第18話 返事しないのよぉ


 もう何年か前になる。


 パートで、クドーさん(仮名)という女性がいた。

 茶髪ロング、スレンダーのちょい美人。人妻で、なんでも当人曰く、「離婚したい」とか。



 で、このクドーさんが退社して、一年近く経ってから、同じく人妻のハラ美さんがきた。


 このハラ美さんは、眼鏡をかけた元ピアノ教師で、一見真面目そうだが実は肉食系のキャラ。


雲江「旦那さんと、どういうところで知り合ったの? SNSとか?」


 冗談半分で雑談したら、


ハラ美「いえ、SNSで知り合ったのは元カレで、旦那とは親の紹介です」


 といった具合に訊かれてもいない過去の男性の話をぺらぺらしゃべる人だ。


 で、このハラ美さんと、前述のクドーさん、共通点といえば人妻だけで、タイプはちがう。つまり似ても似つかない。


 だが、どうやらB店長の中ではキャラが被るらしく、ハラ美さんのことをクドーさんと間違えて呼ぶことが多かった。



B店長「クドーさん!」


雲江「ハラ美さんです」




 何日かして、B店長が悲しそうな顔をして、つぶやいていた。


B店長「クドーさんって呼んでも、返事しないで無視されるのよ……」


雲江「そりゃ、そーだ」



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