本エッセイは、プロのシナリオライターが日々、実践している知識と経験の糧を余すことなく伝えようとしている意欲作です。その中で筆者が熱をもって伝えようとしている、『組み上がったプロット通りに書く』ことがプロとして大事な要件である。という指摘は、多くの作家志望者やシナリオライターを目指す人たちへの貴重なアドバイスとなっています。
それは、行先も途中のルートも初めから決められているトロッコに乗り込んだ状況で、いかに場面を面白く盛り上げて魅せるのか? その手法と手腕を有名な映画のワンシーンをひとコマごと、つぶさに解説して見せるような実に丁寧な内容です。
昨今のWEB小説がある種、更新ごとに物語の展開が変転する、「ひとつ先が読めない感覚」で読者を惹きつけているのとは反対に、プロとは『練り上げたプロットと演出』によって、読み手を引っ張っていくのだという矜持をうかがえます。
『物語』で生きている人間が、その人生で磨き上げた『考える』を、ぜひお読みください。