第9話 新生魔王の外遊記録~ペルヒタ教国にて~



 照りつける太陽。

 吹き抜ける潮風。


 しばらくぶりの常夏を感じながら、俺は野外ステージの袖から顔を出し、広場に集まった大観衆を確認した。


「ほほぅ、大盛況だな。ククク……いいぞ。もっと盛り上がるがよい」


 ここはペルヒタ教国の王都・ペルフィーの海浜公園。

 以前、俺が開催したハレンチ仮装パレードの終着点だ。


 この公園のシンボルは、ペルヒタの連続潮※※によって描かれた転移魔法のゲートである。

 神聖アルテミス王国とペルヒタ教国を繋ぐゲートは、まさしく和平の象徴だ。


 これより始まるのは、俺――魔王ジュノによる演説である。

 魔界の一部となったペルヒタ教国の民に、今後の方針を伝えることがメインだが、同時にネーメに関する事柄も話しておこうと考えている。


「魔王様っ♪ 今日も素晴らしい演説、イッちゃってくださいね~!」

「くらさ~い♪」


 ステージ袖には、ネーメを抱いたリリスがいる。


「ご主人様……。これ以上かっこいいところ見せられたら、わたし……今夜発情しちゃうかもしれないよ……?」


 さらにもう一人。

 濡れた瞳でこちらを見上げるのは、この国の崇拝対象、ペルヒタだ。


 ちなみに、この国では『俺とペルヒタの双方を崇めよ』という教義を広めている。

 魔界に編入させたとはいえ、民の信仰を独占する気はない。


 俺は今後もマカイノ村を拠点にするので、この国の運営は引き続きペルヒタに任せておいた方が好都合なのだ。

 ゆえに、彼女には崇拝対象のままでいてもらった。


「ほぅ、発情か。……じつに結構だ」

「……ふゃんっ! ンンッ……ご、ご主人様ぁぁ……」


 俺はゴスロリドレスの上から、ペルヒタの尻を掴み上げた。

 あえて乱暴に、である。

 雌ネコとしての立場を、その心身に教え込むのだ。


「楽しみにしているぞ? とびっきりの痴態を見せるがいい」

「は、はぁぁい……」


 ハッ、ハッと舌を出し、双眸をとろけさせるペルヒタ。

 ……大丈夫か? これから俺とともに野外ステージに登壇するというのに。


 彼女を落ち着かせるために、俺は尻を掴む手をゆるめた。

 今度は優しく撫で回す。


「んぁっ、あぁぁ……ご主人しゃまぁぁ……」


 鼻にかかった声を聞きながら、俺はしばし思考に沈む。


 ――スピカが家族らと再会したあの日は、無事に国民の祝日に制定された。

 その間も、スピカは連日さまざまな会合に連れ回され、関係各所に無事を報告しなければならなかったそうだ。

 ヘトヘトになりながらも、彼女はほとんど毎晩マカイノ村に帰還し、しっかり俺に夜這いをかけてきたが……。


 とはいえ、俺のベッドに潜った途端に眠ってしまう日も多かったので、そういうときは添い寝をするに留めておいた。

 スピカの寝顔を、これからも見続けられる――。

 俺にとって、それは幸福そのものなのだから。


 さて。

 今後の拠点をマカイノ村に置くことについて、スピカは王家と王立騎士団の了承を得てきたそうだ。

 すでに神聖アルテミス王国が魔界に編入されていることもあり、魔王のもとで暮らすというスピカの決意は、存外すんなり認められたのだとか。


『みんなに言われたわ。私ね、もう勇者の代わりをしなくていいんだって。全部ジュノのおかげよ? あなたが王国を魔界に編入してくれて、魔族と人間族が共存するようになったから……』


 勇者の役目は――終わったのよ。


 そう語るスピカは、澄んだ微笑をのぞかせていた。


 ――人々は、スピカを酷使してきたことを謝罪した。

 ――スピカは、人々を不安にさせたことを謝罪した。


 これにて落着。

 禍根はすべて泡と消え、互いに新たな一歩を踏み出すことにしたのだという。


 そんな折り。

 ついに、ハイネの絵画が完成したという報せが飛び込んできた。


 先に届いたのは一枚目。

 バスケットに収まったネーメである。

 スピカがネーメを抱いた絵画は、ハイネが完成に向けて魂を削っているとのこと。


 それはさておき。

 ネーメ単体の絵画は大量に印刷され、『尋ね人』として、数日前から各国にばら撒かれている。

 尋ね人チラシの効果は未知数だ。

 しかし、これをきっかけに手がかりが掴めれば……。


「……さて、どうなることやら」


 ペルヒタの尻を揉んだり、弾いたり、揺らしたり、割れ目に指先を突っ込み、くすぐるように動かしたり……。


「うにゃぁぁ……うにゃにゃぁぁ……」


 ペルヒタの腰が小刻みに震える。

 どうやら甘イキしているらしい。

 ほっそりとした脚の間に、淫らな※※※がポタポタと零れ落ちてきた。


 ちなみに本日、スピカは神聖アルテミス王国での公務。グルヴェイグは国に帰り、俺の外遊を受け入れる支度を整えている。


 二人の無事を祈っていると、


「魔王様、そろそろお時間ですっ♪」

「おちか~ん♪」


 リリスに声をかけられた。

 たどたどしく言葉を真似るネーメは、世にも愛らしい。


「うむ。行くか」


 そう言って、俺はネーメの頭を撫でた。


「ぱぁぱ! がんばえ~!」

「ククク、よかろう。しっかり見ているがいい」


 こちらが笑みを送ると、ネーメも満面の笑顔を返してくれる。

 心が……温まる。優しい気持ちを抱きつつ、俺は右手でネーメの頭を撫で続けた。

 その間も、左手でペルヒタの尻をいじくりながら……。


「んんぅにゃあぁ……! ご主人様……しゅっごいの、きちゃうぅぅ……!」


 いよいよペルヒタは限界のようだ。

 あどけない美貌が紅潮し、全身がヒクヒク震え、足もとには水たまりができている。


 ――ここだ!


「イクッ、イクイクッ……イ、クぅ……?」


 快感のボルテージを上げていたペルヒタが、怪訝な顔になった。


 それもそのはず。

 絶頂の寸前で、俺が指を引き抜いたのだから。

 いわゆる生殺しである。


「うぅぅ……ご主人さまぁ……!」


 恨めしそうに俺を見上げるペルヒタ。


「イキたい……。イキたいよぉ……うにゃぁん……!」


 ※※※※を欲する彼女に、俺は笑いかけた。


「ステージには演台がある。俺の演説中、隣でずっと自分の※※※を弄くり、自分で何度も達するのだ。それを誰にも気づかれなかったら、褒美に今晩、たっぷりと絶頂を与えてやろう」

「うにゃぁぁ……。ご主人様、いじわる……!」


 不満げに頬を膨らませながらも、ペルヒタはスカートの中に手を突っ込み、くちゅくちゅと可愛い水音を立て始めた。


 華奢な肩口に手を添え、俺はステージへ踏み出す。

 直後、巻き起こるのは『ジュノ様!』『ペルヒタ様!』の大歓声。

 ペルヒタ教国の手旗を振る人間族と魔族が、広場を埋め尽くしている。


 その中には、ところどころに魔獣と神獣の姿があった。

 人間族。魔族。魔獣と神獣。

 それらの共存が着々と進んでいるのだ。

 この国は、変わりつつある。


「良き国にしよう、ペルヒタよ」

「んっ、ご主人様。……でも、今はそれより、イキたいよぉぉ……」


 そうして演説が始まった。

 その間も、傍らの水音が止むことはなく、それを指摘する者も現れなかった――。





 ――時は流れ、その日の夜。

 以前訪れた高級宿屋、ヴィラ・トロイメントに再びやってきた。

 ここへの外遊が決まった時、ペルヒタに予約を取ってもらったのだ。


 高く、澄み切った夜空。

 そこに輝く星々。

 耳に届くのは、穏やかな波音。


「ククク……。我ながら大成功だったな……」


 目と耳を癒やしながら、俺はビーチチェアで勝利の美酒を堪能している。

 ――全裸で。


 それはさておき、俺の演説には大きな反響があった。

 主な項目は次の通りだ。


・まずは、改めてペルヒタ教国が魔界に編入されたことについて。

・魔獣と神獣の優遇策に関する、抜本的な見直し。

・人間族と魔族。そしてペルヒタの魔獣と神獣。皆が互いを尊重し、共に暮らせる国づくりを進めること。

・全裸での遊泳が許される、ヌーディストビーチの制定。

・最後に、ネーメに関すること。


 ――以上だ。


 ネーメの似顔絵が印刷された尋ね人チラシは、演説後に改めて大量配布した。

 何らかの情報が集まればよいが……。


 期待を込めつつ、グラスを傾ける。


「やはり美味いな」


 ヴィラ・トロイメントの褐色幼女が作ってくれるトロピカルドリンクは、なにゆえこれほど美味なのか……。

 ペルヒタを倒すため、この国に潜入したときのことを思い出していると。


 ザッ、ザッ、ザッ――。


 背後から足音が聞こえてきた。それも、二つ。


「むっ、来たか!」


 俺はビーチチェアから身を起こし、背後を顧みる。

 そこには、


「ま、魔王様……。な、なかなか大胆なご命令ですねぇ……」

「すごく解放的……。でも、これじゃあいよいよ、雌ネコ……」


 ピンク髪の堕天使少女リリス。

 黒髪ロングの元女神ペルヒタ。

 二人の少女が立っていた。


 ――全裸で。


「ほほぅ! 良き脱ぎっぷりだ!」


 俺は身を乗り出し、小柄な少女たちの裸体を観察した。

 命令どおり、二人は腰の後ろで両手を組み、恥ずかしい部分を全開にしている。


 リリスとペルヒタに共通するのは、つるぺた体型である点だ。

 つるつるとした無防備な秘宝。

 ぺったんこの無防備な※※※※。

 腹部はぽっこりなだらかで、肌は見るからにぷにぷにだ。


 そんな彼女たちが、全身を紅潮させ、恥じらいたっぷりの表情で俺に裸体を見せつけている……!


 この状況――――※※は免れない。


「おっほぉ♪」

「おぉぉ……」


 リリスとペルヒタの歓声が起こる。

 二人の視線は無論、俺の股間に注がれている。

 海神の三叉槍のごとく、我が肉槍が夜空の方を向いたのだ。


「二人とも、こちらへ」


 言って、俺は自身の太ももを示した。

 ビーチチェアを跨ぐように両脚を広げ、左右の太ももをリリスたちのイスとして活用するためだ。


「では魔王様、失礼しますっ♪」


 右の太ももにリリスが跨がる。


「ご主人様……わたしこと、もっと……見て?」


 左の太ももにペルヒタが跨がる。


 俺の目前に並ぶのは、四つの平たい乳※である。

 その上方には、少女たちの恥じらいフェイス。

 絶景かな――絶景かな!


 すぐさま股間の肉槍がクラス・チェンジを遂げる。

 より太く、より長く、より頑丈になった黒き大罪に、リリスとペルヒタが恍惚の吐息をこぼした。


「はぁぁっ~♪ いつ見ても素晴らしいですっ! リリス、大事なところのムズムズが止まりませんよぉ!」

「フゥーッ、フゥーッ……。わたしも、我慢できない……。こんなの見せられて発情しない雌ネコ、いない……」


 二人が腰を振り始める。


「んっ、んっ、んんっ……。魔王様、失礼します。太もも……使わせてください! ……はぁぁ、ぁん! あぁぁっ、あぁぁあ……!」

「ご主人様っ……ご主人様ぁ! わたしのこと、見てぇ……! もっとおっきくして……気持ちいいこと、いっぱいしようよぉ……!」


 前後左右に腰を振る。円を描くようにくねらせる。

 ぴったり閉じていた二人の二枚貝からは、瞬く間に熱い肉汁があふれてきた。


 ぐぢゅっ、ぶぢゅっ、にゅるるっ……ぐちゅっ!


 太ももが――熱い。

 小柄な少女たちによる、卑猥な水音のデュエット。

 淫らなナイトコンサートを特等席で聴きながら、俺は二人を抱き寄せた。


「フフフ、なかなか面白い趣向だな。俺も堪らない気分になってきたぞ。……お前たちの口づけが欲しい。……無論、同時にだ!」

「魔王様ぁ!」

「ご主人様ぁ!」


 言葉が終わらないうちに、リリスとペルヒタが吸いついてきた!


「んぢゅっ……ぶぢゅぅぅっ! 魔王様っ、はぁ、はぁ……魔王様ぁっ! ……ちゅっ、ちゅっ。れろぉっ……れろろぉ……!」

「ちゅっ……ぷちゅうぅ……。ご主人しゃま……しゅきっ、しゅきぃぃ……! んんっ……はむっ、ちゅるんっ……れろれろれろれろ!」


 二人は先を争うように、俺の唇を捕食する。

 ともに舌を伸ばし、こちらの唇を割り開き、口内をれろれろと犯し始めたのだ。


 黙っていられる俺ではない。

 俺は左右の中指を立てると、二人の下半身へと持っていった。

 すでに俺の太ももはぐちょぐちょだ。滑りを増した太ももに、リリスとペルヒタが元気よく※※※を擦りつけている。


 標的は――割れ目と太ももの間。

 二人の※※※※※を、中指の腹で不意打ちしてやるのだ。


「ちゅぷぷっ、れろろ……! 魔王様っ、魔王様っ」

「ご主人さま……んんっ……ちゅっちゅっちゅっ!」


 リリスとペルヒタが前方に腰を突き出す瞬間を狙い、俺は中指を前進させた!



 ――ずぷうぅぅぅ……!!



『~~~~~~~~ッッ!!!!』


 ぷっしゃあああぁあぁぁあぁああぁあぁぁあぁ!!!!


 一撃必達――。

 リリスとペルヒタは、雷に打たれたかのように背筋をのけぞらせ、声なき悲鳴とともに激しく達したのだった。


「ククク、どうだ? 腰を突き出す動きに合わせ、カウンター気味に※※※※※を刺激したのだ。俺の攻め手は無数に……ふぬぅっ!?!?」


 ――が、俺の天下はそこまでだった。


 破裂寸前に張りつめていた股間を、二つの手が、左右から掴んできたのだ!


「はぁ、はあ……。さすがに今のはヤバかったです……。リリス、頭がバチバチして……まっ白に飛んじゃいましたよぉ……」

「……わたしも。今のはしゅごかった……。だけど、攻められるのは……ここまで」


 呼吸を弾ませたまま、二人が視線を交錯させる。

 そしてニヤリと笑みを重ね、幼くも妖艶なまなざしを向けてきた。


「魔王様ぁ? お返しの時間ですよぉ~♪」

「今から、二人がかりでシコシコする……。わたしたちの※※※をたっぷりまぶして、ぐっちょぐっちょにする、から……」


 その迫力に気圧されながらも、俺は強気に嗤ってみせる。


「い、いいだろう! だが、俺はそう簡単には……!」



 びゅるるるっ! ぶびゅびゅっ! どぷっ……どぷ! どびゅるるるる……!!



 ――まあ、その。

 これほど小柄な少女たちに二人がかりで手※※を敢行されたら、白く濁った打ち上げ花火を五発、六発上げることなど容易なわけで……。


 三人で唾液と性液まみれになりながら、ヌーディストビーチの夜は更けていった。


 が、気がかりなこともある。

 それは四度目の発射直前。

 ペルヒタに二つの砲弾を揉まれ、リリスに砲身の先端をこねくり回されているとき、背後に気配を感じたのである。


 俺は即座に探知結界を発動させ、賊を捕捉しようとした。

 しかし……謎の気配はすぐに霧散してしまったのだ。

 あれは一体……。


 ※※※※汁をペルヒタの髪にかけながら、俺は一抹の不安を抱いたのだった。

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