第2話【魔物】
「…………」
僕は異世界人。
ある日、この世界に無理やり連れてこられて自由に生きたい僕は勇者だの平和を守るだのという召喚されたものの指名を無視して城を飛び出し魔法を使われ追っかけられるものの、基礎体力の差と相手の魔力の限界が来たようで逃げることに成功。日を跨いでいるのを気付いてもただひたすらに走り続け大木の元へやって来て休憩してひとりごとを言っていたら返事が返ってきて「君は喋れるフレンズなんだね!」という言葉が頭をよぎった、可愛い子供のような大木の話を聞いていると温泉がこの世界にあることを知り、異世界温泉巡りをすることになった。
とここまではいいのだが、
「大木?」
「はい。」
「こんなに魔物がいるなんて聞いていませんよ。」
「ごめんなさい……なのじゃ。」
「ウグッ、あのですね。大木も力が無いのでしょう?僕のようなものではこの先が不安ですよ。誰か別の人と変わってもらいましょうか?」
異世界温泉巡りをしていたところ、いつの間にか魔物に囲まれていた。ぐるるー、と今すぐ食べてやるという勢いで今にも襲いかかろうとしているのだ。
文句を言ったところ、しょんぼりとした顔で返してくる大木。
その様子にグッと心に罪悪感が残るがしょうがない事だと自分を納得させる。
大木は見た目幼女だった。
温泉巡りしていたらいつの間にか人間の身体になっててそこから一緒に旅をしていくとかだと思っていたのだが、足がないだけで他はただの人間と近かった。
背中にはいかにも妖精といった羽をつけており、服は大きな牡丹が描かれている着物、ボブで黒髪。とてつもなく可愛い。
目はキラキラしており、感情がそこから滲み出ている。
そもそも自由に生きるためにあそこから逃げ出してきたのにおかしいわ。なんで魔物に囲まれてるわけ?
「大木、……倒せない?」
「ごめんなさい、力が足りないので無理なのじゃ。」
「となると、やっぱり僕かぁ……。」
今にも襲いかか(省略)魔物をどうやって倒すか、それが問題だ。まずここを抜けなければならな____そうだ。
「なぁ、僕の背中に乗って。」
「え、何するのじゃ?我は重いから____」
「いいからいいから。」
今(省略)魔物を倒す必要なんて無かったんだ。
そう思いながら大木を背負う。幼女とは思えないほどの重さにびっくりしたがそう言えばこいつが木だったなと思い出し、平然と背負う。
大木は僕が自分を持ち上げたことに驚いているようだが気にしない。
大木をおんぶし、地面を蹴る。勢いで土は抉られ、砂埃が魔物の周りに舞う。魔物は突然の出来事に驚き、目に入った砂を涙で落とす。再び狙った獲物を捕まえようといた場所を向けばそこには砂埃が舞っているだけであった。
獲物は逃げた。つまりそういうことである。
魔物は匂いで追跡しようと試みるが遂に追い付くことは無かった。
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