ」


「……ソニア姫?暫く合わない間に話し方が変わったか…?」


「そこは気にしないでください」

 ソニアはレオンに元の口調よりお前の顔にはそっちの方が似合ってると言われてからずっとこの話し方のままでいる。


「そうか……。それと村の者から不穏な話も聞いた。今代の勇者は勇者らしからぬ行動が多く、ソニア姫までも手足のようにこき使っていると…」


 今までの凛々しい表情から一転。心配するように眉尻を下げてソニアを見つめるザバーニャ。


「そんなことは御座いません。村の人たちも混乱していましたからぁ…」


「嘘は……無いな。それなら構わない…。だが勇者殿はしっかりした鎧を着ていたがソニア姫は、破れたドレスのままか…?」

 ソニアは心底、それが自分の役目だと認識しているし辛く苦しいとは思っていない。だから嘘を見ぬく武人の眼程度では何も見抜けないのだ。


「ザバーニャ。心配はわかりますけどぉ、いらぬ心配だと解ってくださいねぇ?この服はただ単にレオン様も私もお金がないからというだけですよぉ」

 いい加減、自分の男を疑う女がうっとおしくなってくる。自分たちの方が戦力が上ならすぐさま潰してやるのに…とレオンの暴力思考がどんどんソニアにも移ってきていた。


「そうか……。ならば良い。先入観や噂でものをいうべきではないからな」


「先入観?レオン様を見て何か感じられることが?」


「……そうだな。単純に容姿が醜い。野生のモンスターみたいではないか。それと立ち居ぶるまいが野盗の様な裏の住人と同じだぞ。あれでは勇者ではなく荒くれものだ……」


「ザバーニャ。レオン様を見てどのような感想を抱こうがあなたの勝手ですけどぉ。それを態度や言葉に出したりしたら怒りますからねぇ…?」

 その醜い野生のモンスターと毎日濃厚接吻と身体逢瀬を重ねているのだから。


「……そこまで言うのならわかった。少しでも付き合いのあるソニア姫だから解る良さがあるのだろう…」


 ようやく安心した笑みをザバーニャが見せる。それに対してソニアもにっこりと微笑み二人は馬車へと戻っていった。


 (最初に教えられたレオン様の良さはおちんぽですけれど……うふふ)


 レオンとソニアと騎士団一向はその行く先をエルフ国へと変更し、進むこととなる。

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