第47話 「オチ」について(情報量の操作)

 お久しぶりです。花咲樹木です。

 こんな更新の遅いページに目を通してくださり、誠に有り難うございます。


 ……えっと、前の更新はいつ、だっけ……?




 よし、見なかったことにしましょう。

(向き合いたくない現実からは目を背けるのです)


 それでは気を取り直して。

 今回は「オチ」というものについて、花咲なりに考えた内容を掘り下げていきたいと思います。

 お付き合いいただけると幸いです!


 ――と始めつつも、まずはコレを言わせてください。


 21年7月21日発売予定のSRPGゲーム

『天結いラビリンスマイスター』のマスターアップ、無事に完了できました!


 楽しみにお待ちくださってくれていた方、延期してしまい申し訳ありませんでした。

 もう心配おかけする事はありません。今度こそ発表した予定通りに発売されます。


 ……うぅ、ようやく、一区切り付きました……(*'ω'*)


 今回は弊社のゲームブランドでは珍しく「続きもの」でして、前作のキャラクター、ストーリーを引き継ぎつつ、企画開始から今に至るまで割と色々ありました。

 そのせいではないと言い切れない部分がありつつも、花咲は物理的にも精神的にも激しく消耗してしまい、体調面でも不安を抱え、さらに追い込みのようにプライベートな案件でも時間に追われ、かなりションボリしてました。


 少しずつ回復して、このエッセイを執筆しようと踏み込める状態になれたので、今ここに投稿させていただいております。


 クリアまでに数十時間かかること間違いなしの『天結いラビリンスマイスター』

 ぜひぜびお楽しみいただけると嬉しいです!!


 そして、プライベートでも頑張っていた事も、実はゲームに関する情報になります。

 まだ情報解禁されていないので詳しくは言えないのですが、今年中に情報公開、発売まで持っていけると嬉しいなぁ、という状態です。

 こちらの案件も、きっと喜んでいただけるはず……!(*^^*)



 それでは今度こそ今回の項目である「オチ」について、掘り下げていきます!


 まず「オチ」とは何か? という事から始めましょう。

 調べると色々な意味があったのですが、ここでは言うのは物語、ストーリーの「結末」の事を指しています。


 結末、その物語をどう決着つけるか。

 長編でも、短編でも、続きものでも単発のストーリーでも、物語には必ずどこかで「区切り」が付きます。


 その区切りを、読んでくださった方にどう提示するか。

 どのように決着を付け、どのような読後感を伝え、どのような物語として締めるのか、という最後の「情報」の事を、花咲は「オチ」だと考えております。


 情報という要素です。


 オチとは、最後に伝える「情報の提示」をどれにするか、どう区切りを付けるか、という大事な工夫部分なのです。


 なぜ大事なのかというのは説明しなくてもお伝えできていると思われます。


 オチによって、その物語の評価の大部分が定まってしまうからです。


 つまりオチで躓いていたら、その物語は自分が思う以上の評価を貰えない可能性が高いのです……。

(今回の項目は、躓いているかどうか、と判断をする為の考え方の材料だと思ってもいいかもしれません)


 ……なんでしょうね。この、自分で書いていて、自分を追い詰めている感……。


 冒頭で自身が本編プロット作成を手がけたゲームの名前を出しておいて、そのオチが躓いてしまっていたら、これから書く内容になんの説得力もないという崖っぷち加減。


 本来なら、こうして偉そうに講釈できるほど実力がないのは分かっているのですが、それでも立場故に「分からない」と言えない状況があったのです。


 今回なぜ、この項目を掘り下げようと決めたかと言うとですね。

 同僚であり後輩であり、ライター活動を始めてから初めての部下でもあるライターの方と仕事をしている時にされた「質問」がきっかけなのです。


「オチって何ですか?」



 ……この、根源に迫る問いかけよ……。

 その場はまあ、何とか自分なりに解説して事なきを得たのですが、改めて考えてみると、とても奥が深い項目だなと思ってしまいまして。


 そうして考えてみて、自分の中で出た結論が「オチとは情報量の操作である」というものになります。


 さて、いざその結論の内訳をば。


 一度でも物語を書いた事のある方や、「どういう物語なのか」を意識しながら本や映画、ドラマやゲームを見てみた事のある方は

「物語はいくつかの大きな要素に分かれている」と感じたことがあるのではないでしょうか。


 いえ、こんな堅苦しい言い回しだと伝わりづらいですね。


 上記で言った「大きな要素」とは、物語内で提示される「問題」の事を指しています。

(詳しくは 20:「ストーリー」について①(問題と解決) という項目にて解説しております)


 世にあるほとんどの物語は、その区切りの中で「提示された問題をどう解決するか」を主軸にストーリーを構築しているのです。

(一冊の本でも、映画でも、長編ドラマでも、漫画でも、ゲームでもです)


「問題」の中身は物語によって様々です。


・登場人物が困っていること、悩んでいること(恋愛などもこれ)

・状況の変化によって降りかかる難題(ゾンビに襲われた、異世界に転生した)

・主人公が生まれる前から続いている世界の謎や命題(ずっと終わらない戦争など)

・登場人物の憧れや夢の結末(〇〇になりたい、〇〇を叶えたい とか)

・作者が考えるテーマに沿った社会問題(世界がこうだったらいいのに)


 それが精神的なものでも物理的なものでも、物語とはまず状況の変化や登場人物の心理描写により「問題が発生」し、それをどう解決するかを追っていくのです。


 その問題がいくつなのか、どういう内容なのか、どう解決するのか、によってストーリーの作り方の難しさが変わっていきます。


 そして、この項目でいう「オチ」とは、物語の「最後に提示する問題の解決方法」のことを指しております。


「提示した情報の焦点はどこか」によって、その話にオチはあるか、オチは成立しているか、それはテーマに沿った表現になっているのか、という形に掘り下げる事が出来ます。


 堅苦しい言い回しだと伝わりづらいと言いつつも、結局は堅苦しい言い回しになってしまっている……。申し訳ありません。


 例をあげると

 花咲が当サイトに投稿した物語「貴方の願いを叶えましょう。ただし貴方の夢は叶いません。」で提示された問題は


・問題①「主人公が求める最強という道の悩み」

 解決方法――「女の子の行動により、強さとは精神的なものだと感じ取る」


・問題②「女の子の求める願いと悩んでいる事情」

 解決方法――「自分の為にと身を差し出そうとする二人を止め、村の人達とも仲良くする」

(仲良くなれば精霊術を使わない環境も作れる可能性大)


・問題③「樹精霊によって困っていた村の人達」

 解決方法――「樹精霊に対する行動により、解決策が見えた」


 上記の「3つ」になっております。

 その上で、物語の最後に持ってきている問題は「①」の「主人公が求める最強という道の悩み」になります。


 それが面白いか、解決しているかは、読んだ方によって様々な解釈があります。


 ただ作者としては、この物語のオチ、決着、伝えたい事はコレなのだ、という考えになった、というものになるのです。


 ……なんとなーく、伝えたい事が伝わってきたでしょうか。


 物語を執筆し始める時に「オチ(問題と解決方法)」が考えついていれば、それに越したことはありません。


 花咲は物語を逆算で作っていくタイプなので、オチの想定がないままに書き始めることはほぼありませんが……


「どういうオチにするか」を考えていないままに執筆を始めることも、ままあると思われます。

(仕事で書くときは、執筆前にプロット作成と提出があるので、考えていない? 考えてから書きなさい、となるので少し状況は違ってきますが)


 そういう時にどうするのか

 どういう「オチ」にすれば、物語に決着がつくのか


 そう考える時の判断材料にしていただければ、とこの項目を掘り下げます。


 結論!!


「オチ」とは、物語の「最後に提示する問題の解決方法」である――


 だからこそオチが思いついていない時は、自分の物語の中にある「未決着の問題」を見つけ出すか、作り出し、それを「最後に持ってきて解決」させれば良い!


 どうでしょうか。

 道中、堅苦しい言い回しになってしまいましたが、最後はとっても簡単な考え方になっております。


 どんな物語でも、山あり谷あり、書いていれば「色んな問題」が発生し、それに登場人物がどう向き合うのかによって展開が進んでいきます。


 その中に、「まだ解決してない」「なんか深そうなテーマに絡んでいる」問題があれば、それはとってもオチに向いています。


 日常ものだと「モテない→恋人ができた」「友達がいない→友達ができた」でも良いですし

 転生ファンタジーものだと「地球に戻る方法が見つかったけど帰らない」や「異世界でハーレムが出来ました」「主人公の活躍によってその異世界が良い方向にむかった」等でもオチとして成立しているでしょう。


 大事なのは、その「解決方法」を提示する前、物語のどこかで「それを問題として提示する」という事なのです。


 主人公に「くっそおぉぉ、モテたいぜぇ!」と叫ばせても良いです

 直接的でも間接的にでも、読んでくださっている方に「ああ、この物語はコレを掘り下げていくんだ」と思われる事が出来たら、それが問題として認識されます。


 という訳で、今回の項目である「オチ(情報量の操作)」でした!

 少しでも物語の作り方に悩んでいる方が、こう考えればいいのかとなるきっかけになれれば幸いです。


 ではでは最後に、最近読んで「これはオチに辿り着くまでの構成と問題の提示が素晴らしい」と感じた作品の紹介をさせてください!


 それは――城平京 先生 著作の

「雨の日も神様と相撲を」という作品になります!


 小説ももちろんですが、漫画も素晴らしい出来でした。

(勉強にと読み進めてくださる方は、両方を読み、小説の文章がどう漫画として表現されているかに注目してみると、文章の表現とは、というイメージが深まるかもしれません)


■あらすじ


親を突然の事故で亡くした中学生・逢沢文季。親戚に引き取られ暮らすことになった村で彼が体験したのは、二本足で立ち、相撲を取るカエル達との遭遇、林に捨てられたトランク詰めの死体の謎解き、そして、オートバイを片手で軽く持ち上げる不思議な少女・遠泉真夏との日々だった――『虚構推理』城平京がおくる[青春×神事×ミステリ]、はじまりはじまり。



 この作品内で提示される問題は、とても分かりやすく伝わってきており


「主人公が抱える相撲への想い」(体格に恵まれなかった)

「引っ越した村の中で起こっている、カエルの神様が困っていること」(カエル同士の相撲勝負の行く末)

「引っ越しと同時期に起こった殺人事件の犯人と動機」


 この3つが主軸となっております。

 それをどう解決するか、主人公がどういう行動を取るかをエンタメとして表現しつつ、最後に上記の3つ以外の「問題」が解決される事で、物語にオチがつくのです。

※実はその「4つ目の問題」が、物語の裏の主軸でもあった


 そしてその問題とは、読者ならばすぐに気がつく事であり、読んでいるうちにモヤモヤしている事でもあり、それが最後で見事に解決を見せるのでした。


 もう、本当に……!

 この作品は「物語の作り方」としてお手本のような、教科書のような見事さであり、読んでいるうちに、あまりの素晴らしさに感動してしまった程です。


 いつか花咲も、こんな物語を書いてみたいと感じたくらいに、オススメしたい作品です!


「オチ」とはどういうものか

「オチ」をどう表現すれば物語として良くなるんだろう


 もし、そうお悩みの方がいましたら、ぜひぜひこの作品を読んでみてくださると、何かが掴めるかもしれません。


 それでは今回はこの辺で!

 また何か書き綴ねたい項目が見つかった際、更新させていただきます。

 最後まで読み進めてくださり、有り難うございました!

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