第41話 「鷲崎健」さんから学んだ「向き合い方」
それでは、今回はタイトルにある「鷲崎健」さんという一人の人物から学んだ、様々な物事への「向き合い方」についてを書き連ねていきたいと思います。
(勝手に名前を挙げてしまい申し訳ありません……)
――なぜ、このような物書きハウツーエッセイにて、この御方を掘り下げさせていただくのか?
(もう敬語というより謙譲語だ……)
はい、それはもう単純至極の理由です。
花咲樹木が、この世で一番と言ってもいいほど敬愛している人物だからです。
(ご本人は、自分を一番好きだと公言する人なんてどこかおかしい、と仰っているのですが、仕方がありません、好きなのですから!)
ですが、ご安心を。
きちんと物書きハウツーの観点にて、この御方から日々学んでいる描写を記していきたいと考えています。
それは、当エッセイ内にて何度も記してきている、第三者視点から見る「キャラの描写」という項目になるでしょう。
まあ、そもそも花咲から見た鷲崎さん、という形なので、最初から第三者視点なのですが、それを作品内のキャラ描写に転用できる所があるかどうか、という視点だと考えていただければ嬉しいです。
(現実世界の人物を参考にして、物語内でのキャラ描写に活かす、という観点)
・自分の言動が、他人の言動が、周囲にどういった印象を与えているか
・または、今までの行動でどういう印象を与えていたか、思い返してみる
「6:「第三者視点」とは何か」から持ってきた引用ですが、こちらがまず基準となります。
そして――
周囲の人間で「誰に魅力があり、誰に魅力がないのか」を見てみましょう。
それはリアルな参考資料になり、さらに現実に沿っているという大きな武器になります。
(現実に生きる人間ですからね)
リアルな世界で自分磨きをしてきた人間は、なぜ魅力があるか分かりやすいです。
仕事のできる人、顔が格好いい人(アイドルがなぜ人気か)、頭のいい人、運動ができる人、会話の面白い人、努力している人。
人間には色んな魅力がありますよね。キャラも同じです。どう表現するかです。
「11:「キャラ」について②(性格と能力)」にて記した、こちらの文言にも繋がる項目でしょう。
さて、それではまず必要な事前情報は、鷲崎健さんとは、一体どういう人物で、どういうコンテンツで拝見できるのか、ですね。
この方は「ラジオパーソナリティー」であり、主にアニメ声優ラジオ、というジャンルにて活躍しておられる方です。
その他にも、ギターを弾いたり楽曲を作成するミュージシャンの面があり、アニメ系イベントでの司会・MCを務めているのですが、花咲にとってはやはり、ラジオパーソナリティーという面が強い印象になります。
アニメキャラクターの中の人、キャラクターを演じる声優さんの活動を追っていくと、きっとどこかで鷲崎さんを知る機会があるだろう、そんなオタク界隈では名の知れた人物だと思っています。
(実際、花咲も好きな声優さんが出ているラジオを聞こうとした時に知りました)
そして、この方は特に「誰かと会話する」ラジオが多いのですね。
一人しゃべりというジャンルではなく、誰かと会話をすることで面白さを演出する。
それは、物語における「キャラクター同士の会話」の作り方の参考になる、そう花咲は考えているのです。
閑話休題
それでは、ここから鷲崎健さんというひとりの人物から学んだ、物事への向き合い方を書き連ねていきたいと思います。
(大きく項目を分けて、三つの要点になるかと)
先ほど、キャラ描写は現実に生きる人間を参考にすると上達しやすい、という事を書きましたね。
人間には色んな魅力があります――
仕事のできる人、顔が格好いい(可愛い)人(アイドルがなぜ人気か)、頭のいい人、運動ができる人、会話の面白い人、努力している人。
この、上記の中でも、鷲崎さんから学んだ部分は「会話の面白い人」という項目が一番、大きくなっていくでしょう。
そもそもの話、キャラ描写とは「会話(セリフ・やり取り)」が大きく関わっています。
どんな物語でも、キャラクターが登場し、誰かと会話して、ストーリーが進んでいきます。
小説でもライトノベルというジャンルでは、地の文よりも会話の比率が多くなるでしょうし、ゲームシナリオでは会話と地の文の比率は8:2くらいになっていきます。
という事はつまり、キャラ同士の「会話」が面白ければ、それだけで物語が面白くなる確率が高い、という事になるのです。
■① 大事なのは、まず本人が楽しんでいること
こちらの要点は、実際にラジオ内で鷲崎さんが語っていたことなのですが……
本人の実績や能力から、鷲崎さんは新人声優さんとコンビを組んで、ラジオをする事があります。
それは、新人声優さんに「ラジオとはどういうものか(ラジオという媒体における振る舞い方)」を学んでもらう機会を作る、という役割が大きいのかもしれません。
その中でまず、新人声優さんにラジオ(会話)内で何を大切にするべきか。
それが、本人が楽しんでいること、なのだと仰っていました。
こちらは物書き視点で言えば、二つの意味になるのでしょう。
一つは、作者本人が「キャラクター同士の会話(やり取り)を楽しく書くこと」です。
当エッセイ内の最初の方で書いたのですが、物語はまず、作者本人が面白いと思える内容で書き進める、これが大事なのだと。
もし作者本人が楽しんでいないやり取りを書くと、後々振り返った時に大きく困ってしまいます。
「物語のこの会話が面白かったです!」、読者からこのような感想があった時、後の描写で同じ雰囲気や面白さを再現する事が難しくなるのです。
(だって本人が、その楽しさを理解できていないのですからね。楽しいやり取り、という構造を理解しているからこそ、続く物語でも同じ楽しさを読者に提供できるのです)
二つ目は、「キャラクター自身が楽しく会話しているように描写すること」です。
こちらはラジオでの意味合いに近いのですが、読者はまず、好きなキャラクターが楽しそうにしている描写を見るのが好きなんです。
(ファン心理というものに近いのでしょうか)
キャラが物語内で、楽しそうにしていたり、会話によって大きく感情が揺らいだり(ツッコミやボケ等)、そういった部分が見たい。
だからこそ作者は、そういった描写の機会を物語内で作っていく必要があります。
(キャラが楽しそうにしていない物語は、それはそれで需要があるのですが、それは読者に上から目線で楽しんでもらうか、可哀そうな境遇に共感してもらう、という形になり、物語全てをそれで突き通すのは辛い)
この要点を通して心がける事は、キャラのセリフ・やり取りを作る際は、「作者本人が楽しいと思える会話にすること」「キャラ同士が楽しそうにしている描写を増やすこと」、それが引いては読者への気遣いとなり、作品を読んでくださった方が、物語内のキャラを好きになる第一歩目の道筋になっていくでしょう。
■② 相手を不快にさせない気の使い方
こちらの要点は、これまでのエッセイ内でも多く登場している内容ですね。
しかし今回書き連ねる内容は、花咲が鷲崎さんを敬愛する大きな点と言っても過言ではないでしょう。
(キャラクターが好かれるよりもまず、嫌われない事を重視しましょう、という内容)
それはズバリ――不快にさせない「ツッコミ・イジり」が物凄く上手い、という点になります。
実際のテクニックについては、鷲崎さんが出演しているラジオを聞いてもらう他ないのですが……、
ツッコミ・イジりという「やり取り」は、そもそもが相手に嫌われてしまう「悪口(嫌味)」や「相手を下げる発言」になってしまう可能性が高いのです。
鷲崎さんのラジオを聞いていると、本人も楽しそうに、そして相手も楽しそうにしているのがよくわかります。
その雰囲気は、いち視聴者にも伝わり、視聴者も楽しくなる、という事に繋がっていくのでしょう。
それを根本から支えているのが、下記に書き連ねる「気遣い」が重要になっていきます。
・悪意を乗せない(というより、発言の中に悪意がない?)
・相手を下げない、相手をくさすツッコミ、話題ふりはしない(ともすれば嫌味になりやすい)
・否定の意味合いが大きいツッコミでも、楽しい雰囲気を絶対に保つ(馬鹿にされた、という感情を抱かせない)
当人(キャラ)同士がどこかで悪感情を抱いてしまうと、それは読者にも伝わり、伝播していきます。
敵キャラとのやり取りならば、これからコイツを倒すんだ、どう倒すんだろう? という楽しさに変換できるのですが、仲間キャラやモブキャラとの会話で悪感情を抱かせてしまうと、それはキャラの評価にも大きく関わってしまうのです。
不快にさせない為の要点の一つ目、それは「笑う」という事の大切さです。
物語内の描写にも転換できるのですが、笑う、という行為には、いま楽しいですよ、という雰囲気を伝えるテクニックが含まれています。
相手が話題を振ったとき――まず鷲崎さんは笑う事が多いです。
それは、もちろん本人が楽しい気持ちになった、という事も大きいのでしょうが、笑うことで「安心して、ちゃんと面白いよ」と伝えている、という事にも繋がっているのです。
話す相手が笑っているのですから、話題を振った方は不安を抱かず、どんどん話題を振っていけます。
つまり笑うという事には、「否定しない」という意味合いが含まれているのですね。
続けて二つ目は、「相手の良いところ」をきちんと言葉で告げるという事です。
(リアルでも積極的に使用して欲しい、とても大切なこと)
それは要約すると「褒める」という描写なのですが
・相手の良いところを告げることは、自分がそれを認めたということ
(相手に興味を持つ、リスペクトする)
これが、とても大事な描写なのです。
たまーに、相手を褒める(認める)という事を、こう解釈している方がいらっしゃるのですが……、
相手を褒めたからといって、「自分が負けた」事にはなりません。
(※めちゃくちゃ大事なので、是非心に留めておいて欲しいです)
花咲の周囲にも、かたくなに相手を褒めない、認めない人がいるのですが、その生き方はとっても損しているなぁと思ってしまいます。
人間関係の構築において、褒められて嫌な気になる人は滅多にいません。
(よほどわざとらしければ別かもですが)
相手を褒めれば、認めれば、その人と仲良くなれる可能性が大きくなります。
そしてそれは、実際に口に出して伝えれば、もっとその可能性は大きいのです。
(恥ずかしいかもしれないですが、勇気を出して伝えましょう。言葉にしないと、自分がどう思っているか相手に伝わりませんからね)
褒めたくない、認めたくない、という感情はあるでしょう(花咲にもあります)
しかし、うらやむ、嫉妬、自分の方が下だという事実を受け入れたくない、そんな感情は、物書きとしての成長を妨げる大きな要因になっているのです。
当エッセイの最初の方でも書き連ねましたね。
成長したければ、出版社がお金を出して販売しているプロの作品を参考にしましょう、と。
でもそこで、「自分の方がもっと上手く書けるし(なのに、なんで売れないんだ?)」という感情で止まってしまうと、物語の描写が自分の中にある面白いパターンで固まってしまい、実際に読者に受け入れられている描写を切り捨てている事に繋がってしまうのです。
まず自分以外の誰かを認めてしまいましょう。面白いものは、面白いのだと。
(そういう感情を抱いた自分を否定しない)
次は、それをどうやって描写すれば自分の物語でも再現できるか考え、取り入れましょう。
そうしたら、プロの技術が、描写が、いつしか「自分の技術」になっていく。そんな事にも繋がっていくでしょう。
褒める、認める、それを実際に伝える。
それは物事をとっても上手く運ばせる秘訣なのです。良いことづくめです。
(プライドをなくし、節操をなくし、恥ずかしさを無視する、簡潔にまとめると、こういう言い方になるのかもしれませんね)
この要点を通して心がける事は、「笑って楽しく話す」事は「良い人間関係を構築する」事に繋がる、という事。
そして「褒める・認める・それを言葉にして伝える」事は、良い人間関係を構築しながら、最終的には自分の成長にも繋がっていく、という事です。
それをキャラの会話・やり取りにも応用できれば、きっと読者は、そんな楽しい雰囲気の作品を好きになってもらえるのかなと、そう考えております。
■③ 自分の中にある「本当」を増やす
こちらの要点は、鷲崎さん本人がラジオ内で語っていた「成長の秘訣」になります。
素敵な言い回しだなあ、と思うと同時に、自分もそうでありたい、と思えた事柄になります。
「面白い物語を作る」という物書きの作業において
「嘘」で面白い描写を固めていくと、どこかで面白さの限界がきてしまうと、そう思うのです。
これは、まず本人が楽しむこと、という要点にも繋がるのですが……、一度でも物語を作った事がある方はピンとくるものがあるかなと思います。
――作者の知らないことは、書けない。
そもそも知らないことは、「自分の中で言語化できていない」ため、文章として描写できない、という事でもあるのですが、
描写を嘘で取り繕っていくと、後々にそれが爆弾となって自分に跳ね返ってきてしまうのです。
(自分の中にはない感情や解釈なため、再現性がない、身になっていない、という言葉になるでしょうか)
それを回避するためには、「自分がどういう人間か」「どういう感情になっているのか」振り返る事が大切だ、という事になります。
当エッセイの最初の項目にて、「自己分析の大切さ」という事を書き連ねさせていただきました。
(3:物語を書く上で必要な前提)
それは、自分がどういう人間か知る、ということ。
もっと因数分解すると、自分がどういう物語や表現を面白いと感じ、どういうジャンルの物語を書きたいか理解し、物語の中にどういうテーマを盛り込みたいか知る、ということです。
これを理解していないと、物語を細部まで徹底できません。
表現や意図に曖昧な部分が多くなり、自分でも「作品の魅力」を解説できなくなってしまいます。
そう書き連ねました。それが、まさに「本当を増やす」という事に繋がっていきます。
一つ目は、これまでのエッセイ内容にもあった、自分の中にある「面白さの輪郭」を理解していく、ということ
どこの地点を目指せば「面白い」のか、その感覚を磨いていく、という意味になります。
過去の出来事から内面を見つめて、どういう場面で、どういう感情になったのかを理解する。
(若い自分は「今よりも経験値を積んでいない純粋な感性」がある頃の自分。より素直な自分であり、感情を表に出す機会が多く、取り繕うという考えがない行動が多い)
それが叶えば「これから書く物語」でも、キャラクターのやり取りを通して「再現する」事が可能になるでしょう。
(自分の中にあった、実際の感情の揺らぎですからね。思い出す、という行為が、想像する、という行為に成り代わります)
これまでにも書き連ねてきたことなのですが、要約すると、こんな感じになりました。
二つ目の要点は、「見栄を張らない(偽らない)」という事になります。
・出来ないことを恥ずかしいと思うのではなく、まずは「出来ないという事を認めて」、どうすれば出来るようになるかを考える
これはまあ、「物書きになろう!」と考えた方は日々自然と行っている事だと思うのですが、たくさん本(物語)を読みましょう。
どんなジャンルでもいいです、それが「自分が好きな物語や描写」を見つめられるのであれば、どんな本も参考書になります。
本とは――自分以外の「視点」から見た世の中(面白さ)を知る媒体
物語はまず、自分が楽しむように書く。それが基本筋です。
という事はつまり、他の作者が書いた本は、「その方が面白いと思った描写の集合体」なのです。
自分以外の人が感じる面白さは、つまり「読者が感じる面白さ」へのヒントです。
(自分の中にはなかった面白さ・第三者視点から見られる娯楽の作り方)
それを読みながら学び、自分に取り入れていきましょう。
そして、「これは面白いな」と感じたことは、出来る限り意識的に覚えておきましょう。
(明確な「これ自分は好きだ」という基準を見つめる。取捨選択するという事は、自分の中にある基準と「向き合う」ということ)
・本(物語)は、著者の「考え方」を知る、楽しむ、自分の中に取り込む最高の媒体
(取り込んだ内容が、自分の中に根付く教養となり、時と共に自然体となっていく)
それが、花咲の考える物書きの、自分を偽らず、「楽しいと思う描写」を増やすということ。
嘘をついて盛るのではなく、「自分の中にある本物を増やす」ということに繋がっています。
……どうでしょうか。
こちらが、鷲崎さんのラジオを聞きながら、話している内容を聞きながら、花咲が学んだ物事への向き合い方、そして物書きにおける「キャラクター描写」の上達方法、という形になります。
いやはや、随分と長々とした文章になってしまいましたね……(笑)
ですが実はこれでも、書きたかった内容を添削し、最低限書き切りたかった内容だけをまとめたものになっております。
(本当は、会話のテクニックにおける「例え」とか、「話題の寄り道から出るその人の素(面白さ)」とかも掘り下げたかったのですが、今回はこれくらいにて)
最後に、「コンテンツを好きになる」という事についてを少し語らせていただきます。
花咲がこれだけ、鷲崎健さんという人物について、そこから学べたと思えた項目についてを書き連ねられたのは、「その人が好きだ」という感情からくるものです。
誰か(キャラ)を好きになると――好み、好みじゃないはあれど、どんな事でも「面白く思えてきてしまう」のです。
(でも多分、興味のない人なら、あまり面白くないんだろうなというのも考えてしまう)
この事から伝えたい内容は、「人物ごと好きになってしまったら、その人が何でもない話をしているだけでも面白く思えるようになってしまう」ということ。
とあるキャラクターを嫌いになってしまったら、そのキャラが物語に出てきただけで、何でもない発言をしただけで、少し嫌な気持ちになってしまう。
(13:「キャラ」について③(悪役の作り方))
ですがその逆に、とある「キャラクターを好きになったら」、そのキャラが物語に出てきただけで、何でもない発言(やり取り)をしただけで、なんだか面白く思えてきてしまう。
それが物書きの目指す、「キャラクターの描写」における評価の作り方なのだろうかと、考えています。
(キャラクターがそこまで愛されることが叶えば、それはもう物書きとして最高の人物評価)
貴方が考え、描写したキャラクターが、読者から好かれ、「もっとこのキャラクターのやり取りを読んでいたい」――そう思わせる事が出来るよう祈っております。
(花咲もそういうキャラクターを作れるよう、精進したいと思います)
それでは、今回はここまでになります。
次回の項目は、「インプット」と「アウトプット」という事柄を掘り下げようかと考えていたのですが、カクヨム様の感想欄にて、少し興味深いメッセージがあったので、そちらを掘り下げていこうかなと考えております。
それは、物語の設計における最初の作業「プロットの作り方・プロットに記す項目とは」という内容です。
もしかしたら少し時間がかかってしまうかもですが、お待ちいただけると嬉しいです。
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