第16話 「ジャンル」について①(世界観系)
それでは今回は、それぞれの「ジャンル」についてを掘り下げていこうといきたいと思います。
思うのですが、うーん……あんまり、書き連ねることがなさそうなんですよね。
各ジャンルのことは、それを好きな方々のほうが、よほど詳しいと思います。
(そもそも花咲樹木自体が、全部のジャンルに詳しくないのもあり)
このジャンル選びでは、いわゆる「テンプレート」というものが大事になってきます。
日本語に訳すと「王道」でしょうか。
それぞれのジャンルには、それぞれの王道があります。
(先人が積み上げて来た定番のネタとも言えるでしょう)
王道を意識していないと、どこかで面白さの追求にも限界が来るのだと思っています。
それは何故か。
ジャンルには、それぞれ「読み手が期待する展開」というものがあるからです。
(あまりにも王道から外れすぎると、読み手は次の展開をハラハラもしますが、分かっていないなぁ、普通はこうでしょう、という判断をしてしまうのです)
それを抑えつつ、随所で外すことが、いわゆる「作家のオリジナリティ」になっていきます。
まさに「現実的思考をアイデアによって崩す」という形ですね。
物語を作る場合においては、テンプレートという現実的思考をまず把握しないと、自分らしいネタやアイデアというものが機能していきません。
そして、これは勉強するしかありません。
プロの作品にたくさん触れて、学んでいきましょう。
(他の作者さんとのネタ被りや、二番煎じを避ける為にも、勉強していく必要があります)
……と、ここまでは前提です。
この考え方は、おそらく多くの方が考えているでしょう。
なので少し省略気味に、そのジャンルを選んだ時、自分らしさを出す為に『考えるべき項目』を記していこうかなと思っています。
①ファンタジー
②歴史
③ホラー
④SF (サイエンスフィクション)
このジャンルは、個人的にですが物語の作り方において、考えるべきことが似通っています。
本当は「アクション」も入れたかったのですが……どちらかと言うと次のジャンルになりそうなので省きました。
(あ、あと「童話」もこの項目に近いかもしれません。童話には、もう一つ大事な要点が入っているので、今回は少し省かせていただきます)
その考えるべきことは――『世界観』です。
上記のジャンルは、それぞれ「地球の現代」から違う世界観を描くものです。
なので、その面白さのキモは『どれだけ読み手の現実的思考をアイデアによって崩すか』にかかってきます。
①「ファンタジー」
そもそも現実世界から違う、剣や魔法が使える世界を描く場合が多いものです。
(単語的には、空想や幻想的、という意味があるんでしょうか)
このジャンルは、いかに「読み手をワクワクさせるか」を意識して世界観を構築していくといいでしょう。
うむむ……。
というより、ファンタジーというジャンル自体に、あまり花咲個人は納得がいっていません。
いわゆるファンタジーとは舞台設定のことであり、物語のどこを楽しんでもらうのかジャンルだけでは分からず、意味合いが広すぎるからです。
(恋愛も、アクションも、歴史も、ヒューマンドラマも、コメディーやホラーだって、童話的な意味合いだって含んでいます)
なので、個人的には『冒険もの』というジャンルに置き換えたいほどです。
主人公や仲間たちが、その世界観でどう冒険し、どう活躍していくか、それがファンタジーの醍醐味なのではないかと、花咲は考えています。
物語を読んでくださった方を、どうワクワクさせるか。
これが、このジャンルの一番大切にしたい要点だと考えているのです。
このジャンルは、いわゆる「設定語り」という面白さが使えます。
作者が考えた世界観がそもそも現実とは違うため、設定を知ってもらうことが、そのまま面白さに繋がるのです。
だからこそ、ファンタジーを選んで書こうと考えた作者は、その細かな設定にこだわる必要がでてきます。
一つの世界を、丸ごとそのまま作者が作り出すのです。
それを、読み手に紹介していきましょう。
例として――
政治、金融、軍隊、身分、貨幣制度の形態、金の価値と種類、宗教、世界地図、国の名前、国の位置、国の形態、人口、文化、暮らしぶり、仕事の種類、料理の成熟さ、普段の生活で食べるもの
と、いつかの項目で書き連ねましたね。
この設定が徹底していると、主人公を通して、まるで読み手がその世界を冒険しているかのような錯覚を起こせます。
「VRゲーム」というジャンルも、この面白さに似通っているのかもしれません。
現実(地球)を捨てて、その世界へ行きたい。
そう考えてもらえるほどワクワクさせることが叶えば、きっとその物語は読み手に面白いと言ってもらえるのでしょう。
あ、そういえば……花咲が仕事として物語を書いている世界観もファンタジーなのですが、そこにはある特殊なルールがあります。
英語表現禁止、というものです。
ファンタジー世界の言葉を日本語として訳しているだけなので、地球の様々な国の言葉を織り交ぜてはいけない、というものになります。
(これが結構難しいんですよ……。カタカナは、ほぼ名前や名称のみです。和訳辞典が大活躍です)
言語にまでこだわっていくと、その世界観が実際にあるかのように錯覚させられるのかもしれませんね。
②「歴史」
このジャンルは、現代から違う時代の世界を物語上で扱うものです。
だからこそ、実際に地球で起きた歴史を知る必要があります。
(学校の勉強でも、これは十分に知ることが可能です)
うぅ、いま学生である人が、花咲は心底羨ましいです……。
だって日々の生活でネタを学べるなんて、そんな最高の環境ありません。
前述の通り物書きを目指したのが22歳の頃だったので、学校の勉強が物語のネタになるなんて発想なかったんです……。
(大学いきたいよ~……。経営学や経済学を学んで、物語のネタとして使いたいよ~……。なんで高校では一切勉強しなかったんだろう……勿体なかったなぁ)
「学が無い」というのが、ここでは物書きにとって最大の弱点になります。
(つまり花咲樹木のことです)
このジャンルにとっては、実際の歴史こそが、テンプレートを知るということ。
そして、自分が考えた「こうであって欲しい歴史」というものが、現実的思考を崩すアイデアとなり、そのジャンルの面白さに繋がります。
現代に伝わっている歴史はこうだけど、本当はこうだったんじゃないか?
いやいや、こうだったのかもしれないぞ。
そういった考察をさせることが、読み手に伝える面白さのキモなのでしょう。
それは人間模様や、会話の掛け合い、いかにキャラクターを上手く描写するかにもかかってきています。
そして、それを描写するにも、勉学という意味合いの勉強が必要になるのでしょう。
これは漫画になりますが、「信長協奏曲」という作品が、歴史ジャンルでいう異世界転移ものに近いのではないでしょうか。
織田信長が、タイムスリップした現代の高校生という設定ですね。
そして、信長に顔が似ているという理由で影武者となり、実際に織田信長が歩んだ歴史を物語として描いていくのです。
(実際の織田信長は、作中の別の人物として生きています)
歴史ジャンルを書くには、知識が必要です。
でっち上げることが可能な部分は、あまり多くありません。
その当時の時代のことを隅々まで調べることが、面白い物語を書くことに繋がっていきます。
(でっち上げた部分が間違っていると、歴史好きから批判を受けてしまうのです)
③「ホラー」
これは現代に寄り添いつつも、その世界観の中では、現実にあり得ない事が起こるジャンルです。
ゾンビものなどが代表的ですね。
あれは、現実にはゾンビがいないからこそ、娯楽として成り立っています。
(実際にゾンビがいる世界なら、そこに娯楽を混ぜると、色々と各所から文句が出てくるでしょう)
拳銃で頭を吹き飛ばしたりすると、一部の善人から「彼らがなにをしたっていうの。まだ救えたかもしれないのに、可哀相でしょう!」という言葉をいただくかと。
(実際に被害に遭うと、ゾンビは殲滅するべきと180度意見を変えるのも、こういう人達です)
ホラーというのは、読み手の現実にはあり得ないからこそ、面白いのです。
このジャンルは「シュールさ」や「恐怖感」、読み手をドキドキさせる「臨場感」を演出することが重要になってきます。
現代でありながら、現代では出来ないことを描く。
だからこそ、そこが「現実的思考を崩すアイデア」として面白さに繋がります。
(ゲームでもそうですね。鉄パイプで車を壊したり、ショッピングモールに立てこもったりと、現実に即しながら、現実の日常を壊していきましょう)
どうすれば、穏やかな日常を暮らす読み手を驚かせるのか、恐いと思ってもらえるのか。
その世界観で暮らす人間たちはどんな感情を抱き、危機を乗り越えようとしているのか。
現実的思考を軸に置きながら、それをアイデアによってどう崩すか、そしてそこにどう「シュールさ」や「恐怖感」や「臨場感」を演出するか。
これを突き詰めていくと、他のジャンルを書く時も色々と演出が上手くなりそうですね。
④「SF」(サイエンス・フィクション)
このジャンルも、歴史と同じく現実的思考に沿って世界観を構築しますが、そこには「科学的根拠」というものが必要になります。
ここも学がないと物語の構築という作業が難しいです。
(学校での勉強をしっかり頑張らないと描けない)
でっち上げることは可能ですが、実際の科学に即していない法則や知識をドヤ顔で語ると、その方面の方々から強烈な批判を受けます。
しかしここは、ファンタジーと同じく「設定語り」が一番と言ってもいいほど、面白さに繋がる可能性が高いです。
剣や魔法ではなく、科学によって「現実的思考を崩す」面白さを追求していくジャンルですね。
考え上げた設定で、読み手を「ワクワクさせられるか」どうかが、キモになっていきます。
学力という意味での頭の良さが必要になってくるので、これまた花咲には向かないジャンルです……。
しかし、この世界観をしっかり構築できる人は、きっとファンタジー世界でも同じネタやアイデアが使えます。
俗にいう「知識チート」というものでしょうか。
異世界に転生や転移したあと、文化水準の低い世界にて、現代の知識を使い無双する。
(内政チートとも言うのでしょうか)
しかしこれも、普通の日常を暮らしているだけじゃ、異世界に行っても活躍なんかさせられません。
(そもそも現実的思考に沿うと、そんなに上手くいくと思えない)
だって黒色火薬の作り方を知っていても、現実では実際に作ったことなんかないので、ぶっつけ本番で試すなんて無理だと思いませんか……?
少なくとも花咲が異世界に行っても、普通に知識なんか使えずに死んでいくんじゃないかと思います。
そもそもの話、異世界に行った途端に風土病とかで死んじゃうのではないでしょうか。治療の知識とかも持ってないので。
そういえば……、逆に異世界に行ったら地球よりも文化水準が高い、という物語はあるんでしょうか?
まあ、行っても主人公がそこで何をするんだという感じですが。
ともあれ、このジャンルの物語を書くには、現実の知識が多く必要になってくる、というお話でした。
ここを攻める人は、まず勉強を頑張りましょう!(小並感)
さて、それでは今回はここまでとさせてください。
次回も、それぞれのジャンルについてを掘り下げていきます。
おそらく全部で三回くらいになるでしょうか。
あまり役立つようなコツを書き連ねることができず、申し訳ないです。
少しの間、お付き合いいただけると嬉しいです。
当エッセイを読んでくださり、ありがとうございました!
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