第36話 「世界観」の掘り下げについて
皆様、お久しぶりです、花咲樹木です<(_ _)>
ずいぶんとご無沙汰していました。前回の更新から二か月も経っとるでオイ……。
いやはや、お仕事の方が忙しく……って、言い訳ですね。
申し訳ありません。
単純に、花咲がサボり魔だったというだけです。
いくら繁忙期といっても、休日がまったくないという訳ではないので、ただエッセイに時間を割いていなかった、というだけです。
ともあれ、お仕事がひと段落ついたかな、という段階に入りました。
新作の発売日までまだ日にちがあるのですが、ライターとしてのお仕事の大部分は完了したのです。お疲れ様でした。
(わーパチパチパチ)
■ゲームブランド・エウシュリー
『封緘のグラセスタ』 10月26日(金)発売予定です。
予約はもう始まっているみたいなので、興味があったら是非とも!
閑話休題
今回のお話は、「世界観の考え方」についてを掘り下げていきたいと思います。
どうして、この話題にしようと考えたのかは、とある飲み会の席での会話でした。
楽しくお酒を呑みながら、友人であるO君、K君とお話していたのです。
そこで「オリジナリティとは何ぞや」という話題ふりがあったのですね。
そこでは様々な議論が交わされたのですが、とりあえずの結論としては、「世にある作品とカブっている部分がどれだけあるか」という形で落ち着きます。
物書きというのは、一つの世界を丸ごと作成してしまえる人種です。
そこで、作者の個性として唯一無二(オリジナリティ)を出したい場合、
――『世間と一緒のところはどこだろう?』を見つけられると、そこから逆に、個性が生みだせます。
世間一般を知らないと、そこから外す、という行為も難しくなってくるのですね。
非常識、非日常という世界を演出するには――
常識や、日常を知らないといけないという一見矛盾した思考方法になります。
はっきり言ってしまうとですね。
世の中には作品があり過ぎるので、全ての要素がカブらないというのはもう、無理です。
(そして、カブる要素というのは、人気が取れると判断した場合が多いので、そこから外すと人気が……)
それでも、やっぱり「自分の個性」を作品に出したいですよね。
(この作者だからこそ書けた、という評価を頂きたいものです)
だからこそ、可能な限り「自分で考える部分」を増やしていけば、そこからオリジナリティを生み出していける、はずです!
という訳で、飲み会の席で話していた話題を例として持ち出します。
■例題
・あの世界観ってどうなってるんだろう ~ポ〇モン編~
いやはや、シリーズものとして超有名作ですよね。
国内どころか、今や世界でも大人気の作品です。
いくつもシリーズが出ており、〇〇地方編という形にて、各主人公は新しい冒険に出ています。飽きさせない続編方法ですね。
こちらは、作品が進むごとに設定が増えていったり、補強されたりする訳なのですが……。
設定資料集でも、語られていない部分ってありますよね。
そこを補完していく、という思考方法に慣れると、いつか「自分だけの世界観(オリジナル世界)」を作る時にも役に立ちます。
ここからは、実際に花咲たちが話していった雑談をまとめていくので、そちらを参考にしていただければと思います。
そんな感じで、色々と世界観を妄想していきましょう!
(※花咲はシリーズ通して大好きです。愛があるからこそ、妄想が膨らむのです。陥れるとか、マイナス方面な考えは一切ありません)
あれです。
空想科学読本と同じようなノリにて、読み進めてもらえれば幸いです。
思考実験です。思考ゲームは、クリエイターにとって根幹となる要素なのです!
という訳で、思考を深める『お題』を一つ――
●ポ〇モンの世界に、もし「モンスタ〇ボール」が無かったら?」という妄想
(もはや隠す気のない伏せ字)
あの世界では、ポ〇モンを捕まえて、一緒に冒険していきますよね。
その方法として用いるのが、「モンスタ〇ボール」になります。もはや説明の必要もないほど有名な設定です。
ですが、もしあの世界に「モンスタ〇ボール」がなかったら……?
あの世界は、どうなってしまうのでしょうか。
自分が「あの世界観に生きていたら」と考え、妄想してみてください。
………………。
……ふふ、妄想が膨らんできたでしょうか?
あの世界には「モンスタ〇ボール」があって当然、というのでは思考が進みません。
これはなにも、荒唐無稽な妄想ではないのです。
だって世界が始まった時、まだ人間が文明を築いていない時代には、そんな科学的な代物は存在していないのですから。
★現在の一般用に開発されているモンスターボールは1925年に、タマムシ大学のニシノモリ教授の経験が元になって開発された事になっている。
この文章は、公式の設定から持ってきたものです。
開発が1925年……なら、その前までは「ボールがない時代」があったという事に他なりません。
という事は、いいでしょうか?
人間が、あの(ポケット)モンスターたちを従える術がない時代が長く存在していたという事です。
(紀元前を含めないとすると、文明が始まってから約1900年も)
それだけ長い間、人間は「ボール無し」で奴らと渡りあってきたのです……!
ちょっと想像してみただけでも、恐いと思いませんか?
地球で考えた場合、現在の人間は生態系の頂点にいます。
しかし……あの世界観では、従える術として強力なボールがない場合、人間の能力はほぼ最底辺に位置してしまうでしょう。
だって「地球の場合」でも……動物と強さを比べると、人間は劣っているのです。
人間、成人していても、素手で勝てる動物は中型犬までと言われています。
というより、花咲は勝つ自信がないです。チワワにも負けそう……。
人間は手に道具を持つことにより、火を利用することにより、自分より強い動物たちを含めた生態系の上に立つことが叶いました。
弱さを補う武器を持てる(開発できる)からこそ、人間は動物たちに負けずに済んでいます。
それが、ですよ?
単純な「強さ」で考えると、ポ〇モンって、普通の動物の比じゃないですよね?
だってアイツら、火炎放射とか吐くんですよ……。
しかも生身の状態で、です。出会いがしらにハイドロポンプとか撃たれたら即死です。
単身で地震とか起こせるんですよ。
(グラグラの実を求めて策を巡らせた黒ヒゲもびっくりです)
もはや災害と言っても過言ではないでしょう。
肉体自体が燃えている存在とかもいます。
何で構成されているのか不明の存在だっています。
考えてみてください。「ベ〇ベター」というモンスターを……!
存在そのものが「へどろ」ですよ。
物理攻撃が効くのかも不明です。まあ、素手じゃ勝てないですよね。
という事はですよ。
まず、人間がボール無しで生きていくには、適切な判断が必要になるでしょう。
ズバリ「勝てるモンスター」と「勝てないモンスター」の見極めです。
勝てない存在に歯向かっては、生存競争に勝つことは出来ません。
ゲームの設定が適用されるのだと考えると……。
草むらや森に入らなければ、襲われることはないのかもしれません。
しかし、私たちが知っているのは「ボールがある時代」のルールです。
厳密に言えば、適用されない部分が出て来るでしょう。
「草むらに入らなければ安全」というのは、人間がボールの力を持ったからこそ、世界に強いることの出来たと考えるのが自然かもしれませんね。
しかし、ルール無用なのはこちらも同じこと。
(ゲーム内のルールに縛られる必要はないのです)
――なにもポ〇モンと人間が、一対一で戦う必要はないのです。
戦いは数、集団で取り囲めば勝機も生まれて来るでしょう。
例えばコラ〇タ、必殺前歯などを繰り出されたら厄介ですが……。
所詮はデカいネズミです。
集団で(棒などを持って)戦えば、決して勝てない相手ではないと推測できます。
問題は、相手も群れる可能性があるということですが……。
(アニメでは、ポ〇モンが大体群れで生活してますしね)
くっ、認めましょう。人間は弱いのです。
技マシンなどで強力な技を覚えることは出来ない以上、地球の人間たちと同じ戦闘力で戦わざるを得ません。
その戦闘力を把握し、なんとか勝てる相手にだけ挑み、勢力圏を拡大していく。
それこそが、人間の生きる道なのです。
ご先祖様がそうやって戦ってくれたからこそ、いま私たちは、この時代を謳歌できているのでしょう……。
(ありがとう。お父さん、お母さん。ここまで育ててくれて、ありがとう)
ここまで話していて、友人K君から突っ込みが入りました。
「別に絶対に戦う必要はないんじゃない? ポ〇モンごとに性格だって違うし、仲良くなれる個体もいるでしょ」
…………あ。
そうなのです。
なにも敵対だけが選ぶ道ではないのです。
温和な性格の個体と協力して勢力圏を築く、その道もあったのです……。
(遠い目)
●あの世界の仕事ってどうなっているの? という妄想
それでは、次のお題に移りましょう。
あの世界観には街も村もありますね。
「お金」だって、ちゃんと存在しています。
という事はつまり、お金を稼ぐ為の仕事があるはずなのです。
貨幣制度の常識で考えると、そうなります。
ですが、不思議ですよね。
だってあの主人公……働いてなくない……?
(ちゃんとお店とかで働いている人がいるのに)
でもゲームを進めると、ちゃんとお金が溜まっていきますよね。
(給料はないはずなのに)
なんと主人公は
バトルに勝ち、他者からカツアゲするという形で、お金を稼いでいるのです……!!
しかし、待たれい!
なにも花咲は、否定している訳ではないのです。
地球で考えると、とんでもない問題行為ですが、あの世界では普通の行為だという可能性があるからです。
あの世界では、それが「国から認められている行為」なのでしょう。
(それが許されている世界観。誰が許すのか? それは国です。お巡りさんに捕まらないのが、その証拠)
ですが、お店があるという例を見る通り、普通に働く人もいます。
普通の稼ぎ方も、ちゃんと存在している世界なのです。
でも私たちは、店員からカツアゲはしませんよね。
おや? ということは、つまり……
カツアゲできる相手が、決まっている?
それは、自然に考えれば……「トレーナー」ですよね。
「ポ〇モントレーナー」というのが、主人公の職業ということになるのでしょうか。
(※物語冒頭、主人公は、ポ〇モンマスターになるべく旅に出ます)
その稼ぎ方は、バトルに勝つ、旅をして拾ったアイテムを売る、というものです。
ですが、そんな盗賊のような在り方だけでは、全員が生きてはいけませんよね?
(まあ、ゲーム内の描写では食事などは省略されていますが。お店で買うのも、ポ〇モン用の食事が主ですから)
ということは、衣食住に関しては、トレーナーは心配しなくてもいいということになるんじゃないでしょうか。
ひょっとするとトレーナーは、最低限の生活は保証されているのでは……?
その発想に至ったのは「ポ〇モンセンター」という謎の施設の存在です。
傷ついたポ〇モンを癒し、併設で休憩室などもある空間ですね。
よくよく考えてみるとですよ。
この施設おかしいんですよ。だって考えてみてください。
「傷ついたポ〇モンを癒す」という地球でいう病院のような立ち位置なのに
――なんと「無料」なんですよ!!(奥さん!)
これは、絶対になにかあります。
世の中そんな上手い話がある訳ない。
タダより恐いものはないと言うでしょう。
職員だって生きていかないといけません。
利用者から金銭を貰わないと生活していけないのです。
施設の維持費だってタダじゃないはずです。
ふぅむ、つまりこれは、どういうことだ……。
利用者からはお金を貰わずに生活していく方法、分かりますか?
無理矢理に辻褄を合わせると――職員には「国から支払われる給料」が別にあるはずなのです。
そして、施設の利用者は誰でもタダ……国民なら全員、無料なのです。
(もしかすると、その場で食事とかも支給されるのかもしれませんね)
フフ、もう分かりましたね?
ズバリ「ポ〇モンセンターの職は公務員」という推察が成り立ちます!!
「ポ〇モンを捕らえ、扱う」ということ自体が、国が勧める事業なのです。
(傷ついてしまうほど使役するという行為自体が)
市役所とかと同じ立ち位置ですね。だから料金がかからないのでしょう。
(実際の地球では、市役所は手続き等でお金がかかりますが)
ということで、「公共施設」という扱いが妥当でしょう。
なるほど、なるほど……。
ポ〇モンセンターは国が運営し、トレーナーを支える施設です。
それでは――なぜ「ポ〇モンを使役する」ことを国が勧めているのか?
(それも掘り下げていきましょう)
そこにも「仕事」というキーワードが光ります。
アニメでも、ゲームでも、あの世界の人々は「ポ〇モンに協力してもらい仕事を成す」という光景が多く見受けられます。
とても言葉にしては言いにくいのですが、つまり「労働力」として使っているのです。
道具扱いとか可哀相……(/_;)
そもそもが「ポ〇モンを捕まえる」という手段が、かなり乱暴ですよね。
体力を奪い、弱ったところを捕まえる……。我々の世界では、人はもちろん、動物相手にだって罪となる行為です。
ゲーム表現だからこそ感じていませんが、現実的に見れば普通に「暴行」です。
ですが、お待ちを。
あの世界観では……それが「許されている」のです!
く、こえぇぜ……あの世界はよぉ!!
(※花咲はポ〇モン大好きです)
ここで注意して欲しいところが、そんな乱暴な捕まえ方でも、結局は「ポ〇モンたちと仲良くやれている」という点になります。
ポ〇モンたちも、その在り方を受け入れているのです。
(いや、もしかすると……受け入れざるを得ないのか? もしやボールの効果には洗脳も……)
(君のような、勘のいいガキは嫌いだよ)
話題を戻して。
人間はポ〇モンを使役し、仕事をこなしていきます。
ですが、そこにはもちろん「ポ〇モンを扱う技術」が存在します。
おっと、ということは……
「トレーナー」というのは、上手く扱えるように修行する旅、という形になりますよね。
その果てが「ポ〇モンマスター」であり、各地に存在する「ジムトレーナー」という事になるのでしょう。
…………あれ?
いや、でもちょっと待ってくださいよ?
地球では、そもそも子供は学校へ行くものですよね。
ですがあの世界では、子供の多くは「トレーナー」として旅に出るのです。
ここで一つ、注意点が。
あの世界……「学校」がありますよね。
つまり若い世代は学生として学ぶ、という常識が共通されている訳です。
なのにも関わらず、トレーナーたちは学校にも通わずに、世界を旅します。
その目的は「ポ○モンマスター」になることです。
これも、ちゃんと国が認めていなければ許されません。
「教育」というのも、世界観の成り立ちとして外せない要素ですよね。
トレーナーが大人になると、どうなるのか、という視点に注目していくと……。
あの世界観だって、なにもトレーナーだけで世の中を作っている訳じゃありませんよね。
お店を経営する人や、食料を作る人、物を作る人、それこそ学校の先生だって立派な職業です。
先ほどの結論から言うと、ポ○モンセンターの職員というのは、公務員になるのと同じ意味合いがあるのでしょう。
安定した人気の職業ですね。
忘れてはいけないのが、ジムのマスター。
(バッジ保持者です。若きトレーナーたちの登竜門、実力を計る存在です)
これも、立派な役割ですよね。
自分の実力を示すものがなければ、今の立ち位置を確認できません。
そしてきっと、その頂点が「ポ〇モンマスター」ですね。
あの世界にはテレビがあります。つまり娯楽が発展している世界なのです。
いわば格闘技のチャンピオンでしょうか。
(芸能人という観点もありそうですが)
トレーナーの最高峰、格闘家の中でもっとも尊敬を集める職業なのでしょう。
きっとトレーナーは、幼い頃から旅に出て「ポ〇モンを扱う術」を学ぶことで、その特殊技能を使い、生活を維持、向上していくという生業を修めていくのです……。
その末に、トレーナーのまま生活する方もいれば、様々な職業に就く方もいるのでしょう。
ですが、トレーナーはポ○モンを扱う術を向上させるだけなのでしょうか?
それだけで、国民としての義務を果たしているのか……?
いいえ、もっと大切な役割があるのです。
ここで、先ほど導きだした結論を思い出してください。
「人間は素手でポ〇モンに勝てません」――
でも、草むらに入らなければ襲ってはきませんよね。
それは、どういうことなのか?
トレーナーに見つかれば退治されるか、ボコボコにされ、捕まってしまう。
そうポ〇モンが認識していなければ、野生のモンスター相手にそんな強制力は発生できないでしょう。
つまりトレーナーは、旅を出て世界を回ることで、ポ〇モンたちに恐怖を植え付けているのです……!
人間の世界を守るために、トレーナーは各地でポ〇モンが起こす天変地異を観測し、世界の平和(バランス)を維持していくのでしょう。
それがトレーナーという職業に就いた方の、大きな役割なのです。
だからこそ、ポ○モンセンターも無料で利用でき、他者からカツアゲするという弱肉強食の在り方を推奨されているのでしょう。
いざという時、野生のポ○モンを抑えられるよう、彼らは戦いの世界に身を置くのです。
ああ、トレーナーよ。なんて崇高な生き方なのか。
――さあ、みんなもポ〇モンマスターを目指して旅に出よう!!
ちゃん、ちゃん♪
はい、という訳で、こんなアホな会話を、呑みの席で我らは話していたのですね。
「世界観を固める」という作業を進めていくと、自然と文明や常識にまで踏み込んでいくことになります。
世の中の仕組みですね。
■この世界の仕組みに疑問を持つ → 辻褄が合うよう考えていく
世界観を作る際に、こんな思考方法で進めると、土台がしっかりしていきます。
オリジナルの世界観で「衣食住」がどう成立しているのか、掘り下げていくのです。
そこに仕事や、経済の観念を絡めていくと、一層面白いですよ~。
……という事で、どうでしょうか?
よく慣れ親しんでいるはずの世界でも、少し見方を変えれば「自分が考えたこと」が入っていけると思いませんか。
世界観の掘り下げは、地球の常識や、衣食住の成り立ちを当てはめていくと――そこに「寄り添う」ことや、「逆に外す」ことも可能になります。
こんなアホな会話が、参考になったでしょうか?
皆様が素敵でワクワクする世界観を構築する際に、少しでもお手伝いできていれば嬉しいです。
ではでは、当エッセイを読んでくださり、ありがとうございました!
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