車窓から

 鉄塔。私を囲んで追いかける。何処までも、何処までも。

 雨雲。ただ黙っている。降らすか降らぬか、はっきりしておくれ。

 鳥たち。消えていく。誰もがたちまち忘れてしまう。

 建物。つまらん顔をしている。何年も同じところにいるのだ。仕方あるまい。

 目の前が体温で曇っていく。乗り合わせただけの人たちに引っ付かれて不快である。他人の匂いがする。他人の温度を感じる。他人の色が移る。誰も彼も一緒くたに押し込まれている。下品な乗り物である。

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