第27話 「記号」と「空白」(文字数と折り返し)

 今回から『文章力』向上のきっかけとなる項目を掘り下げていきます。


 初回は「記号」と「空白」についてです。

 そして、それに関わってくる「文字数」と「折り返し」表現への考え方になるでしょう。


 とはいえ、これは小説の書き方を調べると、まず最初に行きつくような知識だと思うので、少し省略気味にいかせていただきます。

 花咲がこの項目にて記すのは、その基本知識ではなく応用という形になると思われます。


 読み手に「分かりやすく」、文章が「伝わりやすく」なる為の、文字を打ち込む際の考え方ですね。


 それでは、まずは『小説』媒体における、基本ルールを書き連ねていきます。


・「…(三点リーダ)」や「―(ダッシュ)」という間延びや強調表現は、『偶数』個にて打ち込む

・「?(疑問符)」や「!(感嘆符)」の『次の文字には空白』を入れる

・セリフの中に『同じ括弧表現を使用しない』

・段落の最初、文章における『文頭には空白』を入れる

(セリフ等の括弧表現が文頭にくる場合は別。文字の頭の位置を揃えるという意味になります)


 ……はい、こんな感じですね。

 掘り下げていくともっと細かなルールがあります。

(「―(ダッシュ)」という強調表現は、括弧のような使い方も出来る等)


 ですが、文章構成にて多用するのは、これくらいかなと思われます。

 少なくとも、上記のもの以外は、別に無理をして使わなくても、文章として成立する表現だろうと、花咲は個人的に考えております。


 このルールは知っている方が多いと思うので、例文も軽くだけ載せますね。


■ルールに則った場合


「あぁ~……もう宝くじを当てて、一生働かずに生きていきたいな! そう思うだろう? あ、そう――『まだ小説で印税生活を狙う方が可能性が高い』ですか。ごもっともかと」

 おみそれしましたと、僕は腰を曲げて頭を下げた。


■ルールを無視した場合


「あぁ~…もう宝くじを当てて、一生働かずに生きていきたいな!そう思うだろう?あ、そう―「まだ小説で印税生活を狙う方が可能性が高い」ですか。ごもっともかと」

おみそれしましたと、僕は腰を曲げて頭を下げた。



 ……はい。こんな感じです。

 どうでしょう? 上記の知識に慣れた人は、ルールに則っている文章の方が「読みやすく」、文章の意味も「伝わりやすい」かなと思われます。


 その意味は、ルールに反している場合――読み手はそこに強く「違和感」を持ってしまい、文章の内容に集中できないからです。


『読み手に余計に考えさせている』状態ですね。


 文章の基本知識とは、作者ではなく『読み手』の為にあるのです。

 物書きを目指す場合は、これを基本筋としてください。


 という訳で、まず最初に、これを主張させていただきましょう。


 上記の知識のうち、セリフ内に同じ括弧表現を使用しないというルール以外……

 ――「絶対にこのルールを守らなければいけない!」というものではありません。


 ネットにて小説を投稿する場合、なおさらです。

 別に、ルールを無視して文字を打ち込んでも、なんら問題ありません。


 ただ『ルールに則った方が無難だろう』というだけです。

(感想欄などで、親切な方に突っ込まれないための予防線と言ってもいいです笑)


 何故ならば、この「記号」や「空白」という表記の常識は、どの媒体で文字を表記するかによって『根本的なルール自体が変わって来る』からです。

(媒体 = 本、PC、携帯電話、スマートフォン等)


 花咲が調べた限りでは、「小説家になろう」「カクヨム」様では、文章のルールそのものが設定されていません。

(もし、あったら御免なさい)


 だから、別にルールに則っていないからといって「批判されて当然」という訳ではありません。

 むしろ「そっちの常識を押し付けるな!」と怒っていいくらい、的外れです。


 感想欄などで突っ込まれる内容、その意味は『小説のルールに則った方が文章は読みやすい』から、作者は書くとき意識して欲しい、というものです。


 いえ、これだと言葉が足りませんね。


 ――『小説のルールに則った方が、(その人にとって)文章は読みやすい』


 こう言い表すのが正しいのでしょう。

 本を読み慣れた人ほど、作家としての地位を築いているほど、こういった意見が「正しい」と思いがちです。


 しかし文章の知識は、媒体によってルールが変わります。


 だから、ネット投稿の際に「このルールが正しい」という常識はないのです。


 ただ、その人にとって読みやすく、伝わりやすくなるから、作者には意識して直して欲しい。

 そういう主張や意見だと、考えてください。

(だからこそ、絶対に従わなければいけない、という事もありません)


 それでは、先ほど書き連ねた「媒体によってルールが変わる」という言葉の意味を記していきます。


 スマートフォンを使用した「ソーシャルゲーム」の場合――


・「?」や「!」の後の『空白表現は必要ない』場合が多くなります

・『文頭の空白も必要ありません』


 そして「…(三点リ-ダ)」や「―(ダッシュ)」といった、間延びや強調といった表現も、ルールが変わります。


・「…(三点リ-ダ)」や「―(ダッシュ)」等の記号は、小説の媒体では『偶数』個で統一。


 ですがソシャゲの場合は『一つ』を推奨される場合が多くなっていきます。


 つまり、先ほどの『ルールを無視した場合』の文章の方が、ソシャゲ上の表現では『正しいルール』になるのです。


 まあ、これは『書き手のルール』であって、本を読みなれた『読み手』にとっては、小説のルールの方が変わらず「読みやすく」「伝わりやすい」と思いますが。

(あくまで、このルール変更は物書き目線でのお話です)


 しかし、何故ルールが変わるのか。


 これはPCの画面にも関係している事なのですが、ソシャゲを含むゲーム画面には

 ――表示できる『文字の最大数』が決まっているからなんです。


※(04/30)文字数の説明部分を調整

 それはその会社が使用するシステム、ゲームエンジンによって変わってきます。

(ちなみに弊社のゲームは最近、一文が「26文字×3行」までという規定が多いですね。全てのシナリオテキストを、その文字数に合わせて作成しています)


 どの媒体で文字を表記するかによって、文字の最大数が変わってくるのです。


 ソシャゲの場合、文頭の空白や、記号の偶数個使用といった文章ルールを守っていると、一文内の文字数、表現が狭まってしまう為、わざと小説の文章ルールから変えているのですね。


「小説家になろう」「カクヨム」様でも、それは同じです。


 画面上に「折り返さない」で表示できる『一文の最大文字数』が決まっています。


 その文字数を超えると、自動的に改行されてしまうのですね。


 この項目を書くにあたり、少し調べさせていただきました。


「カクヨム」様におけるPC上の「一文の最大文字数」は

 ――『38文字』でした。

(※あくまで花咲樹木が使用しているPC上では、という結果でした)


①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧


 これです。

 もし良かったらコピペして持っていってくださいませ。


 一文内の文字数が「38文字を超える」と、自動的に改行されてしまうのですね。


 ちなみに、レイアウト設定で文字サイズを変更した場合、この限りではないので注意です。


 そしてここも注意して欲しいのですが、この折り返しの文字数は『パソコン画面上』のものです。

 携帯電話、スマホの場合は、この最大文字数も変わってきます。

(スマホは機種による画面サイズによっても変わるのかな、と思うので、もし時間と気力に余裕がある方は調べてみると面白いかもしれません)


※(2/27)追記

 それぞれのPC環境やフォント設定によって、一文内の最大文字数がかなり変化していくようです(使用ブラウザによっても?)

 それを踏まえて考えると、書き手側の意識としては「大体30文字~35文字くらいまで」と考えるのが良いかもしれません。おそらくPC上では、上記の文字数くらいですると、ほぼ一文内に収まるかと思われます。


 なぜ花咲は、各サイトの「最大文字数」と「折り返し」をここまで調べたのか。


 それは――

 基本的に『一文内の文字数は、折り返さない方が読みやすい』からです!

(ばばーん)



 これも実は、読み手の感覚によって変わるのですが、基本的には、とさせてください。


 という訳で例文を用意させていただきます。

 一文内の文字数や改行に気を使った文章と、気を使わなかった場合の文章です。


■一文内の文字数や改行に気を使わなかった文章

(読み辛かったら、飛ばしてください。下に同じ文章があります)


①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩①②③④⑤⑥⑦⑧


 これはテストです。一文内における最大文字数や、自動的に改行される事を伝える例文です。それにしても「恋は雨上がりのように」は尊いですな……。店長とあきらちゃんは二人とも可愛いです。両方ヒロインと言っても過言ではないですね。まったく、おっさんが可愛い作品ですよ!(ぷんぷん)ですがあの物語は、45歳の店長が17歳の女子高生と付き合うと、倫理的にマズいという正しい感性を持っているからこそ成立する作品であり、少しでも男側がスケベ心を発揮する登場人物だとラブコメとして成立していかないのが悲しいところです。店長にその感覚がなかったら、ただのエロ本になりそうですものね……。原作はもう少しで完結らしいので、どういう終わり方になるのか気になりますな。果たして恋の行方はどうなるのか……!



■一文内の文字数や改行に気を使った文章


 これはテストです。

 一文内における最大文字数や、自動的に改行される事を伝える例文です。

 それにしても「恋は雨上がりのように」は尊いですな……。

 店長とアキラちゃんは二人とも可愛いです。両方ヒロインと言っても過言ではないですね。

 まったく、おっさんが可愛い作品ですよ!(ぷんぷん)

 ですがあの物語は、45歳の店長が17歳の女子高生と付き合うと、倫理的にマズいという正しい感性を持っているからこそ成立する作品であり、少しでも男側がスケベ心を発揮する登場人物だとラブコメとして成立していかないのが悲しいところです。

 店長にその感覚がなかったら、ただのエロ本になりそうですものね……。

 原作はもう少しで完結らしいので、どういう終わり方になるのか気になりますな。

 果たして二人の恋の行方はどうなるのか……!



 ……はい。どうでしょうか?


 おそらく『一文内の文字数や改行に気を使った文章』の方が、読みやすく、その内容も伝わりやすいと考えております。


 文章を読んでもらう際には、読み手に「余計に考えさせてはいけません」


 文字を打ち込む時に『一文を最大文字数以内に収める』と、貴方の文章はぐっと、読みやすくなっていきます。


 読みやすいということは、読み手にその意味も伝わりやすい事にも繋がっていきます。


 まあ、わざと一文の文字数を長くして「じっくりと読ませる」という手法もあるので、一概には言えないのですけれど。

 時の場合にもよりますが、「一文の文字数を意識した方が良い」という事を伝えられれば、先ほどの例文は役割を果たしております。


 これも媒体によってその都度、変化していくもので、結局は自分が思う『こうした方が読み手には伝わりやすい、読みやすい』という文章に調整していくしかありません。


 文章表記の正しいルールなど、ネット投稿という媒体にはありません。


 だからこそ、自分が思う「より良い」を追求していく必要が出てくるのです。


 貴方がどういう媒体で、自分の物語を世に広めたいのか。


 小説としての本なのか。

 ゲームとしての画面表記なのか。

 詞やポエムといったものでも、おそらくルールが変わって来るでしょう。


 縦書きなのか、横書きなのか。


 どの画面に合わせて、文字数を意識するのか。


 どうすれば読み手が文章を『読みやすいのか』――それを意識すると、自然と定まって来るでしょう。


 あ、もちろん小説大賞に送る際などは、記号や空白のルールは「小説」に合わせる必要がありますよー。ルールを無視した時点でそこが弱点になってしまいます。

 そこを意識していない場合、「小説として売り出そうと考えている」作者様より、印象は悪くなってしまうだろうと、花咲は個人的に考えております。


 この項目内容が、少しでも貴方の物語における「読みやすい」「伝わりやすい」という『文章力』向上のお手伝いになれば嬉しいです。


 それでは、今回の項目はここまでとさせてください。


 次回は、今回でも少し登場した「段落」と「改行」における文章力を、掘り下げていきたいと考えております。

 そこには、ネット投稿で多く使用されている『行間における空白表現』という部分がかかってきています。

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