一章 高校生活2週間目 2

 またまた私は、廊下を歩いていた。まだ日は昇ったばかりで、廊下どころか学校全体が静まり返っていた。すると、バック片手に職員室の鍵を開ける先生の姿が目に入った。


「お、おはよう桐谷。はやいね、日直かな。」

「おはようございます、笹軒先生。日直ですが、何か。」

「いいや、いいや。朝の気持ちいい空気、晴れていいお天気の空、美味しいコーヒー、そして君。今日はいい1日になりそうだなって考えていたんだよ。」


...ちょっと気味悪いが一応笑顔笑顔。


「じゃ、じゃあ失礼します。」


また来た道を戻る私。だが、


「うぉっと、君、日直日誌は?」


いきなり肩を掴まれ、少しビクッとする。


「あ、はい。わ、忘れてました。今行きます。...あっ」


私は少し馬鹿だった。肩を掴める距離にいるのに、つい振り向いて走ろうとし、ぶつかる。...もちろん笹軒先生に。


「お...大丈夫か?桐谷。」


先生は私を抱いたまま返事を求める。当然抜け出そうとするが抜け出せない。


「え、ええ。大丈夫です。」

「き、桐谷、肩掴んだだけで反応するってお前...。」

「い、いいえ。失礼します。」

「待つんだ、桐谷。」


 笹軒先生は私の体をつかむ。呼吸が荒くなってしまう、私と先生。


「...過去に何かあったんだな?息が荒いぞ。」

「離して、離してください。」


過去なんて...過去なんて言えるわけがない。日直日誌を忘れながら、私は来た道を戻った。ちょっとした反応だけで分かってしまうなんて。何者...。

 後ろでは、少しニヤニヤしながら反応を楽しんでいる数学教師がいた。


「...俺の好きな、タイプなんだけどな。」

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