第2話

「はい、今日はここまで。市原さん、そこの寝てる人にこの後僕の所へ来るように伝えておいてください。」


「はーい!」


『起立、礼、ありがとうございました。』


「あーちゃん起きて、優哉先生が来いって言ってたよ。」


「えー」


「きっといつもの一人だけ課題でしょ。」


「寝てたのバレたのかな?」


「一番前でいっつも寝てるんだからバレるにきまってるでしょ!ほら、早く行ってきてよ。私いつもの所にお弁当持って行っとくから。」


「ありがとう。」


ガラガラ


「失礼しますー、ゆうちゃん何で…」


「え?ゆうちゃん?」


(あ、やば、他の子いたんだ…)


「〇〇さん、もう聞きたいところは終わりだよね?僕はこれから久城さんのお説教だから…」


笑顔を浮かべながらも目だけは笑っていない、私の方を睨んでる。


これは絶対に怒っているやつだ…


「あ、はい、ありがとうございました!失礼します。」


他の子は早々に走って行ってしまった。


「私も今日は失礼しようかな…」


「待て、久城緋梨。」


やばい、完璧私スイッチ押しちゃってるよ。


「俺の授業中何回寝るなと言ったんだ!それと学校では'先生'と呼べと言ってるだろ!従兄妹とはいえ、知らない人がさっきのようにどう思うかも分からないのに。」


そう、私と'ゆうちゃん'こと'優哉先生'は従兄妹であり、先生と生徒でもある。


いっつもこの二つで呼び出されて怒られてしまう。


「いくら従兄妹でも、次寝たら成績表に'1'付けるからな。」


「そんなー、酷すぎる…」


「これでも優しくしてる方なんだからな。」


「はーい…」


「あ、そうだ肝心な用事を忘れていた。」


「え、まだ何かお説教あるの?」


「緋梨はドMなの?まだ怒られ足りないの?」


「違うよ!ひーちゃん待ってるから早く用件言ってよ!」


「今日、緋梨のママに家行くの8時ぐらいって伝えておいて。」


「え?ゆうちゃん今日来るの?」


「聞いてなかったのか?」


「何も教えられてないけど…」


「ならその時のお楽しみだな。」


「えー、今教えてよ!」


「市原さん待ってるんだろ?お昼の時間無くなるから早く行きな」


「もう、なんで教えてくれないのよ。いいもん、あとでね'ゆ・う・ちゃん'」


「あ!また言ったな!ちょっと待て!」


行きなと言いながらも待てと言うゆうちゃん。


少し悪戯っ子ぽく走り出す私。


いつも後ろからゆうちゃんに叫ばれるのが…


何だろう?


何という気持ちかは分からないけど、どこか居心地が良い。


ゆうちゃんだからかな。


いつまでもこんなやり取りを続けられたらな…

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