第46話 「上達」と「努力」をもっと掘り下げる(自己分析と構造解析の方法)

 今回は当エッセイの最初辺りで記した、「自己分析」と「構造解析」というものを、もう少し掘り下げてみようと思います。


 いやはや、こんなエッセイでも最新話を更新すると


 どれだけの人が読んでくれただろう?

 感想とか読んでくださった方からの反応はあるかな


 とそわそわワクワクするものですね。

(あ、エッセイというジャンルや、内容を卑下しているのではなく、いつか夢見た「書籍化」という道に繋がらないだろうな、という感覚になるのです)


 毎回の事ながら、自分が「投稿サイト」に参加している実感を感じられる、この更新した直後のワクワク感は良いものだなと思ってしまいます。

 現状の状態だとランキングに入るのは難しいと分かっていつつも、どこか心が弾みます。


 こういう時、創作活動ってやっぱり楽しいよなぁと思いつつ、しかし本格的な小説を書こうとすると大変な労力がかかるので踏み出しにくいな、とも思ってしまったり。

(仮にも創作エッセイを書く駆け出しプロが言っていい事なのでしょうかコレは)


 思い返してみれば……。


 花咲は勉学的な意味での「勉強」が大嫌いだった類の不真面目学生だったのですが、


 それでも「テスト」と「テストの結果を見る」という行事は好きだったな、毎回ワクワクしていたな、と思います。


 たとえ結果が悪くても、現状の立ち位置を知られるという行為自体に面白さを感じていたのかもしれませんね。

 学校を卒業し、社会人という大人になった今でも、その感覚を忘れていないのでしょう。


 ましてや今いるこの場は、自分だけじゃなく読み手の反応までつぶさに分かる「創作活動」なのですから、楽しいのも当然なのです。うんうん。


 …………。


 創作活動を楽しみたいなら物語を書けよ、という心の声が聞こえぬよう耳を塞ぎつつ……。


 おほん(誤魔化しの咳払い)


 閑話休題


 そんな訳で今回は、花咲が日々行っている「自己分析」、「構造解析」と称している「思考パターン」を、物語調にして表現したいと思っています。

 理由としては、更新直後のワクワク感から、「エッセイの最初の方ってどんな事を書いていたかな」と読み返していた時に、この項目はもう少し詳しく掘り下げられるかもしれない、と考えついたからになります。


 という訳で、さっそくいってみましょう!

(この機会に前からやってみたかった選択肢表現を試しています。選んだ番号に沿って読み進めてくださるとうれしいです)


■「上達」と「努力」説明物語


●共通

「あの、先輩ってたしか『ネット投稿サイト』で小説を書いてましたよね? この前ランキングに名前が載ってて凄いなって」

「よく知っているね。最近は自分でも納得のいく物語が作れて楽しいよ」


「…………」

「モジモジしてどうしたの。顔も赤いし……、これはもしかして告白される流れかな?」

「ち、違います。僕たち男性同士じゃないですか、そんなこと現実に有り得ないですよ」

「それは考え方が狭いと言えるね。近年では恋愛は同性同士でも成り立つと認められてきている、現に俺も君のことを――」

「先輩も? ……僕のことを?」

「いや、何でもない。話が予想外に逸れてしまった、どうか気にしないで欲しい。えっと、なんだっけ」


「……あの、それで相談があるんですけど。実は僕も最近、小説を投稿してみているんです」

「おお、そうなんだ。相談ってなんだろう?」

「…………うぅ」

「またモジモジしているね。最初にアドバイスしておくと、そういう仕草はとても萌えるから気を付けた方がいい」

「? は、はい……それで、ですね」

「うん、俺は君のどんな醜い欲望でも受け止めてみせるよ」

「ありがとうございます! えっと、小説を書くこと自体は楽しいんです。でも投稿している作品があまり評価されなくて……どうすれば読者から評価されるようになれますか?」

「ふむ……、まず君は、どんなジャンルを書きたいの?」



ルート①

「剣と魔法の世界を描きたいんです、ファンタジー小説が好きだから!」


ルート②

「ジャンルは問わないんです。とにかく評価されたくて、売れるものが書きたいんです!」



ルート①

「なるほど……、どうして剣と魔法の世界が面白いと思ったの?」

「え……? 面白いと思う事に理由なんてあるんですか?」

「ただジャンルを楽しむだけなら、理由を探す必要はないね。でも創作をもっと楽しみたいなら必要になってくると思う」



ルート②

「なるほど……、まず確認だけど、どのジャンルが世間、読者から評価されているか調べている?」

「え……?」

「売れている小説、漫画、アニメは世の中にいくらでもあるけれど、流行は追っている? 売れている作品の中で好きな作品はどれ?」

「そ、そんなの調べる必要あるんですか? 面白い小説が書ければ、それで読者の反応があるんじゃ……」

「否定する訳じゃないけれど、その考えで今は創作活動をしていて、思ったように反応がなかったんだろう?」

「……。それは……」

「本当に才能があるなら、それでも十分だと思う。でも、もっと評価が欲しいなら、やれる事はもう少しあるかもしれない」



ルート①

「話を進めるね。それじゃあ例えば、君には自分が一番面白いと思う作品はあるかな」

「あります、『●●物語』ってファンタジー小説なんですけど、先輩は知ってますか?」

「ああ、その作品なら俺も知っているよ。面白いよね」

「よかった! この作品はあまり有名じゃないんですが、とっても面白くて……っ、こんな所に同士がいて本当に嬉しいです!」

「……部屋に忍び込んだ甲斐があったな。予習は万全だ。それにしても興奮する君は本当に可愛いね」

「え? 先輩なにか言いました? すみません共通の話題が見つけられた嬉しさで興奮してしまって……」

「大した事じゃないから大丈夫だよ。それじゃもう一歩、話を進めてみよう。君はその作品のどんな部分が『面白い』と思ったの?」



ルート②

「話を進めるね。それじゃあ君は自分の中でどの作品が一番、世間から評価されていると思う? 個人的な感想で大丈夫」

「うーん……、そうですね、『●●戦記』ってファンタジー小説でしょうか。この前アニメにもなりましたし」

「ああ、その作品なら俺も知っているよ。というか持っている」

「面白いですもんね。僕もアニメを見て知ったんですけど、1話を見終わったと思ったら気付くと本屋にいたくらいです」

「知っているよ。俺もそうだったから。……というか君の後ろにいたから。ずっと」

「え? 先輩もあの時、本屋にいたんですか? 声をかけてくれればよかったのに……」

「すまない、夢中になっていたものでね。ずっと見ていたかったんだ」

「分かります、本当に、何度読み返しても面白くて……ん? 見ていたかったって何か表現が……?」

「これ以上は止めよう墓穴を掘りそうだ。それじゃもう一歩、話を進めてみよう。君はその作品のどんな部分が『評価されている』と思ったの?」



ルート①

「それは決まってますよ。主人公も格好いいし、それに『●●』って設定が面白いと思ったからです!」

「もう一歩。その主人公の格好よさと、『●●』という設定の面白さは、どうやって読み手に伝わっているの?」

「それは……一度読んだら伝わると思いますけど」

「もう一歩。読んだ“どの部分で”君がそう感じたのか、口にしてみるんだ」

「……えっと……」

「さあ、口にしてみるんだ。ほら、その可愛らしい口から、はっきりと言ってみてごらん。はあ、はあ、さあ言って!」

「あの、主人公の描写が本当に格好よくてぇ……せ、先輩……? うぅ、息が荒いですよ。あと目も血走ってて少し怖い……っ」

「すまない。取り乱した。とにかく君は、その作品の、その部分を面白いと思ったわけだね」

「は、はい……」



ルート②

「それは決まってますよ。主人公が格好いいなと思ったからです!」

「もう一歩。その主人公の格好よさは、どうして読み手がそう感じたの?」

「それは……一度読んだら、そう感じると思いますけど」

「でも小説なんだから、主人公の容姿は文字の羅列からしか伝わらない。どの部分で格好いいと思ったのか、どの文章の部分でそう感じた?」

「ぁ、あの……先輩、顔が、近いです……」

「すまない、つい距離をつめたくて壁に追い込んでしまった」

「いえ……。えっと、うーんと、具体的に思い返すと、ヒロインを助けるときの『●●』ってセリフが格好よかったと思ったのかな」

「良い答えだね。君は『●●』というセリフ表現を格好いいと思ったわけだね」

「はい」



●共通

「もう一歩、思考を進めてみよう。その表現を“自分の作品で表現しよう”と思ったら――君はどうすればいいと考えている?」




 ……はい、という訳で先輩と後輩による「上達」と「努力」説明物語でした。

 あれ、なんでしょう……。こんな予定じゃなかったのに、書き進めているうちに、先輩が気持ち悪くなってしまった。


 気を取り直して。


 ここからが例題的な「思考パターン」です

 ここからが、本腰を入れて真に考えるべく「自分が感じた面白さ(ウケる要素)」を、どうすれば「再現できるか」という分析、解析になります。


・キャラクター

・設定(世界観)

・展開


 これらの要素の、どんな部分が置き換わったら、その「面白さ(魅力)」がなくなってしまう?

 逆に言えば、これらの要素の、どの部分なら「面白さを残したまま」、自分が表現することで「物語内に盛り込める」のか――


 これが花咲が考える、物書きとしての「インプット」という作業になります。

(実際は上のように、脳内会議みたいに会話しているわけではないので誤解なきよう)


 そして、それを下記のように結論付ける事でまとめる作業を「アウトプット」と称しています。

(近くの項目で記したものとは、また少し違うパターンかもしれませんね)


 例えば漫画界の覇者「ワンピース」と同じくらい面白い(ウケる)作品を、自分の手で作りたいと考えたとしましょう。

 ワンピースのどのような部分が、読み手にウケているのか、面白いと思われているのかを、無理やりにでも「自分の中で」結論付けていきます。


・一般には悪とされる「海賊」だが「主人公に関わったキャラクターは幸せになる」という展開の気持ちよさ

・「ルフィ」というキャラクターの魅力。主人公らしく強く、自由な海賊に憧れる純粋な少年らしい考え方や、困っている人は見捨てない性格など

・「悪魔の実」という異能力バトル

・「書き込み」の凄い背景や、絵の説得力や迫力

・「世界(島)を巡る」というパターンを作ることで、「●●編」という新しい展開を定期的に切り替えられる(切り替えやすい)


 羅列していけばいくほど、様々な「要素」が、目指した作品の「評価」や「売上」を支えているのだと、自分は「考えたのだ」と気付けます。

 そして、その要素のうち、どれならば「“魅力を残したまま”自分好みに置き換えられるか」――


・「主人公に関わったキャラクターは幸せになるという展開の気持ちよさ」 → その魅力を文字だけで表現できるように、展開を考えていく

・主人公らしく強く、「●●」に憧れる純粋な少年らしい考え方や、困っている人は見捨てない性格など

・「●●(例えば魔法や超能力)」という異能力バトル

などなど


 これが花咲が行っている「考える」という実部分になります。

 自分なりに結論付けての分析、解析からの → 「再現」するにはどうすればいいのか?


 そして、思いついたら実際にやってみるのが一番、その効果を確かめやすいです。


 やってみると、その要素を再現するのが案外難しかったり、自分には向いていなかったり、書いている途中で「これじゃないな」感が出てきたりと、気付くことがたくさん出てきます。


 試行錯誤の繰り返しです。


 失敗する事があるかもですが、この繰り返しは、とても効率的に「経験値が溜まる」と考えています。

 通常の「面白い物語を書きたい!」という欲求から始まった場合は、多くのパターンが


「自分が面白いと思う展開や設定を考える」→「試してみる(文章にまとめてみる)」


 という形かなと思われます。

 しかし花咲がオススメする分析や解析を混ぜることで


「世の中の売れている(目指している)作品の魅力を理解しようと頭を回転させる」

→「自分なりに、その作品の魅力は“これだ”と定める」

→「その理解した気になった魅力を、どうすれば『自分がより好む魅力(自分が面白いと思う展開や設定)』に置き換えられるか考える」

→「試してみる(文章にまとめてみる)」


 ……という、少し「考える」手順が増える形によって、身になっていくのかなと思います。

(身になっていて欲しい)


 当エッセイの最初辺りの項目にて記した内容ですが、

 まず創作活動には自己分析、「自分がどういう人間か知る」という事を行うことが重要である、と花咲は考えています。


 それは何故かというと。


 実際に創作活動を始めてみると、嫌でも「自分」に向き合う場面が出てくるからです。

 しかも大抵は、理想通りに創作できない時に、自分という実力(内面)を思い知る機会が多いです。

(創作した物語が高確率で面白い天才は別として)


 そんな時――「自分が面白いと思った要素(魅力)」を無理やりにでも理解していると、


 少なくとも「もう何が面白いのか分からない!」という状況への突入を避けられる可能性があります。

(何度も何度も推敲したことで、面白さの基準が自分でも見えなくなる)


 上記の手順で定めて、自分が目指した「基準」は、既に世の中で評価されて存在していますからね。


 そして、その「魅力」を再現できていない場合(自分の中にある基準に届いていない場合)は、「再現するには何かが足りないんだ」と考えることをオススメします。


 そうすれば、何が足りないのか、どうすれば再現可能になるのか、という事を考え、また試してみる、という段階に持っていけます。

(そしてまた、気分転換代わりに、その「自分が大好きな作品」を読みふけるという……笑)


 当エッセイでは、物書きとしての実力を上げたい場合は「プロの作品に触れよう」と勧めています。


 なぜ「プロの作品」なのか――

 それは「読む(触れる)為の対価が発生している作品」だから、になります。


 シンプルに言うと「お金」ですね。


 お金というのは「価値」の基準として分かりやすいので、読む為にお金のやり取りが発生しているのならば、それは「読み手がお金を払ってでも読みたい」と思ってもらえているという証明になります。


 まあ、お試しに買って読んでみよう、もあるので絶対にその価値観を信じよう、というのも危険なのですが、少なくとも「一定以上の評価がされている」という点において、金銭のやり取りには責任と信頼があると思うのです。


 だからこそ、将来「プロになりたい」、「自分の物語でお金を稼ぎたい(生活したい)」と思っているならば、

「お金のやり取りが発生しているプロの作品」を読んで、参考にして、どうすればこんな面白い物語を作れるんだろう? と考え、

 どうすればその面白さに負けない物語を自分の手で作り出せるんだろう、と思考を進めた状態から――


 考え付いた内容を試してみる(まとめてみる)


 という手順を繰り返せば、実力が上がっていくのではないか、と考えています。


 せっかくお金を支払って、プロの作品に触れているのに――

 好きな作品を漫然と読む、という行為で終わらせるのはもったいないです。


 創作に興味があり、尚且つ承認欲求を満たしたい、あわよくばお金も稼ぎたい、シンプルに言えばチヤホヤされたい!!

 そう考えているならば、上記の方法にて自分の実力を上げていくしかないと、花咲は現実的な厳しさを前に怖気づくのです。


 だって、創作活動って楽しいですが、疲れるし、時間は取られるし、評価が悪かったら素直にへこみますもの……。


 創作活動は楽しい、けれど仕事以外でそんな現実に直面したくないやい! と、花咲は今日も理由を付けて「プロの作品」を楽しむのです。

(これも勉強だから、今は充電期間だから仕方ないの、後で本気出すから、いや本気出したら凄いよ? ホントだよ? と心の中で言い訳します)



 こんな感じが(言い訳も含めて)、花咲が行っている「自己分析」と「構造解析」という努力、上達方法になります。

 頭の中は色々と考えていますが、実際の肉体はベッドで横になっていたり、好きなラジオを流しながら本を読んでいたりと、傍から見て「ただ休日を楽しんでいる人」の状況が多いです。


 という訳で、創作活動を楽しみつつも、努力するのしんどいな……と考えてしまう方に向けての、花咲がオススメする「思考パターン」という努力のやり方でした!


 少しでも参考になっていれば嬉しいのですが、実際の花咲は本当に椅子に座ってぼーっとしたり、温かな日差しを浴びながらベッドで横になっているだけなので、まったく尊敬や敬意の気持ちなど沸かない姿なのが現実です。


 物書きの努力というのは頭の中にしかない、地味なものなのだ! と言い訳をさせてください。


 それでは前回から更新の期間が短かったのですが、また「何か思いつくまで健やかに生きる」ターンに入りたいと思います。

 当エッセイを読んでくださり、誠にありがとうございました!

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