第4話

「あぁぁぁぁぁぁ!」


「もう、どうしてこんな日に限ってこんなにも綺麗な月が出てるのよ。」


公園に来て一体どれぐらい時間が経っただろうか。少なくとも30分は私はここで…


「緋莉先輩、綺麗な雫が落ちちゃってるよ。」


「え?」


上を向いてみると、ちょうど月と被っていて顔が見えないが、男の子がいるのが分かる。


「だーかーらー」


大きな手が私の頬に触れて…


「ちょっと!何触ってんのよ!」


ゆうちゃんがここに迎えに来てくれるのは諦めていたけれど、まさか男の子が来ていきなり雫がどうこう言い出して、何とキザな台詞をと思っていたら私の頬に触れるなんて。


「どういうつもり?いきなり声をかけてきた上に触れるなんて。それにあなた誰?」


「えー、緋莉先輩酷くないですか?僕ですよ、一ノ瀬楓ですよ。」


「一ノ瀬楓?って1年の王子って言われてる…」


「そうですー、ってそんな思い出し方は嫌だな。中学の時委員会で仲良くなったじゃないですか。」


「中学の時そんな事があったっけ?」


「ありましたよ!でもやっぱり忘れられてたかー。道理で高校ですれ違っても無視されてたわけだ。」


「私無視してないよ。多分…」


「無視してましたよ!今日だって優哉先生の教室から出てきた時挨拶したのに。」


ゆうちゃん…


「ちょっ、また雫が出てきちゃってますよ!」


「あ、これは違う!」


どうして、何故かは分からないけどゆうちゃんの名前を聞いただけで涙が…


「先輩、もしかして失恋したんですか?」

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