靴を買う
靴を買うのが苦手である。
散髪と歯医者の次ぐらいに苦手であり、この三つは時間に余裕がある時でさえ、後回しにしてしまう。しかし、その二つに比べて、靴を買うのが苦手というのはあまり共感を得ないのではないかと思う。むしろ楽しみにしている人も多いのではないだろうか。私の友人も嬉々として欲しいブーツの話をしていた。
靴を買い替える周期として適当なのかどうか分からないが、私は大体、二三ヶ月に一度買い替えるといった具合である。その辺りになると踵はボロボロ、靴底はすっかり擦り切れてしまっている。別に踵を潰して履いてるわけでもないのだが……。しかし、その靴でさえ別に使えないわけではない。踵の内側なぞ他人から見えるものでもないし、靴がどんなに擦り減っていようと素足がむき出しになるほどではない。……こんな馬鹿なことを考えているから、ついつい後回しにしてしまう。
やたら大きい箱だの、細かいタグだのついてくるのも鬱陶しい。言えば処分してくれるのだが、そのひと手間も煩わしい。たまに自分から言い出してくれる店員もいて、感謝したりもするが、それを踏まえた上で靴屋は嫌いであることをどうか忘れないでほしい。
そんな馬鹿が本日靴を買った。店に入って、購入して出るまで僅か五分のことであった。吟味する余地などなく、ほぼ最初に見たものを買った。何か底が厚い。ランニングシューズらしい。これは大当りじゃないだろうか。底が擦り減るのに時間がかかりそうだ。
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