反骨
中学の同級生が年上の人はみな敵だと言い切っていた。いかにも分別のついてない青二才が言いそうなことだと思うのだが、当時の私は本気でその姿勢が格好良いと感じていた。そこで真似することにした。今も昔も私に出来るのは優れている(と自分が思っている)物の模倣ぐらいである。ただ、年上全員敵と標榜するのは気が引けた。部活に入っていて先輩を敵と見做すのに躊躇いがあったし、これから出会う誰かが私の味方になる可能性を捨てきれなかった。さして惜しいとも思わないが今よりも人間味に溢れていたということだ。そこで大人は全て敵とすることにした。その後の中学生活を仔細にわたって紹介することはしない。ただ味方など一人も現れなかったことは述べておく。
ここで重要になるのは当時の私は教師や先輩、或いはルールのようなものにいちいち噛付くだけの気概があったということである。反骨、反発の熱量は正しい方向に行けば素晴らしいものが生まれる。音楽でも小説でも。
今の私はどうだろうか。今の精神状態のまま当時に戻ったならとても出来ることではない。だからといって反骨の心を失ってしまったとは思わない。その証拠はこうして駄文を認めている事実だけで十分だろう。こんな社会の何の役にも立たない文章を時間をかけて生み出しているのだから。効率性だの経済性だの言う観点から見たら真っ先に淘汰されるべき悪行である。
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