第45話 「物書き(特にゲームシナリオライター)」という職業について

 今回は、物書きという職業についてを掘り下げてみようと思います。

 花咲にとっては現在就いている「ゲームシナリオライター」というお仕事になります。


 ですが、まずはその前に……ふふ、この話題に触れるべきですよね?


 前作から少し期間が空いていますが――

 無事にマスターアップが終わり、弊社ゲームブランド「エウシュリー」の最新作が、後は発売日を待つのみとなりました!


『天冥のコンキスタ』 5月29日 発売予定です!


●簡単なあらすじ

 大陸の北方地域、人間が住めないほど過酷な辺境であるイムニス山脈周辺では、光勢力である天使軍と、闇勢力である魔族軍が激しく争っていた。

 とても長い戦争……戦況が膠着する中、あるとき魔族軍の首領である魔王が崩御したという噂が流れる。

 その情報を聞きつけた人間の身体を持つ“元睡魔”の「クラウス」は、自らが魔族を統べる魔王となるべく軍を立ち上げる――

 睡魔族が持つ「魅了」の能力を用いて、強制的に天使や魔族を従順な配下に変えていき、宿敵である天使軍を打ち破れ!


 ……という感じの物語になっております。

 ジャンルはSLGの面クリ型ですね。花咲もシナリオ担当として参加しています。


 特典付きの予約キャンペーン…はもう終了してしまっているのかな?

 興味のある方は、ぜひぜひお手に取ってみてもらえると嬉しいです(*^-^*)

(特典アペンドはかなり便利というか役に立つ要素もりもりなので、あったら絶対に嬉しいはず。オススメです)


 ちなみに花咲は、ここ最近デバッグ作業に入っていたので、もう何回クリアしたのか分からないくらいプレイしていたりします。プロです。

 今の段階では世界の中でもトップクラスに上手です。世界ランキング上位です。ランカーです。

 他プレイヤーと比べる要素がないので本当のところは分かりませんが、加えて発売するとすぐに屈強な猛者たちに抜かされますが、せめて今だけは……!


 というわけで、世間が新型コロナでの暗い話題が多い中ですが、屋内での楽しみ方の一つとして提供できると嬉しいです。

 一度始めると1周クリアまででも数十時間は持っていかれるはずなので、楽しんでいただければ幸いです!(*^▽^*)


 閑話休題


 そろそろ、タイトルにある「物書き」という職業について触れていきます。

 今作「天冥のコンキスタ」の制作において、花咲の役割は真なる意味での「ゲームシナリオライター」でした。


 当エッセイ内のどこかの項目で触れているかもですが、ゲームシナリオライターの仕事には大きく分けて二つのルートがあります。


①自らがプロット作成者となり、物語の始まりから終わりまでを作成していく

(または他ライターに作業を割り振っていく)


②企画者がまとめたプロットを元に、シナリオを作成していく

(企画者の意図に沿うことが求められる)


 要は「お話の内容を自分で考えるか否か」ですね。

 花咲は会社所属のサラリーマンライターなので、主に①が多いです。前作の「封緘のグラセスタ」や前々作である「天結いキャッスルマイスター」等がそれに当たります。


 しかし外注シナリオライターの場合は、主に②が多くなっていくのかなと思います。

 企画初期から参加している人は、プロット作成から依頼される場合もある(シナリオ作成とは別料金かかる)のですが、基本は企画元(制作会社やプロデューサー、ディレクター)が大筋のプロットを考えます。


 そんな感じで。

 今作の「天冥のコンキスタ」において、花咲は企画まとめ役であるディレクターが作成したプロットに従って、割り振られた範囲のシナリオを作成していった、という形になります。

(名前の位置でも判断できますね。一番最初に来る方が、大体において物語の大筋を考えています)


 ここからが今回の項目の本題になります。


 おほん。


 当エッセイを読んでくださる方の中に、ゲームシナリオライターを目指している方がいたりは……するでしょうか?

 もしいらっしゃった場合として、その方に向けてのメッセージになっていくでしょう。


 花咲は最初、小説家になりたくて物書きを目指し始めた口なので、現在の職業状況は運と時節が大きく絡んでいます。

 偶然の出会いも関係しているので、人生がどうなるのか分からない手本みたいな感覚もありますね。


 もしゲームライター志望の方がいらっしゃるならば、

 小説家ではほとんどないであろう、企業から多く求められる「企画者の意図に沿ってシナリオを書く」という能力を磨くと、プロになってからも依頼者に信頼され、どんどん新しいお仕事に繋がっていくと思うので、その部分を磨くと良いでしょう。


 ……と書いておきつつも、どうすればそんな経験を積めるのか花咲にも分かっていません。


 う~ん。


 例えば「カクヨム」様だと、自主企画として「例題プロットに従って色んな物語を書いていこう」というテーマを掲げて参加者募集をかければ……?

 例題となる一つのプロットから、書いた人の数だけ違う物語が誕生する、その中で人気投票してランキングを――みたいな感じでしょうか。


 オチや登場人物などを固定せずに考えていけば、自由度の高いプロットが用意できそうです。


 ……。考えておいてなんですけれど、実現できたら面白そうですが、企画をまとめるのは大変な労力がかかりそうですね。

 参加者の募集はツイッター等のSNSも併用すれば……と考えたのですが、他者と可能な限り関わらない道を選ぼうと常日頃から考える、面倒くさがりの花咲には向かないイベントかもしれません。


 ランキングとは別に講評する方を用意すれば尚有意義になるかな、と思うのですが、「物語を書く(考える)」能力と、「作品を講評する」能力は別である場合が多いので、それもまた難しいです。


 ふむ、考えていくほどに、こういうのは企業の方に大々的にやってもらえると嬉しいですね。


 あ、でも小説大賞というのは、考えてみると元々そんな規定なのかもしれません。

 ある程度のジャンルを決め、物語の最大分量を定め、その中で参加者の中から「一番面白い物語」を競い合っていく、という。


 応募要項に従って書く、というのも修行の一環になっていくのでしょうね。


 少し話題が逸れてしまいました。


 当エッセイを読んでくださっている中で、「ゲームシナリオライター」を目指す方がいた場合、その中でもさらに「自分で考えた物語をゲームにしたい」と夢見る方において――


 目指し方を誤ると、その夢が遠ざかってしまうかもしれない、と繋げたかったのです。


 理由は上に書いた通りですね。


 ゲーム会社に所属しない外注シナリオライターの場合は、ルート②である「企画者がまとめたプロットを元にシナリオを作成していく」仕事が主になる可能性が高いからです。


 なぜならば、現実的に考えると余計にお金がかかる「外注ライターに物語の大筋ごと考えてもらうよう依頼する(もちろんシナリオ制作も依頼する)」よりも、自社(企画参加者)の中からその担当を選出し、出来上がったプロットを外注ライターに依頼した方が安上がりかつ、信頼も置け(責任とも言えますが)、加えて後々「プロットの変更も容易」だからです。


 というのも、ですね。


 基本的にゲーム制作は、小説とは違いシナリオ(文字情報)だけで構成されているわけではなく、様々な開発部門が関連してくるので、制作途中でプロット変更することがままあるのです。

 その時、プロット変更する度に外部に連絡を取らないといけない、という手間が惜しい、さらに契約によっては「プロット変更」という作業になるので、その都度お金が発生する、という状況だと考えると、企画元からプロット作成者を選んだ方が色々とやりやすくお得だろう、という考えになります。

(シナリオライター側からはお金を貰えるので良いかもですが、依頼者側からすると無視できない経費になっていくのです)


 そんな訳で。

 ゲームシナリオライターという職業において考えると、「大筋プロットを考える立場」に選ばれることは、本業である「シナリオ作成を請け負う」よりも難しい、という結論になります。


 花咲は小説家になったことがないので、その辺りの事情は詳しく知らないのですが……、文字情報のみで構成される「小説」という分野と、「ゲームシナリオ」という分野には、そういった違いがあるよ、とお伝え出来ていれば嬉しいです。

(「絵」と「お話」で分けられる漫画とは違い、小説には原作担当という例が少ないからかなー、と)


 調べてみると世の中には便利なサイトがありまして。

 ライターとして名前をサイト登録し、「ゲームシナリオ作成請け負います!」と募集をかけてくれる依頼サイトを活用したとしても、「シナリオ制作」は多々ありますが、「プロット制作」まで踏み込んで依頼を請け負うのは難しいかなと思います。


 というよりも、もしゲームが作りたいという思いから依頼サイトを見る方がいても、たくさんの名前が羅列されている中で、実力も判断しにくい、顔も知らない、そもそも「期限内に依頼者が納得するほどのクオリティを提供できるライター」か分からない状況から、ゲームの根幹にまで関わってくる「物語の大筋」を依頼するだろうか……?

(加えて、ちゃんと作成してくれるのか、依頼して大分経ってから「無理でした」「個人的な事情が出来たのでやっぱり断ります」という展開になる可能性も考慮してしまいますよね)


 そう考えると、そういった博打要素の多い勇気を出すよりも、「ゲームを作りたい!(でもシナリオは書けないから依頼しよう)」と考えている方が、物語の大筋を考えて、それをきちんと形に出来る人を探していった方が、より自分の理想とするゲームの内容に近くなっていくんじゃないだろうか、と思ってしまいました。


 どこかに所属しない「外注ライター」のお仕事は、その多くが「企画者がまとめたプロットを元にシナリオを作成していく」能力を必要とされる。


 という訳で、ゲームシナリオライターを目指し、尚且つ「自分で考えた物語をゲームにしたい!」と想定する方の場合は――


「ゲーム会社に所属する」

「自分でゲーム会社を立ち上げる」

「同人ゲーム企画を立ち上げるor参加する」


 という形を取っていった方がいいかもしれない、というメッセージになります。

(大半は所属先を探す、という形だと思うのですが、そこには実力の他にも、運と時節が絡んできます。その会社が募集していないと、そもそもの応募も難しいので……)


 情報をまとめていくと、自分でプロットも考えるシナリオライターになる道は、めちゃくちゃに狭いと思えてしまいますね……。


 しかし、上記に長々と書いた「外注シナリオライター」にも例外があります。

 というよりランクでしょうか……? いえ、依頼者からの信頼度と言ってもいいでしょう。


 それは。


 既にシナリオ担当として参加したゲーム(プロジェクト)があり、その作品の評判が良かった場合、依頼側である企業から「あの人にシナリオ制作を頼むなら、プロット制作からお願いしたい」と考えてもらえる状況が発生します。

 投資するお金分以上の評価を期待する。その人の実力を信頼しよう、という形ですね。


 残念ながら花咲はまだペーペーなので、業界内でも名前すら憶えられていない可能性が大ですが、皆様方の頭の中にも「シナリオライター」といえばこの名前が浮かぶ、という方がいらっしゃるだろうと思います。


 例を挙げると「虚淵玄」様や「奈須きのこ」様、「麻枝准」様といったレジェンド級の方々ですね。


 上記の方々ほどではなくとも、知名度があれば、プロットごと依頼される可能性が高くなっていくでしょう。

 実績とも言えますね。


 そして実績を積み上げるには、実際にゲーム制作に参加するか、自分で同人ゲームを作るか……という形になっていくので、どの道どこかで「企画者がまとめたプロットを元にシナリオを作成していく」能力が必要になっていくのかもしれません。


 …………うーん。


 これは、どうなんでしょうか。

 参考になるのかならないのか、分からない内容になってしまいましたね……。

 もし暗い気持ちにさせてしまったならば申し訳ありません。


 夢を叶える、目指した職業に就く、というのは素晴らしく自分の力になると思うので、当エッセイがそれを阻害していたら申し訳ないです……。


 結論としては、

「自分で考えた物語をゲームにしたい」場合の一番確実な道は、「ゲーム会社に所属する」という形がオススメです。


 もしそのゲーム会社が自分の目指したジャンルの物語は採用せず、色々と窮屈な思いがあったとしても、そこで積んだ実績は無駄にはなりません。

(途中で制作から逃げ出したり、不義理な振る舞いをした場合はその限りではないので注意。結局はシナリオ作成も人間関係が関わってきます)


 そして実績を積めば、上記に挙げさせていただいた方々のように、自分の考えた物語がアニメになったり、映画になったり、逆にそちらの業界から「この企画に参加して欲しい」とお声がかかるかもしれません。



 というわけで、まったくもって参考になったのか分からない「物書き(特にゲームシナリオライター)」という職業について、でした!


 当エッセイを読んでいただき、誠にありがとうございます。

 次回の内容も未定ですが、書きたい項目が考え付いた時に更新させていただきます!


 最後にもう一度


『天冥のコンキスタ』 5月29日 発売予定です!

 興味があったらぜひぜひ、よろしくお願い致しますー!!

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