第10話 「キャラ」について①(導線と役割)
あぁ~……失敗しました。
世界観やキャラの設定についての説明をする前に、「テーマ」についての項目をするべきだったかもしれません。そもそも、その前に「ジャンル」、そして、そのもっと前に「レーベル」(しかもこれは前提知識の方に入ってしまいます)を説明するべきだったかも、と後悔しております。
順序の組み立て方の甘さに気付かされ、落ち込みますね……。
いえ、気を取り直しましょう。
どこから物語を作るかはその時々、どの項目から思いつくかによって変化します。
順序は関係なく、世界観やキャラやストーリー、その全てを同時に考えていくこともありえるので、まあ、エッセイの順序を考えるべきだったかなーと落ち込む必要もありません。よね?
さて、それでは今回は――物語に登場する『キャラ』についてを掘り下げていきたいと思います。
まず、どんなことを考えていけばいいのか?
これは少しテーマにも関わってくることなのですが、単純に「どんなキャラを描きたいか」でしょうか。
男性なのか、女性なのか。
名前は。経歴や家族構成は。
その性格は。その能力は。
世界観や舞台の設定のように、考えることがたくさんありますね。
その中でも花咲が大事だと思うのは、物語の中で「主人公にどんな活躍をさせたいか」です。
基本的にですが、物語というのは『主人公がどういった行動を歩んでいくか』の道筋を描くものだと思います。
キャラが登場しない物語はありません。
(もしあったら御免なさい。勉強不足です)
ストーリーの導線は、キャラの導線でもあるのです。
だからこそ、主人公が行動することで『どう周囲が変わっていくか』を考える必要が出てきます。
(これはストーリーという部分のプロットにも関わってきますね)
そこが決まっていれば、実は作成したプロット(設定やストーリー)通りに物語が進まなくても、最後に何とか成立します。
作者の頭の中を超えて「読み手を納得させられる」という現象が起こります。
(ここが実は、物語のテーマという部分にかかってきます)
物語を読んでもらった人に、主人公の行動やセリフを通して、何を伝えたいか?
それが『キャラ作り』の起点になっていきます。
主人公以外についても、同様の考えが起点になっていきます。
主人公以外のキャラ――「ヒロイン」や、「サブキャラ」たちですね。
(男の主人公の場合ですが)
ここは『主人公と出会うことによって、どう変わるか』を考えてください。
ここが決まれば、物語の中での立ち居振る舞いが自然と決まってきます。
物語を書き進めていく上で、たとえ最初に作成したプロット(設定やストーリー)通りに物語を作れなくても、キャラの軸がブレないままストーリーに落とし込めます。
サブキャラ達に関しては、大事なことがもう一つあります。
それは、物語においての『役割』を与えることです。
役割がないキャラは、実は物語の中から削っても問題ありません。
むしろ、いることで「余計に物語をかき回す」存在として、邪魔になっていきます。
役割がないキャラを消した状態で、もう一度プロットを組み直すとすっきりします。
もしくは「役割が薄いキャラ」の役割を、他のキャラに移すことで、登場人物がすっきりしてきます。
これが、「キャラの整理」という作業になります。
……と、ここまで書いてきましたが、あまりにも駆け足すぎて、なーにを言っとるんだねと思うかもしれません。
花咲樹木も、自分で書いていてよく分からなくなってきています(笑)
という訳で、ここから例を書き連ねていきます。
(こういう時の為に、拙作が役立ちますね。頑張って書いてよかった……)
『貴方の願いを叶えましょう。ただし貴方の夢は叶いません。』に置いて――
主人公とは――『イオリ・ユークライア』になります。
その行動原理は、『閉塞的な空気がある島の関係性を壊していく』存在として、ストーリー構成を考えていっています。
島に住むキャラたちにとっての、人間関係クラッシャーですね。
舞台は「絶海の孤島」、島から出ようとすれば世界樹に邪魔をされ、島民たちは閉じ込められてしまっています。
そして、島民たちの敵は「精霊ドライアド」とヒロインの「シャルロット」。あとは名前もないけど、圧倒的な戦闘力と物量で島を支配する巨大なアリたち。
この全ての状態が、主人公が島にやってくることで変化していきます。
・ヒロインにとっては――「島民たちとの仲を取り持つ」と「精霊との関係性をはっきりさせる」
・ロッコ=モコを代表した島民たちにとっては――「精霊とヒロインとの仲を取り持つ」と「アリと精霊によって島に閉じ込められていた状態から解き放つ」
・そしてラスボス、精霊ドライアドにとっては――「ヒロインとの関係性をはっきりさせる」と「精霊が望んでいた結末を阻止するきっかけを作る」
こんな感じです。
実際、最初に作成していたストーリー展開から、書いていく内に「あ、こんな展開の方が面白いかも?」と思いついたことで、どんどん変化していっています。
ですが、上記の行動原理に変更はありませんでした。
プロットで考えていた「ストーリーや行動からズレても」、「キャラの行動原理が決まっていれば」――考えていた「テーマの変更はない」からです。
(テーマについては、もう少し先の項目にて掘り下げていきます)
なんとなーく、これで『主人公がどういった行動を歩んでいくか』と、『どう周囲が変わっていくか』の決め方を、伝えられたでしょうか?
さて、それでは主人公以外のサブキャラ達についてですね。
決めるべき項目は、『主人公と出会うことによって、どう変わるか』と『役割』です。
●ヒロイン「シャルロット」――
・どう変わったか
『主人公と出会うことで前を向き、過去の辛い出来事で閉じていた心が再び鼓動を始め、はっきりと自分の意見を言うようになった』
・役割
『主人公に、物語の舞台の設定説明をする。ラスボスに願いを叶えてもらった人間の例①』
『主人公に、物語上の目的を作る(ヒロインを助けたい、と思わせる)』
『物語の最後に、掲げていたテーマ通りの行動を取る』
(実は拙作では、テーマを体現させるキャラは、主人公ではなくヒロインだったのです。ひとりだけ、全ての願いや夢を叶え、物語上で「幸せ」になっています)
●ラスボス「精霊ドライアド」
・どう変わったか
『ヒロインの為に死のうとしていたが、その目的を諦めた(ヒロインの為に生きると決めた)』
・役割
『世界観や舞台の設定を体現している存在、願いは叶えるが夢を奪う』
『ラスボス役。物語の最後にて、主人公と戦う』
●サブ①「ロッコ=モコ」
・どう変わったか
『閉塞感のある島の生活を捨て、次の島へ向かうという道を歩み始める』
・役割
『舞台の現状説明、ヒロインの説明では足りない部分の解説役』
『ラスボスに「願いを叶えて貰った人間」の例②、主人公に現状の問題点を理解させる』
『島民たちの代表。このキャラの意見が、島民の意見として物語に表現される』
●サブ②「ジャック」
・どう変わったか
『ラスボスと接触できるようになり、願いを叶えてもらう(好きな子と話せるようになる)』
・役割
『中盤のボス。主人公の強さを読み手に伝える役』
『ラスボスに「願いを叶えて貰った人間」の例③、主人公に現状の問題点を理解させる』
『被害者でありながら、物語の中盤で、もしかしてラスボスは良い奴なのか?と考察させる』
……はい。こんな感じです。
実際には、他にも「三人のおっさん達(三人で一人分)」、「ゴゴちゃん」等がいますが、物語に直接関わってくるのはこれだけです。
主人公を含め、7人しか登場していません。
世界観の中には、名前だけしか出てきていないキャラ達はいます。でも、直接ストーリーに関わってくるのはこれだけです。
いえ、むしろプロット段階ではもっと少なかったですね。
そもそも三人のおっさん達には最初名前を付ける気がありませんでしたし(ガチのモブとして登場させていた)、ゴゴちゃんは想定していませんでした(幕間限定キャラ、本編に関わりなし)
つまり、ラノベ一冊分の分量を
「主人公」「ヒロイン」「ラスボス」「サブキャラ①(ロッコ)」「サブキャラ②(ジャック)」
この5人で進行させていく予定でした。
名前のないモブキャラには、役目やどう変わったかを意識しないで大丈夫です。
名前を付けないことで、背景化させることが可能だからです。舞台設定の一部ですね。
人数の配置というものは、物語に必要かどうかで決めていきます。
自分の本棚にある、プロの小説を見てみましょう。
大抵の場合は、名前があり、役目があるようなキャラは10人もいないと思われます。
本一冊分の物語には、それくらいの人数がいれば十分だからです。
(これは後々、プロット作成の分量の目安、という項目にて掘り下げていきます)
むしろ、無暗に増やしてしまうと、その分だけキャラの描写に文章を取られ、一人ひとりの魅力が薄くなっていきます。
基本的に、キャラは「登場機会が多いほど魅力が伝わる」を基本筋としてください。
むしろ、そうなるように作っていくべきなのですが……うん、これは次の項目になりそうでしょうか。
少し長くなってきてしまったので、今回はこの辺りで終わります。
次回の項目も『キャラ』についてを掘り下げていきます。
キャラの魅力に関わってくる、性格や能力についてになるでしょうか。
今回は『キャラがストーリーを経てどう変わっていくか』と『物語上での役割』の決め方でした。
少しでも、キャラ作りの参考になったでしょうか?
そうなってもらえれば、当エッセイの役割は達成できたことになります。
そうなれば、とても嬉しいです。
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