第33話 「語尾」と「口調」(文末の不揃い)

 今回は、文章を構成する際の『語尾』と『口調』についてを掘り下げていきたいと思います。


 それに関連する、キャラクターの統一表現や、文章の「読みやすさ」についてになるでしょう。


 こちらはどちらかと言えば、タイトルの括弧内にある『文末の不揃い』が大きな解説項目になると思われます。


 文末、つまり「語尾」ですね。


「文末」とは、文章の終わりの部分を指します。

「語尾」とは、語の終わりの部分を指します。

(ネットで調べたらこう出ました……。あかん、これじゃ分かりにくいでホンマしかし)


 花咲が示す「文末」と「語尾」は、同じ部分の『文字』を指していると考えてください。


■「文末」に括弧()を付けた例文――


 こちらは例文になりま(す)。

 読み手に文末の意味を伝える為に、文章を組み立てる形になるでしょ(う)。

「……え? そんな基本的な知識、説明されるまでもないっ(て)?」

 これは困っ(た)。確かに、言われてみればその通りであ(る)。

 しかしこうも思うの(だ)。

 物書きに置いて当たり前の知識だからこそ、基本だからこそ、強く意識し、可能な限り身に付けなければいけない事柄だ(と)。

「このエッセイでそれを伝えられたら、花咲はとても嬉しいので(す)」


■例文ここまで


 ……は(い)。なんとなーく、お分かりいただけたでしょう(か)。

 おっと、まだ括弧付けが続いています(ね)。申し訳な(い)。


 ここから自然の文章に戻ります。


「文末」「語尾」というものが、どの『文字』を指しているのか、お分かりいただけたでしょうか。


 それを頭に入れた状態で、次の「答え」にいきましょう。


 まず最初に結論を述べさせていただくと――

 物語に置ける文章の組み立てに置いて、『文末は「文字」が不揃いの方が読みやすい』のです。


 逆説的に――『文末に「同じ文字」が揃っている(連続している)と読みにくい』という形になります。

(正確に言えば、読みにくいではなく、箇条書きのようになってしまう形でしょうか)


 例えば上記の例文を、意図的に「揃っている」状態に直してみましょう。



■文末を「揃えた(連続させた)」例文――


 こちらは例文になります。

 読み手に文末の意味を伝える為に、文章を組み立てる形になります。

「……え? そんな基本的な知識、説明されるまでもないです?」

 とても困っております。確かに、言われてみればその通りです。

 しかしこうも思うのです。

 これは物書きに置いて、当たり前の知識だからこそ、基本だからこそ、強く意識し、可能な限り身に付けなければいけない事柄です。

「このエッセイでそれを伝えられたら、花咲はとても嬉しいのです」


■例文ここまで


 ……どうです?

 最初の例文と比べて、なんだか違和感がないです??

(あかん、なんだか煽っているようになってもうたで……)


 上記の例文では、文末や語尾を「す」という文字で揃えています。


 これがもし「た」という文字だと、まんま箇条書きの文章を、ただ並べただけ、という形になってしまうでしょう。



 花咲樹木は言った。

 ぽつぽつと途切らせながら、小さな声で口に出した。

「うーん、これは、参りました……」

 それは例文という名のお粗末な文章だった。



 ……どうでしょう?

 文章の組み立て、という点に置いて、あまりにも「工夫がされていない」と感じませんか。


 これが文末、語尾を「揃えてしまった(連続してしまった)」文章になります。


 文末が揃っている状態を避けるだけで、その文章は「少し」読みやすく変化するでしょう。


 ただ、本一冊分の物語というものは、その分量が10万文字~15万文字になってしまいます。

 だから全ての文末、語尾を不揃いにする必要はありません。そんな事をしていたら、書きたいセリフや地の文が書けなくなる可能性が高くなってしまうでしょう。


 あくまで『不揃いになるよう意識する』だけと、考えてください。


 たったこれだけで、文章が「読みやすくなる」のです。

 そして読みやすいということは、文章の意味を「伝えやすい」事に繋がっています。


 花咲が記す「文章力」の向上とは、読み手が物語を読み進める際に「可能な限り違和感をなくす」事を目指しているからですね。


 文末や語尾が揃っており、箇条書きのような文章だと、読み手はそこに違和感を持ってしまい、文章の意味や、物語の流れに集中できません。


 誤字や脱字を無くすのも、その為です。


 今回の項目は――「文末」や「語尾」を不揃いにした方が読みやすくなる。

(同じ文字でも、文末に連続していないだけで違和感を消せます。意識してみましょう)


 たったこれだけの工夫で、文章が少し読みやすくなる。

 そう考えると、なんだかお得だと思いませんか?


 その事が少しでも伝えられていれば、エッセイの役割は成功しています。


 ここに気を配っていくとですね。

『あえて文末を揃える(連続させる)』事で――『文章を強調する』、そんな手法も意図的に使えるようになっていきますよ~。

(普段は不揃いだからこそ、揃えた箇所は、読み手の目を引く文章に映るのです)


 当エッセイでは、基本的に『敬語(丁寧)口調』にしています。

 文章を読んでくださった方に失礼のないよう気を付けるには、改まった話し方が一番それに向いているから、というのが大きな理由になるでしょう。


 だからこそ、今回の項目を説明するには、かなり不向きな口調なのですよね、これが……。


『敬語(丁寧)口調』というものは、文末や語尾が「です」「ます」という終わり方が、とても多くなってしまうのです。


 出来る限り気を付けて「不揃い」にしているのですが、読みにくい箇所があったら申し訳ない。

 花咲の力不足としか言い表せません。


 キャラクターには、それぞれ違った性格があります。


 だからこそ、話し方(口調)も変わってくる。

 本を読み慣れている方にとっては、わざわざ確認するほどでもない事柄かもしれませんね。


 丁寧(~です、~ます)

 非常に丁寧(~でございます)

 男性・普通(~だ、~か?)

 男性・明るめ(~だ、~か、~じゃん)

 男性・静かめ(~だ、~か、~かい?)

 ワイルド(~だぜ、~だろ、~じゃねえ)

 女性(~わ、~よ、~ね)

 お淑やか(~ですわ、~ますの)

 お嬢様(~かしら)

 のんびり(~だねぇ、~かなぁ)

 子どもっぽい(~だもん、~なの?)

 幼稚(~ですぅ、~でしゅ)

 老人風(~じゃ、~のう)

 関西風(~や、~やで)

 東北弁風(~だべ、~んだ)

 ござる口調

 軍人風(~であります)

 カタコトの日本語(~デス、文法崩壊)

 えせ中国訛り(~アルよ、文法崩壊)


 等々、少し調べただけでも、こんなに出てきました。

(『らっかみ!』というサイトから拝借しました。ぺこり)


 キャラを創作する段階に置いて、性格や口調(語尾)を決めたら、それを統一する。


 そして、文章を組み立てる時は『文末や語尾を不揃いにする』と、貴方の物語はぐっと読みやすくなっていくでしょう。


 文章の組み立て、その考え方のきっかけになれていたら、とても嬉しいです。



 それでは、今回はここまでとさせてください。


 次回はキャラクターの統一、その応用編となる『い抜き』と『漢字表現』についてになると思われます。

 当エッセイを読んでくださり、ありがとうございました!

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