第28話 「段落」と「改行」(行間の空白表現)

 今回は文章を構成する際の「段落」と「改行」についてを掘り下げていきたいと思います。


『段落』とは――文章を幾つかのまとまった部分に分けた、その「区切り」のことを言います。文章による説明、物事の切れ目と言ってもいいでしょう。


『改行』とは――段落をより見やすくする為の「行の分け方」になります。


 前回の項目にて記した例文でもあった、文章をまとめた方が読みやすいのか、それとも文章ごとに行を分けた方がいいのか、というものですね。


 これは、本としての媒体(縦書き)や、ネット投稿でのPC画面(横書き)によって、その都度分け方が変わってくるものだと思われます。


 どうすれば、より読み手が「読みやすく」、そして文章の意味を「伝えやすく」なるのか、その考え方を基準として、文字をまとめていきましょう。


 とは言っても、この項目は難しい問題なんですよね……。


 この「段落」と「改行」問題は、おそらく各々の作者によって、もっとも感覚の差が現れる部分ではないかな、と個人的に思っています。


 作者が読みやすいと思っていても、読み手は読み辛く感じている。

 もちろんその逆もしかりです。


 書き手と読み手の感覚を、可能な限り一致させる為の考え方になっていくのでしょう。


 そんな訳で、今回の項目では花咲樹木が個人的に心がけている「段落」の分け方と、「改行」する時の基準を書き連ねさせていただきます。


「行間に空白表現を付ける」かどうかも、一応ネット投稿する前にいくつもの作品を読ませていただき、参考にした上で、花咲なりの考えによって行っています。


 当エッセイの内容についても、同じように考えてくださると嬉しいです。


 参考になると感じた場合は取り入れていき、感覚が違うと考えた場合は、あまり気にしなくてもいいものになります。

(花咲は実際に、拙作の感想欄にて、読んでくださった方に違和感を持たれてしまっています。全ての読み手に合う手法というものは、きっと存在しないのでしょう)


 あくまで、いち参考意見として考えてもらえると嬉しいです。


 閑話休題


 段落や行の分け方の基準、その区切り方は――「意味」と「句点」の二つになっています。


①「意味」


 こちらは、その文章で「何を説明している」のか?


 キャラの心情についてなのか。

 背景の描写についてなのか。

 ストーリーの流れを説明している、物事の描写なのか。


 同じこと、関連性のあるものを説明している文章は、同じ段落内の文章にまとめていく。


 そして行間に空白を入れて、読み手に「この段落は〇〇を説明している」と無意識下で伝えていく形です。



②「句点」


 文章に区切りを入れる際は「読点(、)」と「句点(。)」を使用します。


 そちらの「句点」に注目した改行方法と、段落や行の分け方になります。


 PC、携帯電話、スマートフォンの画面の多くは「横書き」です。

 だからこそ行間に空白を入れる事により、読み手の目が滑りにくくなります。目が滑りにくいという事は、文章を読んでもらいやすいという事に繋がっていきます。


 なぜ句点を基準にするのか。

 それは前回の項目で記した「一文の長さ」というものに関わってくるからです。

 画面による「横書き」文章は、折り返さない方が読みやすくなりやすい。

 その感覚を軸に持つことで、句点によって改行するという考えが生まれています。



 そして最後に『行間による空白表現』についてですが、こちらは「読みやすさ」と同時に、文章の「強調表現」も兼ねられるからです。

「―(ダッシュ)」を使用しなくても、括弧の種類「」『』《》【】“”等を使用しなくても、文章を強調できるのです。


 これを知った時、素晴らしいと感じました。


 なぜならば、花咲が仕事の場で考えなければいけない文章表現を、ネット投稿という媒体では内包していたからです。

(ゲームシナリオでは、一画面による文字数制限があるので、一文ごとに段落、改行を意識する必要があります。そしてクリック数という段落の分け方は、空白表現に近いと感じたのでした)


 本という縦書き媒体では、こうはいきません。媒体による文章の組み立て方の違いというものを、利用してやろう! と考えられたのです。


 ここまで書き連ねてきましたが、なーにを言ってるんだか分かんね、と思う方もいらっしゃるでしょう。


 という訳で、恒例になりつつある例文を4パターン用意させていただきました。

 それぞれを見ながら、自分に合った文章の組み立て方を考えていただけると嬉しいです。

(例文は全て同じ文章です)



■何も意識していない文章


「これは例文という名のテストです」

 花咲樹木は震えた声でそう言った。なぜ声が震えていたのか。それは緊張していたからだろう。花咲は極度の人見知りであり、見知らぬ大勢に向けて話しかける事を苦手としているのだ。だが彼は声を出す。エッセイという状況が、例文を書き起こすという場が、彼をそうさせたのだ。褒めてあげて欲しい。頑張った人に温かな言葉をかけると、もっと褒められたくて頑張ってしまうものだ。実に単純だと思わないだろうか。滑稽で、プライドもない行為だと。だが花咲はそれでいいと考えている。自分の気持ちを誤魔化す事は、嘘を付き態度を偽る事は、先々あまり良い結果を引き起こさないと知っていた。承認欲求が高く、下らない嘘を付いてまで他者に認められたがった花咲も成長したものだ。だからこそ、なんだろう。褒められると、噛み締めるように喜んでしまうのは。きっと彼は、あまりにも嬉し過ぎて泣いてしまうだろう。ズボンも脱ぐかもしれない。彼は興奮するとよく服を脱ぐのだ。勘違いしないでやって欲しいのだが、外ではしない。当たり前だ。そんな事をすると逮捕されてしまう。当たり前の事を、当たり前のように注意できる。そんな人間に、花咲は成りたがっている。




■文章の意味によって「段落」を分けた文章


「これは例文という名のテストです」

 花咲樹木は震えた声でそう言った。なぜ声が震えていたのか。それは緊張していたからだろう。花咲は極度の人見知りであり、見知らぬ大勢に向けて話しかける事を苦手としているのだ。

 だが彼は声を出す。エッセイという状況が、例文を書き起こすという場が、彼をそうさせたのだ。

 褒めてあげて欲しい。頑張った人に温かな言葉をかけると、もっと褒められたくて頑張ってしまうものだ。

 実に単純だと思わないだろうか。滑稽で、プライドもない行為だと。だが花咲はそれでいいと考えている。自分の気持ちを誤魔化す事は、嘘を付き態度を偽る事は、先々あまり良い結果を引き起こさないと知っていた。

 承認欲求が高く、下らない嘘を付いてまで他者に認められたがった花咲も成長したものだ。

 だからこそ、なんだろう。褒められると、噛み締めるように喜んでしまうのは。

 きっと彼は、あまりにも嬉し過ぎて泣いてしまうだろう。ズボンも脱ぐかもしれない。彼は興奮するとよく服を脱ぐのだ。

 勘違いしないでやって欲しいのだが、外ではしない。当たり前だ。そんな事をすると逮捕されてしまう。当たり前の事を、当たり前のように注意できる。そんな人間に、花咲は成りたがっている。




■句点によって「改行」を意識した文章


「これは例文という名のテストです」

 花咲樹木は震えた声でそう言った。

 なぜ声が震えていたのか。それは緊張していたからだろう。

 花咲は極度の人見知りであり、見知らぬ大勢に向けて話しかける事を苦手としているのだ。

 だが彼は声を出す。

 エッセイという状況が、例文を書き起こすという場が、彼をそうさせたのだ。

 褒めてあげて欲しい。

 頑張った人に温かな言葉をかけると、もっと褒められたくて頑張ってしまうものだ。

 実に単純だと思わないだろうか。滑稽で、プライドもない行為だと。

 だが花咲はそれでいいと考えている。

 自分の気持ちを誤魔化す事は、嘘を付き態度を偽る事は、先々あまり良い結果を引き起こさないと知っていた。

 承認欲求が高く、下らない嘘を付いてまで他者に認められたがった花咲も成長したものだ。

 だからこそ、なんだろう。

 褒められると、噛み締めるように喜んでしまうのは。

 きっと彼は、あまりにも嬉し過ぎて泣いてしまうだろう。

 ズボンも脱ぐかもしれない。彼は興奮するとよく服を脱ぐのだ。

 勘違いしないでやって欲しいのだが、外ではしない。

 当たり前だ。そんな事をすると逮捕されてしまう。

 当たり前の事を、当たり前のように注意できる。

 そんな人間に、花咲は成りたがっている。




■行間による「空白」を意識した文章


「これは例文という名のテストです」


 花咲樹木は震えた声でそう言った。


 なぜ声が震えていたのか。それは緊張していたからだろう。

 花咲は極度の人見知りであり、見知らぬ大勢に向けて話しかける事を苦手としているのだ。


 だが彼は声を出す。

 エッセイという状況が、例文を書き起こすという場が、彼をそうさせたのだ。


 褒めてあげて欲しい。


 頑張った人に温かな言葉をかけると、もっと褒められたくて頑張ってしまうものだ。

 実に単純だと思わないだろうか。滑稽で、プライドもない行為だと。


 だが花咲はそれでいいと考えている。

 自分の気持ちを誤魔化す事は、嘘を付き態度を偽る事は、先々あまり良い結果を引き起こさないと知っていた。


 承認欲求が高く、下らない嘘を付いてまで他者に認められたがった花咲も成長したものだ。


 だからこそ、なんだろう。

 褒められると、噛み締めるように喜んでしまうのは。


 きっと彼は、あまりにも嬉し過ぎて泣いてしまうだろう。

 ズボンも脱ぐかもしれない。彼は興奮するとよく服を脱ぐのだ。

 勘違いしないでやって欲しいのだが、外ではしない。

 当たり前だ。そんな事をすると逮捕されてしまう。


 当たり前の事を、当たり前のように注意できる。


 そんな人間に、花咲は成りたがっている。




 ……はい。どうでしょうか?

 おそらく本という媒体に多い「縦書き」ならば気にならない部分も、画面という「横書き」なら、組み立て方によって印象が変わってくるのだと思います。


 自分がどの組み立て方を一番読みやすいと感じたのか、なんとなく把握できたでしょうか。


 同じ文章なのに、段落と改行、そして空白を入れる事で――文章の「読みやすさ」と「伝わりやすさ」が変わってくる。


 そして、空白を入れる事により『ただの組み立て方で文章を強調できる』ようになるのです。


 ネット投稿という媒体は、本では出来ない表現を可能にしています。

 段落、改行、そして空白により、注目して欲しい文章や、読み飛ばして欲しくない文章を限定できる。


 ネット投稿って、素晴らしい媒体ですね。


 という訳で、文章の組み立てによる「段落」「改行」「行間による空白表現」でした。


 同じ文章なのに、段落と改行、そして空白を入れる事で――文章の「読みやすさ」と「伝わりやすさ」が変わってくる。


 それを少しでも感じていただけたならば、今回の項目は成功しています。

 自分の物書きとしてのスタイルを考えていき、どう文章を組み立てていくかを決めていくと、同じ文章なのに「読んでもらえる」回数が変わってくるのかもしれません。



 それでは今回はここまでとさせてください。


 次回は、今回の項目でも少し登場した「読点」と「句点」を掘り下げていくと思われます。

 それに伴った「てにをは」という文章の基本知識について、ですね。


 こちらはプロの現場に潜り込んだ花咲が、先輩(というより上司)ライターに完成した文章を提出した際、すごく細かく指摘が入り「ここまで意識できていなかったのか」と少し落ち込んだ部分でもあります。


 花咲も、未だに完璧に出来ているとは言えません。

(学生時代に国語の授業で習ったのでしょうか? 勉強が嫌いだった花咲は、もうその記憶自体がありません……)


 ですが先輩ライターに「気を付け方」の基準を教わったので、そちらを書き連ねていこうと考えております。

(おそらく当たり前のことなのでしょうが、言われるまで意識できていなかった花咲です)


 どうか少しばかり、お付き合いくださいませ。ぺこり。

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