まな板とカップルと童貞


まな「ただいま帰宅しました」


ゆうた「今日もお仕事、お疲れ様です」


まな「ありがと。ゆうちゃん今日帰るの早くない?」


ゆうた「お客さん少なかったからね」


まな「あーね」


ゆうた「まなはなんか疲れてるな?」


まな「言いにくいんだけど、お客さんに胸触られたんだよね」


ゆうた「またかよ」


まな「いつもの常連客、なんか今日はべろべろに酔ってて最悪だったわ」


ゆうた「まあ、触っても壁に手をつくようなもんだし向こうも」


まな「なんか言った?」


ゆうた「つまようじで太もも刺すのやめて」


まな「気のせいかな」


ゆうた「気のせいじゃない」


まな「胸はあんだよ。CだぞC」


ゆうた「それは気のせいだろ」


まな「なんか言った?」


ゆうた「すいません、二本同時はマジで痛いんでやめて欲しいです」


まな「次は10本行くからな」


ゆうた「なんだその必殺技みたいな本数は。むしろ気になるじゃないか」


まな「人間は進化し続けるのだよ」


ゆうた「女なのにまな板みたいな胸をしてるのにも納得ですな。まなだけに、なんつって」


まな「キレそう」


ゆうた「包丁はやばいよね。まながキレたら俺の太ももも一緒に切れるから」


まな「今日も元気だな」


ゆうた「間違いねぇ」


まな「そういえば」


ゆうた「ん?」


まな「私たち付き合ったのって今日でちょうど1年ぐらいじゃない?」


ゆうた「今日だっけか」


まな「よく1年も一緒にいれたわ」


ゆうた「間違いねぇ」


まな「色々あったけど、何も無かったような気もする」


ゆうた「高校から仲良くなって、付き合ったのその5年後だしな」


まな「イチャイチャが足りねぇな!?」


ゆうた「周りのカップルが羨ましいぜ!?」


まな「今からでも間に合う!?」


ゆうた「いや、遅くねぇか!?」


まな「ちょっとやってみたい」


ゆうた「よし、こい」


まな「ゆうちゃん大好き!!!ちゅっちゅ!」


ゆうた「僕も大好き!!!」


まな「その僕も、ってやつ言わされてる感あって好きじゃないんだけど」


ゆうた「oh...」


まな「最初からやり直し」


ゆうた「ちょっと待って」


まな「何?」


ゆうた「オタクとしてここはベストアンサーを出したいところ」


まな「現実を見ろ」


ゆうた「よし、こい」


まな「ゆうちゃん大好き!!!ちゅっちゅ!」


ゆうた「僕の方が大好きだよ!!ちゅっー!」


まな「唾飛んだんだけど」


ゆうた「リアルな回答やめろ」


まな「やっぱゆうちゃんは向いてないね」


ゆうた「元ニートだからね。しょうがないね」


まな「引きこもりをニートっていうのなんか逃げっぽくて好きじゃない」


ゆうた「ワガママかよ」












ゆうた「正直に言うと、俺は童貞じゃないんだ」


まな「今から風呂入ろうとしてるんだけど、急に何?」


ゆうた「いやいや、まあ聞いてくれ。俺はまなと付き合う前に童貞を捨ててるんだ」


まな「そう。それは良かった」


ゆうた「なんだ悔しくないのか」


まな「童貞ニートと付き合ってるってなると私も恥ずかしいじゃん」


ゆうた「まて。元をつけろ元を」


まな「寒いんだけど、風呂はいっていい?」


ゆうた「そう言うな。まなの全裸を見て俺は思ったんだよ。童貞をまなに捧げていた方が良かったんじゃないかってね」


まな「私はどっちでもいいんだよ」


ゆうた「いいの?俺の童貞喪失した話とお風呂どっちを選ぶの?」


まな「私はお風呂を選ぶかな」


ゆうた「そっかァ、まなは処女を俺に捧げたから悔しいんだね。そっかそっかそうだよねぇ」


まな「私、処女は高校の時に捨ててるけど」


ゆうた「え」


まな「しかもゆうちゃんの仲良かったあの先輩」


ゆうた「え」


まな「言わなかったっけ」


ゆうた「え」


まな「泣くなよ」


ゆうた「泣いてない」


まな「お風呂一緒に入る?」


ゆうた「うん」

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