　前日体調が悪くて早退したノリちゃん。風邪だったらしい。

　翌日出勤してきて、「声がガラガラなんですよ」とヘリウムガスを吸い込んだみたいな声で言ってきた。「でも、これでもマシになったんです。きのうは声が出なかったんですから」

雲江「すごい声だね。ねえ、平泉成の声真似してよ」

ノリ「だれですか、それ？」

雲江「平泉成を知らないの？」

ノリ「何に出ている人ですか？」

雲江「何にでてるって、言われてもなぁ」

Ｂ店長「あれに出てたじゃない！　橋に閉じ込められるとかなんとかのっ！」

雲江「いや、『踊る！　大捜査線』には出てないでしょ」

（※註　「レインボーブリッジ、封鎖できません」と言いたいらしい）

Ｂ店長「出てたわよ！　署長とかで！」

　たぶん誰かと勘違いしている。

　で、翌日出勤したノリちゃんは、家で平泉成を検索してきたみたいで、

ノリ「知ってました。あの人ですね」

雲江「じゃあ、声真似してよ」

ノリ「あんな声でません」

　不機嫌そうだった。

　でも、その声、かなり近いんですけど。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい