第11話 「キャラ」について②(性格と能力)

 さて、今回は『キャラ』の作り方についての第二回目になります。

 前回は「物語上でのキャラの配置・人数・役割・そしてどう変わっていくか」を設定していこう、というものでした。


 今回の項目は『キャラの性格・能力』というキャラの内面、魅力の伝え方についてを、掘り下げていきたいと思います。


 ……えーっと、今から記すのはかなり残酷な表現なので、もしこの項目にて、それを少しでも知りたい、と思った方には、先に謝らざるを得ません。


 申し訳ありません。伏して、伏してお願い申し上げます。

(どうか怒らないでください)


 ――そもそも『設定した時点で魅力的なキャラ』はいません。


 キャラを魅力的に見せる、好きになってもらう、というのは、どちらかと言えば「物語上の描写」で伝えるものなので、作った時点から「魅力的なキャラが作れた!」という現象は起こりません。


 作ったキャラを「魅力的に映るよう描写する」のは、作者である貴方だからです。


 その為に、物語というものはあります。


 何万文字も使った『人物紹介』と思って欲しいです。

 なので、自分の物語上で、貴方が考える「格好いい」や「可愛い」を、どう描写すれば伝えられるか。

 それがキャラ同士の会話や、地の文の作り方になっていきます。


 そして、それが人物描写における『文章力』の基本筋だと考えてもらえれば、少し意識が変わってくるのかもしれません。


 人物描写というものは勉強するしかありません。

 勉強の仕方は、ここまでのエッセイで記してきました「プロの作品を参考にしよう」に関わってきます。


 本棚にある物語を見て、「どうして自分はこのキャラを格好いいと思うのか」、「こうすればキャラを好きになってもらえるかも?」を、少しずつ学んでいくしかないのです。

(人物描写のコツ、というものを伝えられなくて申し訳ありません)


 キャラを作る時に、「プロの作品のキャラを真似してみる」でも大丈夫です。

 模倣という行為は、上達において何よりの近道になります。世の中にはプロの作品がたくさんあり、教科書になる題材が把握しきれないほどあるのです。


 そして、自分の感性に合う「プロの作品の見分け方」は、もうエッセイ内で記しております。

 焦らず少しずつ、上手になっていくしかないのです。


 閑話休題。


 とはいえ、そんなことを言われてもなぁ……と、花咲樹木も思います。

 まだキャラの作り方に関する解説もしていないですし……。


 しかし、どういう性格にするか、どういう能力を持たせるかは、作者自身が考えるしかありません。こうすれば面白い、という正解がないからです。

 ですが参考になるコツをあえて捻り出すなら、その設定の仕方は「ストーリー上で必要になる」よう作っていってください。

(そして、それを描写できるようストーリーを組み立てていくようにしてください)


 こうすれば、作った設定が無駄になることはありません。


 それでは、少し話をタイトル付近に戻しまして。

 ここからは、花咲がキャラを作る時に意識していることを書き連ねていきたいと思います。


・『キャラをかぶらせない』

・『弱点を作る』(一つの設定と、相反する設定をもう一つを作る)


 この二つが、花咲のキャラの作り方の起点になっています。

 性格や能力というものは、作者の自由に決めていくもの。むしろ初期プロットから書いていく内に変更があっても、全然大丈夫なものです。

(これは前回の項目でも少し書きましたね)


「キャラかぶりを避ける」という項目は皆様も理由が簡単に想像つくと思います。


 設定がかぶっていたら、その分だけ魅力が分散するからです。

 なので登場キャラは、その性格と能力を可能な限りかぶらないよう設定していきます。

(可能ならば、年齢や職業、身分や立場なども)


 そして「弱点を作る」というものは、そのキャラを「現実に落とし込む」ためのものです。


【第三者視点とは何か】という項目にて、「完璧な人間なんていない」という事を書き連ねたと思います。

 それを人為的に発生させるのが、弱点を作るという状態なのです。

(良い所と悪い所を始めから決めておくことで、その部分を人間らしさとして描写する)


 拙作を例に出すと――


●主人公・イオリ

・作中最強。武器は剣(能力)

・みんなが精霊術を使える中で、一人だけ使えない(弱点)

・しかしそれで不貞腐れず、体を鍛えるといった努力で夢に近づこうとする(性格)


●ヒロイン・シャルロット

・植物を操れる(能力)

・誰もが認めるほど容姿端麗(能力)

・しかし自分の容姿のせいで、周囲に迷惑をかけてしまっている(弱点)

・困っている人を見ると何を置いても助けたくなる(性格)


 ……はい。こんな感じですね。

 能力は別にしても、性格というものは細かく設定していかなくても大丈夫だと思います。

 作者の頭の中に「どんな人物にしたいか」というイメージがあれば、それで書けます。


 そして、そのイメージは、自分の周囲(現実世界)にいる人物や、自分の好きなキャラクターを見て、どういう人物かを頭の中に染み込ませていくしかありません。


 プロの作品群を参考にしましょう。

 自分の周囲にいる家族、友人、同級生、同僚を参考にしましょう。


 なぜ何度もこういった内容を書いているかというと、物語には「作者が考えるキャラ」しか登場できないからです。


 ――逆説的に言えば『作者が理解しているキャラの魅力』しか、物語に表現できないのです。


 物語には色んな人物が出てきます。

 それは作者と同性のキャラも――「異性のキャラ」も。年齢や性格だって違うキャラもいます。


 貴方は、現実にいる「異性の気持ちや、普段なにを考えているか」が分かりますか?


 自分よりもずっと小さい子が何を考えているかや、ずっとお歳を召している方が物事をどう見ているかも、物語を作る上での人物描写では必要になってきます。


 そんなの、どんな人だって完璧には把握できませんよね。


 誰がどの場面で、何を考えているかなんて完璧に分かるわけないんです。


 でも、描写する上で間違っていたら、読み手に共感してもらえません。

 キャラを好きになってもらえません。


「こいつの考え方おかしくないか?」

「ちょっと、ついていけないわ」


 そう思われない為に必要になってくる基本筋は、もう既にエッセイ内にて記しております。

 少しでも、読み手の共感を得るための考え方とは。


 それは――『現実的思考』と『第三者視点』になります。


 この場面では、普通はこう考えているだろう。

 この展開だったら、常識的にこういう行動を選択するよね。


 こういった現実的思考を「自分の頭の中に染み込ませて」いき、その理解した感覚や思考原理、性格や行動を、第三者視点によって「キャラに落とし込む」のです。


 第三者視点を深めると『人物の描写が上手くなる』と書き連ねた理由が、ここにあります。


『作者が理解しているキャラの魅力』を表現するには、この考え方が必要になってきます。


 知らないことは、書けません。

 しかし、知っていることは物書きにとって「武器」になるのです。


 当エッセイ内では、面白さのコツを「現実的思考とアイデアの間にある落差」と紹介させていただきましたね。


 しかし「現実的思考に沿う」ということは――『期待を裏切らない』という側面も持っています。

(いわゆる「テンプレート」とは、この事を言っています)


 では、人物描写においての現実的思考とは何か?


 まず自分の内面を第三者視点によって分解し、理解する。

 次いで「周囲の人間はどんな性格や能力をしているか」を把握していきましょう。


 人物描写の参考資料は、生活の中にいくらでもあるのです。

(自分から見た他人は、そもそもが全員「第三者視点」での理解になります)


 キャラを「魅力的に描写したい」ならば――


 周囲の人間で「誰に魅力があり、誰に魅力がないのか」を見てみましょう。

 それはリアルな参考資料になり、さらに現実に沿っているという大きな武器になります。

(現実に生きる人間ですからね)


 リアルな世界で自分磨きをしてきた人間は、なぜ魅力があるか分かりやすいです。


 仕事のできる人、顔が格好いい人(アイドルがなぜ人気か)、頭のいい人、運動ができる人、会話の面白い人、努力している人。

 人間には色んな魅力がありますよね。キャラも同じです。どう表現するかです。


 それを確認したら、上記のように一度「文章に直して」みましょう。


 物書きにおいては、物事を表現する武器は文章しかないからです。

 その魅力を文章に置き換えられれば、貴方はきっとキャラを魅力的に書けます。

(努力している人間が魅力的に映る理由 = だからこそ主人公に成り得る等)


 ここまでの項目をまとめると、


・『キャラをかぶらせない』

・『弱点を作る』(一つの設定と、相反する設定をもう一つを作る)


 そして、作ったキャラを描写する時は「なぜ魅力があるか」を――『現実的思考と第三者視点』により、自分の頭の中で理解していく。


 そうすることで、自分が考えた設定を持つキャラを「好きになってもらえる」と、花咲は考えております。

 物語の中で、自分が考えているキャラの魅力を「紹介できる」ようになります。


 それでは、今回の項目はここまでとさせてください。


 実はキャラの作り方に関しては、カキカキしていきたい事がもう一つありまして。

 物語には『悪役の魅力』というものも存在しており、考え方は上記と同じなのですが、それに加えて大事な軸というものがあります。


 その事を次回にて、記していきたいと思います。


 キャラについての説明が長くなってしまい、申し訳ありません。

 その説明が終わった後、『テーマ』についてを書き連ねていきたいと考えております。

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