第19話 「ストーリー構築」について(本一冊分と映画)
それでは、今回から少し続きものになるであろう『ストーリーの構築』についてを掘り下げていきたいと思います。
まず今回は、構築の方法ではなく――「プロットを作る際にどれくらいの情報量が自分に合っているか」を、考えていくきっかけになればと思い、その方法を記します。
「小説家になろう」「カクヨム」様にて物語を書いている方は、皆それぞれの分量を、色んなジャンルで投稿していますよね。
これは花咲が投稿する前に様々な作品を見てきて、そこで少し心配に思ってしまった事でもあるのです。
【お題】――皆さんは、本一冊分の分量がどれくらいなのか把握していますか?
知っている人は知っている。知らない人は、覚えてね。
(昔こんなCMありましたね)
物語として世に出す「本一冊分の分量」とは――
「10万文字~15万文字」程だと言われています。
もし貴方の物語が、読者からの評価を得て、ランキングに入り、出版社の目に留まったら。
本として、分量をわけて出版されていくのでしょう。
ですが、ここで懸念点が一つ。
――貴方の物語は、本一冊分ずつの分量で「ちゃんと区切りが付いていますか?」
先ほどのお題は、これに関連する問いかけになります。
(物語の山場、オチ。本にした時に読者がその本一冊を読んだだけでも、一つの物語として楽しめるようになっているか、です)
ネット企画ではなく、出版社が開催している小説大賞に応募した事がある人は、おそらく大体の分量を把握していると思われます。
そこで経験を積むと、どのくらいストーリーを始まりと終わりまで考えれば、本一冊分に足りるのか、合わせられるのかが掴めてくるのですが……。
ネット投稿で積んだ経験では、ここを把握し辛いです。
書いてみてから判断する。足りない場合は付け足す、という状態がいくらでも許される環境だからですね。
しかし、物書きを仕事にする場合は違います。
きっちりと、本一冊分の分量に『プロット内容を合わせる』技能が必要になってきます。
(ゲームシナリオライター業でも同じです。物にもよりますが、PCゲーム一本分は、大体50万文字前後くらいでしょうか。仕事場での花咲はそこに合わせて、プロット内容を考えていっています。本五冊分くらいで一つの物語ですね)
だからこそ、ネット投稿だけをしている方は危険です。
いつでも、どんな分量を書いても「誰も文句を言わない」感覚に慣れてしまう危険性があるからですね。
物語の始まりと終わりを、決められた分量に合わせて構築する。
(それぞれのレーベルやジャンル、出版社によって変わってくるのです)
この能力を磨く方法を、今回の項目にて記していきます。
物書きを仕事にしたいと考えている方は、是非やってみて欲しい事であり、これからネット投稿をしようと考えている方も、今まさにネット投稿をしている方も、章ごとのストーリー分量や、それを纏めた本一冊分の分量という感覚を身に付けましょう。
のちのち絶対に技能が必要になってくる「物書きのプロ」になる前から、少しずつでもいいので、「分量を考えながらストーリーを構築する」練習をしていきましょう!
そして、そういう考え方だと仮定するならば……。
今回は【魅力の言語化とレビュー】という、レビューを書いて、プロット段階で魅力を説明する能力を磨く項目と似ていますね。
物書きのプロを目指すならば――「まだプロではない」時代から、将来の為の準備と練習を積み重ねていきましょう。
(本音を少し出すならば、この項目で反響があれば嬉しいなぁと思っていたり笑。プロを目指す上での必須技能の練習方法です。本文を書くだけでは練習が足りないのです)
閑話休題
という訳で、今回は「本一冊分のストーリーに必要なプロット情報量」を把握しよう、という項目になります。
そして、それは人それぞれによって、かなり違ってきます。
それは何故か。
作者はそれぞれ『頭の出来』というものが違ってくるからです。
(暗記力や想像力、頭の回転の早さや、地頭の良さ等)
プロットには、その人に合った情報量というものがあります。
そして当エッセイでは、自分は「これくらいの情報量があれば、本一冊分のストーリーを書ける」という状態を把握していく、お手伝いをしていきたいと考えています。
それでは、ここからが本題です。
自分に合った情報量を把握する為の作業とは、今回のタイトルにもある『映画』が関わってきます。
皆さんは、映画の平均的な上映時間を知っているでしょうか。
花咲も正確に調べてはいないので、ざっくりとですが――
「90分~120分」という上映時間が多いだろうと考えています。
一時間半から、二時間くらいですね。
なぜ映画の上映時間が、プロットの情報量と関わってくるのか?
それは「原作つきの映画の分量」というものが、ここに関わってくるからです。
つまり、自分が「映画を一本」作れるくらいの必要情報量を把握できれば、それがまさしく「本一冊分」くらいだという理屈になります。
これに花咲が気付いたのは、アニメを見ていた時でした。
ラノベがアニメ化する。その現象は世にありふれていますね。
では、アニメ化した時に、ラノベ一冊分が何話分なのか、という事に着目してみました。
アニメは大体平均して、三話~四話で、ラノベ一冊分を振り分けていたのです。
時間にすると、90分~120分ですね。
……どうでしょう? まさしく映画一本分くらいだと考えると、なんだか面白いなと思いました。
これはプロットの指針になると、そう考え付いたのです。
映画一本分のプロットを因数分解し、あらすじとして要約することが叶えば、それが「その人にとって必要な情報量」を計る練習に相応しい方法になるのではないか。
あらすじとは、要約であり解説です。
物語の始まりから終わりまでのストーリーを、あらすじとして要約できれば、その情報量を元に、本一冊分を書き上げることが出来ます。
その情報量が、その作者にとって最低限必要なプロット分量なのです。
……はい。ここまで書いてきましたが、なんとなーく理屈は分かったが、具体的なやり方はどういうこっちゃ、という事は、まだ説明しきれていないのではないかと思います。
なので当エッセイでは恒例になりつつある、例文を出させていただきます。
花咲がこの世で一番好きな映画は『天使にラブ・ソングを…』という物語です。
この場で例題として出すということは、オチまで含めたネタバレになってしまうので、知りたくないという方は読み飛ばしてくださいませ。
(25年前の作品なので、ネタバレも何もなさそうな気もしていますが、念のため)
ここから、要約したあらすじです――
主人公デロリスは、クラブ歌手を務めており、音楽で成功していきたいと夢みています。
ですが偶然、愛人であるマフィアの悪事を目撃してしまい、口封じの為に殺されてしまいそうになります。
なんとか逃げ延び、相談を持ち掛けた警官の考えにより、潜伏先として「教会」のシスターとなり、名前も変えて生活することになってしまいました。
教会の生活は無欲を称賛しており、食べ物も味が薄く、異性との恋も禁じられ、およそ娯楽というものがない暮らしに、デロリスは嫌気が指します。
ですがある日、デロリスはシスター長から聖歌隊の指導をしてやって欲しいと頼まれたことで、窮屈な教会の生活に「音楽」という面白さが与えられます。
しかし聖歌隊が歌うのは神への愛や称賛を奏でる「讃美歌」しかなく、そこでもデロリスは不満を感じてしまいました。
デロリスは自身の歌手としての経験をフルに使い、聖歌隊を練習させ、曲のテンポすらも変えて、讃美歌を客に向けて娯楽を提供するショーに変化させてしまいます。
それは見事に受け入れられ、教会は今まで以上に礼拝する人が訪れ、聖歌隊の讃美歌を楽しみにする地元の人々と仲良くなっていきます。それはテレビにまで報道されるほど、人気を獲得してしまいました。近いうちに法王の前で披露するほどに、話題になったのです。
テレビで報道されたことにより、隠れたデロリスを探していたマフィアの愛人に所在がバレてしまい、強引な手段で連れ去られてしまいます。
聖歌隊の指揮者であり、曲のアレンジや指導まで全てを行っていたデロリスがいなくなったことで、教会は混乱してしまいます。法王の前で歌う機会が迫っているのに、大事な人員が急に姿を消したからです。
聖歌隊の為に、そして何より教会生活で仲良くなったデロリスへの友情の為に、シスターたちはマフィアの元へ駆けつけ、デロリスを救い出します。その事が原因で、マフィアの悪事が世間にバレ、逮捕する事も叶いました。
そしてデロリスを連れ戻せた事で、法王の前で「ショーとしても楽しめる讃美歌」を披露する事に成功します。そして隠れる必要のなくなったデロリスは、教会を離れ、シスターとして得た人気も相まって、歌手としての成功の道を歩むことになったのです。
……はい。
これが、この物語の、始まりから終わりまでを要約したストーリー概要です。
花咲はこの「あらすじ」があれば、映画一本分、本一冊分の物語を書くことが出来ます。
内部にある人物描写や、細かな伏線や導線は、既に「頭の中」にあるからです。
作者にとって必要最低限な情報量、というものを少しでも伝えられたでしょうか。
人によって、それは違ってきます。
これには物語を書くこと、プロットを構築することの慣れも関係しています。
映画を観て、その内容を「あらすじ」として要約してみる。
その文章を見てみてください。
その状態が、貴方にとって「本一冊分」を作るのに必要な情報量なのです。
その「あらすじ」があれば、きっと貴方は本一冊分の物語が書けます。後はそれを再び細かく因数分解し、少しずつ場面ごとに本文を書き上げていくだけです。
(世界観や舞台、キャラの人数や性格などは、記さなくても既に頭の中に入っていると思われます)
この練習方法は、プロット構築という分野に置いては、かなり効率がいいと自負しています。
きちんとした実績もあります。
なぜならば、この方法は花咲がプロになる前に、実際にしていた練習だからです。
(その為に、映画館でアルバイトしていた事もありました。働く場所によっては、映画をタダで見られるという制度が欲しかったのです)
ストーリーの始まりから終わりまで、オチまでを含めた「プロット作成」という能力が、この方法では最大効率で磨かれていくと、考えています。
物語を書くには、体力も、時間も使うので、疲れるし、精神的にもしんどいです。
ですがこの方法は、実際に本一冊分の物語を書かなくても――『物語の構成力』という部分を、強化できます。
(面倒くさがりにとっては、最高の練習になりました)
それはストーリーだけではなく、キャラの項目にて記した「キャラの導線」や「人数」と「役割」、「性格」や「能力」というものまで、考える必要が出てきます。
それを、あらすじにて記すかどうかは、その人次第です。
設定が頭の中にあれば、物語はイメージ通りに言語化できるからです。
この例によって――
プロットに必要な情報量という意味が、少しでも伝えられたでしょうか。
この方法は「構成力を磨く」というだけではなく、「本一冊分のプロット分量」というものも、同時に頭の中に染み込ませることが出来ます。
(映画一本分は、本一冊分と同じくらいなのです)
そして、ここも重要です。
物書きのプロとしてやっていく為の、本文を書かないままで『物語の魅力を相手に伝える』という能力も、下準備として経験していけるのです。
一石二鳥、いや、一石三鳥くらい実益がある練習方法だと、花咲樹木は自負しているのです。
(だからこそ、反響が欲しいなと思ったり。チラ、チラッ)
皆さんには、好きな映画という物語がありますか?
それを観ながら、楽しみながら、一度ストーリーの始まりから終わりまでを「あらすじ」として要約してみると、「物語を書く」という能力とは別の――『プロット構成能力』だけを最大効率で突き詰める事が出来ます。
いつかの項目で、書き連ねていきましたね。
『プロット段階で面白くないものは、実際に物語を書いても面白くありません』
逆に言えば、プロット段階で面白いものを作る事が叶えば、その書き上げた物語は面白くなるのです。
何故かは、もうここまでの項目でも書いて来ましたね。
物書きのプロになったら、企業や出版社と打ち合わせをして、ゴーサインが出たプロット通りに物語を書くことが求められます。
だからこそ、プロットという『設計図』の時点で、面白く感じられるよう構築する必要が出てきます。
そして映画とはプロの作品であり、参考資料として最適です。
何よりも、好きな映画というものは、自分の感性に合った物語だからです。
お手本として、最大効率で活用できるのです。
プロットで面白さを説明できる能力を身に付ければ、きっとその物語は本になり、対価としてお金を貰える作品になるでしょう。
貴方が構築したプロットが、きっと物語となり、本になって世の中に売られていくのです。
ですが、ここで注意点が一つ。
そのあらすじという要約は、作者にとっての必要最低限の情報量というだけで、企業や出版社にとって必要な情報量という訳ではありません。
実際にプロとして、企業や出版社へプロットを提出する際は、誰が読んでも面白さを読み取れるように、企画書という媒体に落とし込まなければいけないからです。
これも難しい部分ですが、花咲は本を出したことがないので、確かなコツというものを書き連ねる事が出来ません。申し訳ないです。
(ゲームシナリオライターとしても、まだ把握できたとは言えません。企画書を見せる相手が誰によるかでも、企画書の仕様が変わってくるだろうと思っています)
ここまでの内容をまとめると――
たくさん、映画を楽しみましょう。
そして、そこに『考えること』を混ぜましょう。
そうすれば、きっと貴方は面白い物語のプロットを構築できます!
さて、それでは今回はここまでとさせてください。
今回は『プロットを作る際にどれくらいの情報量が自分に合っているか』と、『プロット構成力の磨き方』についてでした。
次回はおそらく、ストーリーの実際の構築方法についてを、カキカキしていくだろうと考えています。
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