第15話 「ジャンル選び」について ※閲覧注意

 今回は『ジャンル』の話です。いえ、今回から少し続きものでしょうか。

 それぞれのジャンルについての話は次回以降にさせていただきます。


 今回は「ジャンル選び」の話についてを、特化させていくつもりです。

(この要点を選べば、てっとり早いという意味合いです)


 あまりにも現実的思考すぎて重い内容になっているので、実はあまり読んで欲しくありません……。


・ファンタジー

・恋愛

・純文学

・ヒューマンドラマ

・歴史

・推理

・ホラー

・アクション

・コメディー

・SF(サイエンスフィクション)

・童話


 ランキングを見てみただけでも、色々ありますね。

 それぞれのジャンルに、それぞれの難しさがあります。

(その内訳は次回以降)


 ではいったい、どれを選べば読み手のウケがいいのか?

(もちろん、自分の好きなジャンルを選ぶのが一番ですが)


 ジャンル選びの時点で“読者にとって”面白くなる可能性が高いという話をします。


 ――手っ取り早いのは、「異世界転生」「悪役令嬢」を選択し、その内容に「チート」「ハーレム」などの表現を入れることです。


・「異世界転生」「悪役令嬢」とは――多くの読み手が望んでいる、現実とは違う世界観の表現方法です


・「チート」とは――主人公に一番活躍させる描写の表現方法です

・「ハーレム」とは、男女比の人数をはっきり分け、作中で主人公が一番モテる状況を描写する方法です


 はい、どうでしょうか。


 こんなの少し調べれば、エッセイで解説されなくても誰だって分かりますよね……。


 ですがここで一つの注意点が。

 転生や悪役令嬢というのは、世界観や舞台に関わってくるものですが。


 ――「チート」や「ハーレム」という表現は、どのジャンルを選んでも使用できます。


 この二つは、キャラをどう描写するか、という内容だからです。

 どの世界観、どの舞台でも使えます。キャラクターの配置と表現方法の選択なのです。


 とはいっても、この二つを使って物語を書くことに忌避感を持つ方もいらっしゃると思います。

(そもそも、現実的な思考で物語を作れば、そうはならないですからね。チートはともかく、ハーレムは描写として不自然なことが多いです)


 だからこそ、当エッセイではもう少し踏み込んでいきたいと思います。

『考える』ことに重点を置き、意識改善のきっかけとなる内容を書き連ねていこうと考えています。

(あくまで考え方のきっかけなので、そうしないといけない、という訳ではありません)


 正気なところ、かなり気が重いです……。


 ……あえて、この項目内では、花咲樹木は『悪役』に徹する必要が出てきます。

(なので当エッセイを読んでくださった方に、嫌われてしまう可能性が高いです……)


 閲覧注意です。


 現実的すぎて、残酷な表現しかありません。


 心にダメージを負いたくなければ、続きを読まないことをオススメします。

(心の準備は出来たでしょうか……?)


 これは、物語でお金を稼ぐ気のない方にとっては何の意味のない注意点です。

 しかし人気が欲しい、自分の物語を読み手に喜んでもらいたい、という『野心』をお持ちの方ならば、きっと今エッセイを読んでムッときたしても、後々役に立ってくることを信じます……。


 ――「チート」や「ハーレム」といった安直なネタは使いたくない。


 そう考えている方々へ。


 チートやハーレムが好みではないと判断するのは問題ありません。

(読むのはいいけど、自分の物語には入れたくないという方も)


 ですが、ここで一つの意見を書き連ねます。


 それは、ただ――『他人に面白いと思ってもらいたい事を徹しきれていないだけ』です。


 この例題は、物書きをお仕事にした後の話です。

(かなり現実的にあり得るお話だと思いますが)


 例えば、お金を出してもらえる企業や出版社が――


「チートやハーレムの要素を入れて書いてください。人気が出るので」


 そう提案してきたら、貴方はどうしますか?


 そして、そんなものは書きたくないと、きっぱり要求を断ったとしましょう。

 代わりにもっと面白い物語がありますと、書いてみせますと、一生懸命プレゼンします。


 ですが……。


 貴方の選択に対して、企業や出版社がこう言ってきます。


「お金にならないから止めてください。どうしてもと言うのなら、ウチでは取り扱いません」


 そう言われたら、どうしましょう……。

 諦めてチートやハーレムを書くのか。それとも、その会社とお仕事するのを止めるのか。


 ですが次の企業や出版社も、同じことを言ってきたら、貴方はどう選択しますか……?


 企業や出版社は、物語で「お金を稼いでいます」――

 だからこそ「その作品がお金になるのか」どうかで判断してきます。


 何を当たり前のことを言っている、と思うかもしれません。

 それが仕事なんだから当然だろう。


 そう一度でも思ってしまったら、もうそれが答えなのです。

(人気作品になれる可能性が大きいと分かっているのなら、商業作品でそこを避ける意味がない)


 会社は慈善事業ではないので、誰よりもシビアな判断基準を持っています。

 何人もの「作品を売るプロ」が集まって、どうすれば作品がお金になるのか、どの路線を攻めれば売れるのかを、ずっとずっと研究しているのです。

(作者が作品を書いている間も、ずっとです。研究の時間や、その濃さでは敵いません)


 ……なんとなく、花咲が示したい結論が、わかってきたでしょうか。

(だからこそ、これを残酷だと表現しました)


 もし、貴方がチートやハーレムを選びたくないとしましょう。

 そして、安易なネタを使って人気が出た作者さんへ悪感情を抱いたとします。


 ――そんな事をして、クリエイターとして恥ずかしくないのか? と

(信念が足りない。プライドを持っていない。恥ずかしくて真似したくない。そんな感じの暗い印象です)


 しかし、その売れるジャンルを選んだ作者を『見下す』行為や思想は危険です。

(そう考えていると、逆に、企業や出版社から見下される可能性があります。なぜかは、もう分かってきたかと思います)


 なぜなら、ただ彼らは『物書きのプロ』であることに徹しきっただけなのです。

 そして、チートやハーレムという世にありふれた題材を扱いながら、実際に書き上げた作品で人気を勝ち取っています。

(そこに作者めいっぱいのネタやアイデア、創意工夫を盛り込んでいるのです)


 最初から設定に制限がある中で、読者に面白いと言ってもらえる物語をきちんと作れたのです。


 そして、企業や出版社から「この作者の作品を信頼しよう」と判断されています。


 ……すごいと、思いませんか?


 これは実際に、花咲樹木が「小説家になろう」「カクヨム」様に投稿しようと考え、どのジャンルに人気があるのかを調べていって、色んな作品群を読んだ際に思った事です。


 自分の好きなジャンルのみで面白さを追求するよりも、よほど『プロ意識が高い』と感じました。


 だからこそ、自分の物語を本に出来ているんだろう、と。


 自分の作品を、自分が面白く感じるように書くのは当然です。

 それが物書きの基本筋ですから。


 ですが、もし貴方が、埋もれている状態で満足したくない。

 もっと人気が欲しい。もっと評価が欲しいと思う方は、きっとこの考え方が必要になってくるのだと思います。


 書き上げた物語は、会心の出来になった――でも評価されなかった。

 では、その状態で“なぜ自分の思う通りに評価がもらえないのか”を、徹底的に分析してください。


 読者に売れる要素が入っているかどうかを、見てみてください。

(プロの作品、小説だけじゃなく後にコミック化、アニメになった作品と、見比べてみてください)


 ただ貴方が――「人気ジャンルに徹しきれていない」、「そのジャンルを楽しむ才能がない」だけかも、という可能性を考えてみて欲しいのです。

(あまりにも内罰的すぎるので、とても心が傷つくやり方ですが……)


 プロになったら、自分の物語を好きなように書いて、世の中に売り出してもらえる。

 もし、そう考えているなら、あまり企業や出版社に作品を通すのはオススメしません。同人活動や自主出版の方が断然ストレスなく作品を作れます。

(貴方の作品に、必ず編集者さんや会社の方針という「自分以外が考える面白さ」というエッセンスが入ってきます。プロとは、とても窮屈な中での作品づくりなのです)


 それは、企業や出版社が「お金を出して作品を買ってくれるお客さん」を大事に思うことを、誰にも変えられないからです。


 企業や出版社が、お客さんの意思を無視するわけありません。

(そんなことをすれば、すぐに潰れます)


 彼らは『面白くて売れるもの』を、どこまでも追及するお仕事なのです。

(その為に、自分の考えに固執して面白さを追求する作者よりも、会社の方針を理解して仕事してくれる作者の作品を選ぶという判断をしていきます。わがままを言う新人には素早く見切りをつけます)


 これは花咲がプロの現場に入ったあと、意識が少しずつ変わってきたことでもあります。

 あまりにもネガティブ思考すぎるので、あまり参考にはならないかもしれませんが。


・プライドを持たない

・節操を持たない


 これが自分にも、読者にも面白いと思ってもらえる作品作りの精神なのかもしれないと。

 そしてもう一つ、「諦める」を覚えました。

 自分ひとりの力では、業界の仕組みを変えることなど出来ないと。読者が面白いを思うジャンルを、塗り替えることなど出来ないと。


 世の中の仕組みがそうなっているのだから、人気になりたいなら、それを利用してやればいいと。

(構造解析を、物語に生かす、という部分にかかっています)


 ……ここまで書いてきましたが、もう一度拙作を見てみて欲しいです。

 チート表現が薄く、ハーレム要素はありません。つまり売れる要素が薄いのです。

(そもそもの男女比から、売れる要素を取り入れていません)


 徹しきれていません。


 趣味で書くのだから、自分の「好き」を優先しようと考えてしまいました。

(プロ意識の高さを自分で感じられない作品です。自分に甘いですね、反省点です……)


 でも、だからこそ人気が出ていないのだろうと、自分で納得しています。

(そもそも書く前から、メジャーには乗れないだろうと考えながら書きました)


 そして、もしそのチートやハーレムに迎合したとしても、それを面白く書けるかどうかは、正直なところ自信がありません。

(上の言葉も、言い訳のようなものです)


 世にたくさんあるチートやハーレム要素の持つ作品と戦って、勝ち抜けるという確信を持てないからです。

 面白いネタやアイデアが思いつけば、一度やってみようとも思っていますが……。

(まだ要点を抑えた上で、面白い世界観や描写が思い浮かんでいない)


 そして、既に人気が出やすいチートやハーレム表現に手を出し、それでも人気が出なかったという方へも、一つ。


 貴方のそれは、自分も面白く、読み手が求める物語に徹しきれていますか?

(プロの作品を見て、要点を研究していきましょう。答えは周囲にたくさん眠っています)


 そして、このエッセイを読み、一度「チートとハーレムに挑戦してみよう」と考えてくれた方へも、一つ。


 その要点を盛り込みながら、それでも「自分が面白い」と感じる物語を追求していきましょう。

 チートやハーレムが入っているから、自分は絶対に面白く感じない、という訳ではないはずです。


 だって世の中にあるプロの作品には、多くこの要点が入っているのですから。


 ただ主人公が強い、でも『チート』です。

 チートを避けたらバトル描写のある物語が逆に書きにくくなっていきます。


 物語の中に異性が多い、でも『ハーレム』に成り得ます。

 現実ではハーレムなど形成できないからこそ、物語の世界では読み手の期待に応えましょう。


 世の中にある作品の中で、その要点が入りながら楽しめている作品があるならば、その作品を教科書にしましょう。

(それが自分の感性に向いているお手本です)


 これは、あくまで現実的な思考から見たジャンル選びの分析です。


 当エッセイを読んだ方に、無理やり意識を変えろと書き記す訳ではありません。


 花咲樹木が、チートやハーレム表現が人気が出ている状態を見て、こう『考えた』というだけなのです。


 売れる表現を使ってみよう、という方も。

 それでも自分の好きを貫こう、という方も。


 どちらも応援しています。

 一緒に切磋琢磨していければ嬉しいです。


 ですが可能ならば、人気の出る要点を取り入れた方に悪感情を示す行為は止めた方がいいというだけです。

(【悪役の作り方】でも記しましたね。読み手にはそれが伝わり、作者自身が嫌われてしまう可能性が出てきます)


 そんな事をしても、何の得にもなりません。評価を得られない自分と比較し、少しずつ心が惨めになっていくだけの気がしています。

(彼らはライバルが多くいる世界に飛び込んでいき、その中で「自分にしか出せない面白さ」を発揮し、見事に人気を勝ち取ったという強者なのです)


 出来れば「自分が面白い」と感じる部分を大事にして、そのジャンルの中で『お客さんも面白いと思う』最大公約数の範囲を探ってください。


 それが出来れば、きっと貴方の作品は世の中に溢れ、たくさんの人に面白いと思ってもらえるでしょう。

 企業や出版社からも、「これは面白くて売れる」と太鼓判を押されるはずです。


 では、今回はここまでとさせてください。

(胃がキリキリしてきました)


 次回は『ジャンル』についての内訳を書き連ねていきたいと思います。

 既にエッセイ内で書き連ねた内容と被ってしまうでしょうが、それをどの分野なら生かせるのか、という解説になっていくと思われます。


 それでは、こんな残酷な内容にも関わらず、当エッセイを最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。


『考える』を深め――自己分析と構造解析をすると、どんどん自分が嫌いになっていく、という意味を少しでも伝えられていれば、花咲も仲間を見つけたみたいで嬉しくなります。

(自分の力量を、世間の中にある評価と比べ、はっきりと自覚してしまうからです。実績もなく、根拠のない自信なんか消し飛びます……)

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