第10話 腐食パンロボ
そうだ。
ガンダムならイケるかも知れない。
そう思った男はバイクを止めてモコモコと腐食パンを増殖させた。
…10分後…
男は己の美術センスに失望した。男の図工は2だった。
しかしせっかく作ったので乗ってみることにする。
横たわった腐食パンロボは15mはあった。胸のコックピットに乗り込む。
…腐食パンは透過しない。暗闇のコックピットから男は無言で出てきた。
「にゃー」
バイクが話し掛けてきたが無視だ。
しばらく腕組みをして腐食パンロボを見詰め続ける。
💡
そうだ!
ガンダムは難しい。しかしマジンガーZならイケるんじゃないか!?
そう思った男は腐食パンロボに少し造型を加える。
…10分後…
まずまずの出来だ。頭部には腐食パンバイクを搭載した。
今度はうまくいくはず。
男はバイクに乗り込むと、腐食パンロボを起動させた。
男のイメージではガンダムのように立ち上がる様子を思い浮かべていた。しかし現実は未熟な巨人兵のようにドロドロと腐角食を溶かし、移動させて立ち上がった。重量かバランスの問題か、脚部がかなりの重圧下によりジオングのようになっている。動きが超鈍行だ。
男は悟った。
現実にロボは無理。
腐食パンにも弱点があった。
腐食パンは万能では無かった。
しかし男は気にしない。
ロボが無くても生きていけるから。
その内雨が降ってきた。
雨は嫌いだ。
硬化した腐食パンでも柔らかくなる。
雨が降ると男は腐角食ドームを作る。
そのドームは薄いパイ生地のようにして中から幾層も作り続けて雨から防御し続ける。カーズが溶岩に落ちた時に取った行動に似ている。
外では腐食パンロボがドロドロに溶けていた。
『腐食パンマン』
顔が濡れても力は出る。
『腐食パンマン』
ただ濡れた腐食パンが重くなる。
『腐食パンマン』
ただ溶けた腐食パンがまとわりつく。
『腐食パンマン』
晴れたら新しい腐食パンを産生する。
『腐食パンマン』
赤い色なら3倍速。
『腐食パンマン』
シャア専用ガンダムがレッドウォーリアだと思っていた。
『腐食パンマン』
プラモ狂四郎が好きだった。
『腐食パンマン』
武者ガンダムは邪道だと思いながらワクワクした。
『腐食パンマン』
名前しか知らないジョニー・ライデン少佐。
『腐食パンマン』
モスピーダも好きだった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます