一章 高校生活2週間目 1-1

 時計の針は3時19分を指していた。外では体育をやっていた生徒たちが校舎内に戻っていく姿が見える。中には落ちきった花びらを箒で掃く清掃員の方にボールをぶつけてしまい、怒られてる生徒もいた。

キーンコーンカーンコーン

 退屈な授業が終わるやいなや、みんな立ち上がって帰り始める。今日は昼に帰りの学活を終わらせていたからだ。ではなぜ、昼に行ったのか。それは、いつもは6時間で終わる学校も、ある生徒たちだけ7時間目があるからだった。それは...


「最中、初図書委員ガンバ!応援してるから。」


この美波の言葉で分かる通り、委員会だ。


 「桐谷さん、緊張、してますか?」


場所変わって図書館。少しざわざわした館内で、敬語で話しかけるのは竹本鴉だった。


「いいや、そこまで緊張してない。」


そっけなく返す。が、少し可愛そうにも見えるから笑顔も混ぜて。

 委員会が始まると、竹本からメモが回ってきた。


(今日、放課後当番らしいです。)


はあ...。今日、初っ端から当番とは。そうため息を付きながら司書さんをみる。少し夕焼けに照らされる司書さんは、初老にもかかわらず生き生きとした印象をもたせた。そんな考え事をしながら時間は過ぎた。

 

 「お二人さん。今日は本の整理、よろしくね。」


司書さんにそう言い渡され、2人で本の整理をすることに。もう夕日が結構下の方にあるのに、まだ帰れない。


 「そうだ、桐谷さん。桐谷さんって今、一人暮らし?」

「ええ、そうだけど。」

「いいな、一人暮らしって。僕のところ、親がうるさいから一人になりたいってよく思うんですよ。桐谷さんって実家が遠いから1人?」

「...両親はもういないの。」

「え、?」

「...両親は、家族は、もう、この世界にはいないの。」


竹本には少し、難しい話だったかもしれない。でも、ありのままに話した。

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