第3話 物語を書く上で必要な前提

 なんだか、小説の書き方に入る前の前提から始めてしまっているので、なかなか文章の基本項目や物語の組み立て方までいきませんね。じれったくて申し訳ありません。

 この分だと、いつそこへ辿り着くことになるやら……。


 しかし『面白い物語』を追求するならば、この前提は外せないものだと思うので、しこしこと書き連ねていきたいと思います。

 どうか付き合っていただければ幸いです。


 前回、自分が書いた物語が、企業や出版社からお金を出してもらえるほどの価値があるのか、という話をしましたね。

 では、いったいどれくらいの分量の物語を書いて、どれほどの対価が発生するのか?

 花咲樹木自身は本を出したことがないので、そちらの部分は聞きかじった範囲以外のことを言えないのですが、ゲームシナリオライター業としての範囲は多少把握しております。

 シナリオライター業での分量の対価は


 1KB(約500文字、正確には512文字?)=1000円


 これが平均金額として設定されているようです。

 ここから、各企業がそれぞれ設定している金額や、その人の実績や交渉などにより額が変化していきます。

※1キロバイト、1000円はほぼ最低金額であり、これより下回ることはほとんどないようです。というより、下回ったら取引相手として少し考えるべき、と教わりました。


 そこで一度、自分が書いた物語を見てみてください。

(詳細情報ページに総文字数が載っています。自分の物語を書いたことがない人は、お気に入り作家さんのページを覗いてみると良いでしょう)


 企業に作品の質を認められたら、その分だけ上記の金額が入ると考えていいです。

 ライターではなく作家として考えるなら、原稿料という事になるんでしょうか。しかも本を出したら、それに加えて印税が入りますね。


 うーん。夢が、ありますねぇ~……。

 企業や出版社から認められるほどの作品を書けるよう、頑張っていきたいものです。

(ちなみに花咲樹木は会社員ライターなので、基本的に月給です)


 という訳で、閑話休題。


 このエッセイでは『考える』という意味を『自己分析』と『構造解析』だと前回書きました。


 今回は『自己分析の大切さ』についてを掘り下げていこうかと。

(すみませぬ、実際に自己分析する方法についての掘り下げは次回になりそうです。今回は自己分析がなぜ大切かを書きます)


 文字通り、自己分析とは、自分がどういう人間か知る、ということですね。


 もっと因数分解すると、自分がどういう物語や表現を面白いと感じ、どういうジャンルの物語を書きたいか理解し、物語の中にどういうテーマを盛り込みたいか知る、ということです。


 これを理解していないと、物語を細部まで徹底できません。


 表現や意図に曖昧な部分が多くなり、自分でも「作品の魅力」を解説できなくなってしまいます。

 作品の魅力は、読んだら勝手に分かってくれる。もし物書きを目指す上でそう考えていた場合、その部分を引き締めることをオススメします。


「作品の魅力や面白さかぁ、とりあえず一度書いた後に考えよう」は大概の場合通用しません。

 物語を書く前に考える癖をつけましょう。

(※書いた作品が確実に受け入れられる天才は別です)


 何故か、それは物書きでお金を稼ぐ段階になると、どこかで必ず「プロットの段階で面白さを説明する」状態が訪れるからです。

(いわゆる企画書というものですね)

 本文を書かないままで物語を組み立て、その魅力を『物語を読んでいない状態の相手』に理解してもらう、という至難の業を要求されます。


 例えるなら「あらすじのみで物語の質を判断される」でしょうか。

(小説大賞などでは、あらすじの段階で面白いかどうか判断される例もあったとか。本文を読まれすらしない、という悲しさは想像もしたくありませんね)


 あらすじを書く段階で、オチまで含めた魅力を解説できるほど徹底して考え抜ければ、確実にその作品の面白さを言語化できます。


 物語とは『考えたことを言語化した』ものです。

 なので面白い作品を書く為には、絶対にこの部分を突き詰めていく必要があります。


 小説大賞を突破した人は、最初はそのまま書いた物語が本になるかもしれません。

(編集者さんの意図に沿っての直しは絶対に入ると思いますが)

 しかし次の物語を書く時や、次巻の分量を書き始める時、確実にプロット段階でのチェックが入ります。ここを突破しないと本文を書かせてすらもらえないのです。


 プロットで面白さを説明できる能力を身に付ければ、きっとその物語は本になり、対価としてお金を貰える作品になるでしょう。


 まず自分が感じる面白さを、編集者さんや企業に理解してもらう。

 物語の最初の読者は作家本人、その次は企業や出版社です。そして最後に全国津々浦々の読者さんに続くのですね。


 という事を前提に、自分について、たくさん考えていきましょう。

 掘り下げて、もっと掘り堀りして、無意識下にある『才能』を丸裸にしていきましょう。


 自分が面白いと感じる部分を理解する。

 自分の好きなジャンル、作品の傾向を知る。


 その面白さ、好きが、自分の中に備わっている『才能』という言葉に切り替わります。


 では次回は『自己分析の方法』についてを、カキカキしていきたいと思います。

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