第8話 新生魔王とまどろみのプライベートビーチ
「うおおぉぉぉッッ!!」
俺は力強く左足を踏み込んだ。その勢いでビーチの砂が激しく舞い散る。
続けて腰を大きく回転。
全身をムチのようにしならせ、右脚による中段蹴りを繰り出した。
ボムッ――!
俺の足がボールを捉える。
『ヴィラ・トロイメント 備品』と書かれたボールは、燦々と照りつける午後の太陽を浴びながら、青空の中に勢いよく撃ち出されていった。
「あぁん! ジュノ様カッコイイですよぉ!」
「魔王様、ナイスキックですっ♪」
「くっ……絶対にノーバウンドで返すんだからっ!」
水着になったアルテミス、リリス、スピカの三人が、俺(水着姿)のボールキックに三者三様のリアクションを返してくる。
だが。
「なっ……海風、だと!?」
激しい風に煽られて、空に上がったボールの軌道が大きく乱れたのだ。
ボールはそのまま風に流され、一軒のヴィラの天井に乗っかってしまった。
「お、俺の負けのようだな……」
潔く結果を受け入れ、俺は粛々と罰ゲームに移る。
――ここは王都・ペルフィーのビーチに面した宿屋『ヴィラ・トロイメント』。
そのプライベートビーチである。
リリスが王都を駆け回り、どうにか予約を取ってくれたのだ。
裏通りでの聞き込みを終えて彼女と合流し、ここに案内されたときは、たいそう驚いたものだ。
なにせ宿屋と言っても、一つの建物内に小さな客室が並んでいるタイプとは訳が違う。
『ヴィラ・トロイメント』の客室は、それぞれ一軒の木造ヴィラとプライベートビーチがセットになっているのだから!
背の高い柵によって区切られたビーチの一角が、自由に使い放題とは……なんとも贅沢な話だ。
少しは息抜きも必要である――ということで、ヴィラに到着した俺たちはすぐさま服を脱ぎ捨てた。
そうして水着姿になり、アルテミスが持ってきた『一時は日焼けするものの、一晩経つと元の肌の色に戻る』という便利な薬を飲んでから、さっそくプライベートビーチに繰り出したのである。
……無論、その薬は唾液に反応して効果を発揮するシロモノだった。
互いの身体を舐め合ってから、スタートしたのはボール遊びだ。
宿のボールを借りてきて、しばし戯れに耽っていたのである。
「ジュノ、ジュノ! 私、トロピカルジュースっていうのを飲んでみたいわ!」
「素敵です! それではわたくしも!」
「ではでは魔王様、リリスもトロピカルジュースをお願いしますっ♪」
――で、ボール遊びに敗北した俺は、罰ゲームとして皆のジュースを持ってくることになったのだ。
「スピカたちにジュースを渡したら、屋根のボールを回収せねばな……」
ブツブツ言いながら、ヴィラ・トロイメントの管理棟へ赴く。
そこにはジュースバーがあり、宿泊客は飲み放題なのだという。
「麗しき幼女よ。トロピカルジュースなるものを四つ頼む」
「はぁ~い!」
ジュースバーの幼女(褐色肌)にオーダーをして、俺は周囲を見渡した。
ヴィラ・トロイメントは明らかに高級宿だ。
管理棟の床は灰色の大理石。絵画やツボなど、芸術品の数々がそこかしこに展示されている。
各所の掃除も行き届いており、働いている者たちの身だしなみも美しく整っているのだ。
「リリス……素晴らしき宿だ。でかしたぞ」
小さな堕天使に感謝を捧げ、俺は胸に手を置いた。
まあ、宿が高級であればあるほど、俺の食事が減ってしまう期間は長くなるわけだが。
「お兄ちゃん! トロピカルジュース四つ、お待たせしました~!」
「うむ、感謝する。ほほぅ、この面妖な色合いは一体……!」
トレーに載った四つのトロピカルジュースは、透き通った青色だ。
色とりどりのフルーツが青い液体にプカプカ浮かび、グラスの縁にはバナナの切り身が添えられている。
「この華やかな飾りつけ……特にスピカは喜ぶだろうな」
愛しの少女の笑顔を想い、俺はトレーを持ってプライベートビーチへ戻っていった。
「ジュノ様、ジュースありがとうございます。シーッ、ですよ。シーッ……」
俺を迎えてくれたのはアルテミスだけだった。
彼女は人さし指をピンと立て、そっと口もとに添えている。
『Zzzzz……』
ヴィラの手前に並んだビーチチェアで、スピカとリリスがすっかり眠ってしまっていたのだ。二人とも、安らかな寝顔である。
「さすがに疲れたのだろう。長旅を終えた直後に聞き込みを行い、それからボールで戯れていたのだからな。無理もない」
俺は苦笑し、ビーチチェアの横のテーブルに、ジュースが載ったトレーを置いた。
水滴のついたグラスをアルテミスに差し出す。
「さあ、お望みのトロピカルジュースなるものだ。飲むがいい」
「あぁん、ありがとうございますっ!」
長いストローをくわえ、アルテミスが喉を鳴らし始めた。
ジュースを飲み込むタイミングに合わせて、白い首筋が官能的に蠢く。よほど喉が渇いていたらしい。
「んん~っ! この爽やかな味わい、たまりませんっ!」
ストローから口を離し、アルテミスが嬉しそうに腰をくねらせた。
わずかにジュースで濡れた唇。こちらを見つめる柔和なタレ目。首筋に浮いた汗の粒が、胸の谷間につぅ――と滑り落ちていく。
「…………」
言葉が出ない。
午後の太陽を浴びた水着姿のアルテミスに、俺は思わず見惚れてしまったのである。
「んふふっ、ジュノ様ったら……」
俺の想いを、アルテミスは敏感に察したようだ。
柔らかくも妖艶な笑みを浮かべながら、こちらに歩を進めてくる。
彼女が足を踏み出すたびに、むっちりとした全身の柔肉が、たゆん、ぷるんっ、たっぷんと蠱惑的に弾む。
「アルテミス、俺は……」
途中で言葉を封じられた。
彼女の指先が、俺の口もとに添えられたのである。
「さあ、ジュノ様もおねんねしましょう。わたくし、お膝まくらをして差し上げます」
アルテミスの膝まくら――。
しかも、水着で……だと!?
「ッ! ッ!」
口を塞がれたまま、俺は激しくうなずいた。
アルテミスの視線が動く。大きなタレ目が嬉しそうに細められた。
彼女が見つめているのは、我がブーメランタイプの水着。その中心部分である。
俺の極太ストローは、今にも水着を突き抜けんばかりに膨張していたのだ。
アルテミスに手を引かれ、ヴィラの裏手に移動する。そこにはビーチチェアとは別に、木製のベンチが置かれていた。
そこに座ったアルテミスが、妖しげな笑みをともに手招きをしてくる。
「さぁジュノ様、こちらへどうぞ?」
「う、うむ……!」
俺は彼女の隣に腰かけた。
そしてゆっくり身体を倒し――。
満を持して、太ももに後頭部を乗せた。
「お、おぉ……この『むにゅうぅぅぅ』とした感触は……!」
スピカやリリスの膝まくらとは、また違った趣がある。
なにしろ、あの二人よりもずいぶん肉づきが豊かなのだ。太もものむっちりもっちりとした柔らかさは群を抜いている。
ロングの銀髪から香る甘い匂い。しっとりスベスベの美脚が、俺のすべてを受け止めてくれる。
今この瞬間、後頭部に大いなる幸福が訪れた――。
頭を動かせば、その度にむにゅむにゅとした太ももを味わうことができる。
「あぁぁ……なんと柔らかい……」
うわごとのようなつぶやきを洩らしながら、俺はひたすらアルテミスの太ももに後頭部を擦りつけた。
太ももの魅力も絶後だが、ここから見える光景もまた凄まじい。
「ジュノ様、いかがです? ふふふっ」
おそらくアルテミスは微笑んでいるのだろう。
だがしかし、ここからでは彼女の表情が見えないのだ。
――なにせ、視界のすべてが乳で埋め尽くされているのだから。
そうだ。
もはや視界に映るのは乳※のみ。
アルテミスの圧倒的なふくらみを、真下から拝める体勢なのである。
「ぜ、絶景なり……!」
俺は息を呑んだ。
アルテミスの※乳はあまりにも大きすぎる。ゆえに重力に負け、ほんのわずかに垂れているのだ。
ぽよぽよと実った豊満な乳肉が、柔らかな腹肉と密着している――。
俺は手を伸ばし、乳肉と腹肉の境目に指を入れてみた。
むにゅぅぅ……と指先が埋まっていく。
乳※の重みがもたらすほどよい圧迫感が指先を包み込み、俺は目眩に襲われた。
「ぁんっ! もぅジュノ様ったら、いたずらっ子なんですから」
アルテミスにやんわりと注意される。
その声音も心地いい。彼女のすべてが、俺の心に安らぎを与えてくれる……。
「うぅっ、アルテミス……」
最高の枕のおかげか、徐々に眠気が忍び寄ってきた。
スピカたちと同じく疲れが溜まっていたようだ。
「ジュノ様、どうぞお眠りください。わたくしのお膝まくらでジュノ様が寝てくださるなんて……幸せすぎますので」
「う、うむ……」
アルテミスに頭を撫でられる。まぶたが重くなってくる。
波の音が心地いい。意識にモヤがかかってゆき、いよいよ意識が暗転しようとしたときだ。
「ではジュノ様。安眠できるよう、ここを収めてしまいますね?」
「……ここ、とは…………ふぬぅっ!?」
瞬間、俺はカッと眦を裂いた。
アルテミスの手が、ブーメランパンツの中に入ってきたのである!
「あらあらぁ……ここをこんなに大きくしていては、安眠なんてできるはずがありません。わたくしのお手々で、すっきりさせてあげますね?」
――ボロン。
アルテミスが俺の相棒を外界へ引っ張り出す。
ここはプライベートビーチだ。
たしかに屋外でのプレイ……いや、儀式もやり放題である。
「ほぉら、シコシコ……シコシコ……いかがですかジュノ様ぁ~?」
「うぐぐっ……はぁ、はぁ……!」
アルテミスは根元のあたりを優しく握り、さながら赤ん坊をあやすように、ゆっくりとした上下運動を展開した。
「んっ、んっ……。あぁ、もう先走りが漏れてきましたよ? んふふっ、お早いジュノ様も素敵です。そぉれ……シコシコ、シコシコ……」
「ぬ、うぅ……。こ、このまま終わるわけには……」
下半身を気だるい快感に包まれながらも、俺は抵抗の弁を口にした。
しかし……これはあまりに心地いい。
後頭部を包み込むぷにぷに感。アルテミスの甘い香り。
そして股間の淫らな律動。暴発待ったなしの状況である。
「ほぉ~らジュノ様、お休み前にお※精してしまいましょう? わたくしのヒーリングシコシコで、い~っぱい癒やされてくださいねぇ~?」
「……ッ! ……ッ!」
もはや言葉を発せる状況ではない。少しでも気を抜けば、早撃ち魔王の異名を冠することになってしまう!
だが、俺の我慢がアルテミスの心に火をつけてしまったらしい。
「んふふっ。お射々を我慢しているとき、ジュノ様の背筋がピクン、ピクンって震えるの……わたくし、大好きです。あぁぁジュノ様、なんて可愛らしいのでしょう!」
――可愛らしいジュノ様には、こうしてしまいますっ。
言うが早いか、アルテミスは自身の水着に手をかけた。
「なっ――!?」
俺は愕然と目を瞠った。
なんとアルテミスは、右胸の水着を大きくずらしたのである!
必然、彼女の片乳※がたぷんたぷんと激しく躍り、その全貌が露わになる。
「おぉぉ……。陥没せし乳※――やはり美事なり!」
俺は眼前にさらされた美しきふくらみを凝視する。
スピカよりも、やや大きめの※※。
しかし色素はスピカよりも薄く、そしてメインの先端部分が、たわわにも程がある乳肉に埋もれてしまっているのである。
「さぁジュノ様、た~んと召し上がれ。ママのおっぱい、いっぱいとごっくんしちゃいましょうね~」
「ママ……だと!?」
美しき陥没乳※が迫ってくる。これに吸いつけば、まさしく構図は母子そのもの。
俺の股間がパンパンに膨らんでいる点を除けば、完全なる母子。母子なのだ!
「……はむっ」
俺は、陥※乳首にしゃぶりついた。
我慢など不可能だ。
アルテミスの陥没せし乳※は、それほどまでに俺の心を熱くして止まないのである。
「……ちゅぷっ、れろろっ……ぢゅぢゅっ……んちゅ、んちゅっ……!」
「あぁあぁぁんっ! ジュノ様、激しっ……! はぁっ、んああぁあっ! 乳※っ、吸い出されて……んんっ! ああぁぁぁああっ!」
アルテミスが甘ったるい悲鳴を上げ、快感を堪えるように腰をくねらせる。
しかし俺は止まらない。
色素の薄い※輪を円形に舐め回し、陥没地点に舌先を当てて、ほじくるような動きを加えた。
「んんぅっ……はぁんっ! ジュノ様、その動き……イイですっ! わたくし、あぁぁぁあぁっ……そんなにされたら……んんぅぅううっ!!」
舌先にコリコリとした感触が訪れる。
顔面にのしかかってくる母なる質量が、ますます股間に元気を与えてくれる――。
するとアルテミスは、まるで赤子を諭すように言ったのだ。
「はぁ、はぁ……。もぅ……ママのおっぱい、そんなふうに吸ったらダメじゃない」
「ぬ?」
「ぺろぺろするんじゃなくって、ちゅぱちゅぱって……お乳を吸わなくちゃ。うんとお乳をごっくんして、早くおっきくなりましょうね~」
母親になりきっている――だと!?
その間にも、アルテミスの手は休むことなく上下運動を繰り広げている。
優しい手つき。
ねっとりとした、こね回すような擦り方。
俺の白濁魔弾を搾り出そうとする一連の手腕は、まさしく性母の所業である。
「…………。ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ……」
「んん~、そうそう。ママのおっぱいを気持ちよくしようとする赤ちゃんなんていないでしょう? あなたはお乳を吸うことだけを考えればいいの。んふふっ」
だったら赤ん坊の股間棒をしごき回す母親もいないのでは――と、喉のところまで出かかったが、俺は言葉を飲み込んだ。
冷静な指摘など無粋である。
授乳と搾精を両立せし『ママたる者』になりきったアルテミスとの母子プレイ……いや、母子の儀式に集中するのだ。
この授乳搾精――実際の快感も相当だが、二人の構図に意識を向けたとたん、段違いの背徳感と射精感が込み上げてくる。
母のごとく授乳しながら、同時に女性として、男の精を搾り取らんとする――。
その強欲な愛情表現を受け入れ、アルテミスの母性に溺れることを選んだそのとき、白き絶頂は自ずと訪れるのである。
俺は学んだ。
授乳搾精の本質は、『癒やし』にあり――。
「はぐぅ……! もう、俺は……!」
「あぁん、ぴゅっぴゅしてぇ! ママのおっぱいちゅぱちゅぱしながら、い~っぱいお※※してぇぇぇっ!」
ねっとりとした艶声。
甘く切ない股間の摩擦。
そしてぷっくり膨んだ母なる乳※。
悦楽の重奏が渾然一体となり、俺の腰が、大きく跳ねた。
――びゅるるるるるっ! びゅるるっ! ぶびゅりゅりゅりゅりゅりゅ……!!
下半身に甘美なる震えが奔り、とうとう幕切れが訪れる。
宙空に放出された大量の白濁液は、ペルヒタ教国に照りつける太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた――。
「あぁ、アルテミス……」
俺はうつぶせになり、性なる母の腰に抱きついた。
「ぁんっ! ジュノ様、その体勢……苦しくありませんか?」
「……苦しくない。アルテミスよ、このまま……少しだけ寝かせてくれるか?」
彼女のむっちり、たっぷりとした下腹部に顔を埋めていると、不思議と深い安らぎが込み上げてくるのだ。
「んふふっ。母胎回帰の境地に至るなんて、さすがジュノ様……」
そんな俺の背中を、アルテミスがポンポン叩き始めた。赤ん坊を寝かしつけるような、慈愛にあふれた手つきである。
「アルテミス……。そんなことをされれば……俺は、すぐに……」
「いっぱいぴゅっぴゅして、スッキリしましたものね。……今度こそおやすみなさい。わたくしの、大切なジュノ様……」
ポン、ポン、ポン、ポン……。
アルテミスの声が、背中を叩く優しい感触が、どんどん遠くへ霞んでいく。
睡眠欲の尊さを感じながら――俺は、眠りという名の快楽に堕ちていった。
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