一章 高校生活2週間目 1-2

 「ご、ごめんなさい。まさか家族がいなくて一人暮らしとは。」

「ううん、ありがとう。私の話なんか、つまんないでしょう。」


本を片付けながらだったから、ちゃんとは全部言えなかったかもしれない。それでも...この痛みがわかってくれれば。


「僕は、僕は桐谷さんのこと、わかった気がするから嬉しかった...です。」

「え?」


竹本の顔を覗くと、少し赤かった。何かそんな変なこといっただろうか。


「週2で放課後当番ですよね。こ、これから、もう少し桐谷さんの話、聞きたいです。...いいですか?」

「ま、まあ別にいいけど、竹本の話も聞かせてよ。」


私は笑顔でそう答える。が、笑顔で答えたことがあとで大惨事を起こすこととなる。今はまだ、そのことを知らない。日は落ち、冷たい冷気が2人の足を横切った。まるでこれから起こることを知らせるかのように。

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