第4話 誇り高き第四王女VS史上最強の快楽魔法
「くっ……無礼者! んぁっ、はぁんっ……!」
私は奥歯をきつく噛みしめた。
首を巡らせ、私を後ろから抱きしめている男に嫌悪のまなざしを向ける。
背後の男。
それは人類の宿敵。三〇〇年ぶりに復活を遂げた、魔王ジュノだ。
「は、離しなさい! ふぁっ、んんっ……わ、私を誰だと思ってるの!?」
「スピカ・フォン=シュピーゲルベルク。今は神聖アルテミス王国の第四王女だが、すぐに俺の下僕となるおなごだ」
「げ、下僕なんて……んぁっ、バカにしないで! ……あぁぁっ、はぁっ……!」
私の口から、おかしな声が洩れる。
自分が発したとは思えない、淫らではしたない声……。
無理もない。
鎧と服を剥ぎ取られ、今や身につけているのは下着だけ。
さらに、背後から魔王に抱かれ、剥き出しになった乳※を優しく、執拗に揉まれたら、誰だってこんな声が出てしまう……はずだ。
断じて、私がえっちなわけじゃない!
「ぶ、ぶれいものぉ……! はぁぁっ、んぅっ……ひぁぁぁっ!」
再び叫ぶ。全身を巡る魔道経絡が焼き切れそうなほど、悔しくて、恥ずかしくて、頭が変になりそうだ。
身をよじらせても、魔王の拘束は揺るがない。
伝承によると、魔王は常に禍々しい鎧をまとっているらしい。
だけど、今は半裸だ。
鍛え抜かれた上半身が、私の背中にぴったりくっついている。
背中に感じる、しなやかな筋肉の感触――。
割れた腹筋。ぶ厚い胸板。
なのに汗くさいなんてことはなく、ほんのり良い匂いがしてきて……。
くっ。魔王のくせに、私がドキドキするほどの肉体美を誇るとは。なんて卑怯な!
それに、顔だって人間そのものだ。
青みがかった黒髪。やや長めの前髪からのぞく、優しげな瞳。
見た目だけなら真面目そうな好青年なのに!
でも……さっきから私の胸をしつこく触り続けている。
手のひら全体で円を描くように揉んだり、下乳に指先を添えてたぷたぷしたり……あぁぁ! こ、こんなの……気持ちよしゅぎて、我慢れきないわよぉぉぉ……!!
「はぁぁんっ……! んあっ、あぁぁっ!」
いよいよ耐えられなくなってきた。
お腹の奥が……熱いぃぃ……。
するとそのとき、
「プププ! さっきから魔王様を罵倒してるくせに、感じちゃってるのがバレバレですね~♪ 憎い相手にされちゃうと、逆に“イイ”って聞きますけど……ぶっちゃけどんなかんじです?」
私を小馬鹿にするような声が聞こえた。
声の主は背後の男――魔王ジュノではなく、さっきから私の乳※をジーッと観察している幼女だ。
見た目は一〇歳ぐらい。
ピンクの髪をツインテールにまとめ、頭上には黒い光輪。
見ているこっちが恥ずかしくなるほどの扇情的な衣装に身を包んでいる。
黒革と金具でできた服だ。とても一〇歳が着ていいデザインじゃない。
こいつの名前はリリス。さっき、魔王ジュノにそう呼ばれていた。
「くっ……!」
リリスを睨みつける。
この子……見た目は幼女だけど魔族であり、たぶん結界師だ。
私は今、魔空間に閉じ込められている。
空間全体が紫色のウネウネした瘴気で覆われた、世にもおぞましい場所だ。
リリスが地面を殴った瞬間、周囲の景色が変化した。
こいつの結界魔法によって、私は部下たちと分断されてしまったのだ。
「ひぅんっ! き、気持ちよくにゃんか……んんっ! にゃ、にゃいんだからぁ……はぁぁんんっ!」
どうしても声がえっちになってしまう。だって、その間も魔王はずっと私の胸を触り続けているのだ。
指先を乳※に沈めてぷにぷに揺らしたり、※輪をゆっくりなぞったり。
とにかく優しく、興味深そうに……。
「ふーッ! ふーッ!」
歯を食いしばって快感をこらえていると、リリスは呆れたように言う。
大げさに肩をすくめ、
「いやいや、もう顔がトロットロじゃないですか~。瞳は虚ろ。口はだらしなく半開き。ヨダレまで垂らしちゃってからに」
「……っ!」
慌ててヨダレを拭おうとする。
が――腕が上がらない。魔王に揉まれているうちに、身体の力がすっかり抜けてしまったのだ。
たぶん、これは魔王ジュノのあやしい魔法だ。そうに違いない。
決して私が、えっちな刺激に弱いわけじゃない!
ふと、リリスが私の背後に目をやった。
「魔王様、いかがです? たゆんたゆんなお胸の感触は。リリスのちっ※いとは、また違った趣じゃありませんか?」
「…………」
しかし魔王はしゃべらない。私の胸をひたすら揉み続けている。
リリスは苦笑し、
「やだもー。魔王様ったら夢中ですねぇ。もしもーし、魔王様~? 王族最強(笑)の王女のおっ※いはいかがですか~?」
ニヤニヤしながら繰り返す。
私の背後にいる魔王ジュノは、長い沈黙の末に。
「ふむ……。これは至高の揉み心地だな」
「まじめなトーンで何言ってるのよアホ魔王!」
私は首を巡らせ、思いっきり叫んだ。
うぐっ。なんて凜々しく、理知的な顔……。とても他人の胸を弄んでいるとは思えない表情だ。
「案ずるな、スピカ。痛くはないだろう?」
「気安く名前で呼ばないで……ぁんっ! んぐっ、だ、だからぁ……い、痛いとか、そういう問題では……あぁんっ、な、なくてぇ……!」
どうしよう。問題が多すぎる。
だって。
だって魔王の下半身が。
「はぁっ、はぁ……。あぁぁっ……背中、あ、当たって……」
私は思わず腰をくねらせた。
さっきから私の背骨に沿って、押し当てられているのだ。
魔王の……あれが。
すごく太い。とっても長い。それが彼のズボンの中で、ドクンドクンと激しく脈打つのを感じるのだ。
怖いような、見てみたいような。私の中で葛藤が生まれ……って違う! そんなおぞましいもの、見たいわけがない!
「だ、だからぁ……んぅっ! も、揉まないでぇぇ……ぁンっ!」
魔王が乳※を下から支え……手を放す。
ぷるんっ! と弾む二つの膨らみに、彼は「おぉ……!」と声を洩らした。
あぁぁ、ダメだ。気持ちよしゅぎる。
魔王の指が柔肉に埋まるたび、全身に甘い痺れが走る。
※輪をくすぐられると、お腹の奥がじゅわっと熱くなってしまう。
だって、手つきが優しいのだ。
敵の女を捕らえたときって、たぶん普通は乱暴にするはずなのに。
だけど魔王ジュノは違う。
この男は私の身体に、たっぷり愛情を注ぐように触ってくるのだ。
「はぁっ、はぁっ……。あっ……!」
私はハッとした。下唇を噛みしめ、太ももを擦り合わせる。
あまりにも快感が続いたせいで、お腹の奥から熱い蜜が溢れてきてしまったのだ。
こんなになってるなんて、絶対に気づかれちゃダメだ!
「おっ、濡れてきましたね」
さっそくリリスに気づかれた!?
「なっ!? わ、私は下着を濡らしてなんて……!」
「あーはいはい。そういうのいいですから。バレバレですから」
ひらひらと手を振り、リリスがこちらへ寄ってきた。
そして手を差し伸べる。
リリスの指先が、今いちばん触られてはいけない場所へ近づいていく。
「ま、待ちなさいっ! わ、私は……ひぁぁぁんっ!」
到達してしまった。指が。私の下着に……!
指の腹でク※ッチをこすられる。
割※目に沿って、何度も何度も。
「はぁぁんっ! んぅっ、や、やめっ……んあぁぁっ!」
「うは~っ! すっごい濡れっぷりですねぇ。まあ、魔王様の愛撫にかかればこれぐらいトーゼンですよっ!」
「魔王冥利に尽きるというやつだな」
背後のジュノがしたり顔でうなずく。
二人にビンタをお見舞いしてやりたい気分だけど……目下の問題は下着だ。
快楽のトロ蜜は止まらない。すでに下着はぐっしょりだ。リリスの刺激も手伝って、太ももに垂れてきてしまっている。
もはや言い訳不能。私は誇り高き王女なのに、こんな、こんな!
すると、リリスがニコッと八重歯をのぞかせ、
「それじゃー魔王様。そろそろ……」
「そうだな。魔導調律と行こうか」
まじめなトーンで魔王ジュノが応じる。
魔導調律――。
耳慣れない単語に、私は混乱した。
「魔導……んぅっ、ちょお……りつぅぅんっ……!?」
その間も、ずっと魔王に胸をいじられ、リリスに大切なところを弄ばれているのだ。どうしても声が乱れてしまう。
魔王が言う。
「魔導調律とは、俺が女神たちに封印されている三〇〇年の間に編み出した、新たな魔法だ」
「そ、その魔導調律で……はぅんっ! わ、私に、なにを……!?」
おそるおそる訊ねる。
すると魔王は、驚くべき答えを投げ返してきた。
「魔導調律によって、お前を魔族に堕とすのだ。高貴なる第四王女スピカよ」
――なにを言ってるの?
私を、魔族に? 神聖アルテミス王国の王女を、魔族なんかに!?
「そ、そんなこと……はぁんっ! さ、させっ、なっ……!」
抵抗したいのに、身体に力が入らない。
魔族とは、倒すべき敵だ。
私たちが信仰する女神王ヴィーナス様と、六芒の女神様たち。その貴き方々の対極に位置する、禍々しき存在である。
私が今から、そんなモノに!?
そんなの嫌だ。ぜったいに嫌だ!
「嫌……っ! いやぁぁぁっ!! ……あぅぅっ、はぁぁんっ! ま、魔族なんて、絶対なりたくにゃいぃぃ! 私は王女……んぁぁあぁっ! 全国民の期待を一身に背負い、皆に、き、希望を与える存在なんだからあぁぁんっ!」
私は叫んだ。快楽の渦の中で、泣きながら声を張った。
なのに。
「いやいやスピカさん。魔族生活って、けっこう楽しいですよ?」
「うむ。リリアへイム魔界化計画、ぜひスピカと一緒にやりたいものだ」
「あなたたちは、なんでそんなに軽いのよ――――ッッ!!!!」
私の敵意なんてどこ吹く風。リリスとジュノは構うことなく、その『魔導調律』とやらの準備に入ってしまった。
リリスが私の愛※沼から手を離す。
彼女の指先と下着の間に、つぅ――と銀色の橋が架かった。
「ありゃりゃ。スピカさん、こぉんなに糸引いちゃってますよ~?」
「み、見せないでよぉ……!」
リリスは濡れた指先を美味しそうにしゃぶり、
「ちゅぱ……くちゅ。さぁ魔王様、濡れ具合は充分です。スピカさんも魔導調律を待ってるっぽいですし、やっちゃってくださいな!」
「べ、別に――」
待ってないわよ!
と、言いたかった。
だけど次の瞬間、私の口から発せられたのは――、
「あぁぁああぁぁぁああぁあああぁああああぁああぁっっ……!!」
まぎれもない、盛大な絶頂の叫びだった。
頭の中が白く飛び、腰が不規則に跳ね上がる。あぁぁ……下着も、太ももも、床も、びしょびしょになってしまった。
魔導調律――。
それから始まったのは、一方的な蹂躙だった。
悔しくて、恥ずかしくて。
だけど気持ちよくて、気持ちよすぎて、気持ちよしゅぎてぇぇえぇぇええぇ……!
いつしか私は手放していた。
王女としての誇りも、尊厳も。
今まで守り抜いてきた、スピカ・フォン=シュピーゲルベルクのすべてを――。
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