一章 高校生活1週間目 2

 私は廊下を歩いていた。誰もいない廊下には、誰かが開けっ放しにしたのだろう窓のせいで、花びらが沢山落ちていた。職員室の前まで来ると、誰かが後ろから走ってきた。そして花びらで転びそうになりながらも職員室に入っていった。...校則を破る先生、どこにいるだろうか。今、確実に先生だった。多分新任でしかも数学の先生。何故かと言うと、転びそうになったときに数学のプリントを何枚か落としたから。拾う、拾う、拾う。集め終わる頃、その先生が戻ってきた。


「ああ、ありがとう。君、名前は?」


唐突だ。そう思ったが、


「いえ、大丈夫です。2年A組の桐谷最中と申します。」

「ああ、本当にありがとう。僕の名前は笹軒 祐介です。数学科で、1年B組の副担任やってる新任です。あ、A組なら勝又先生だよね。勝又先生は僕の同期なんだよ。」


ええ、存じております。そう言いながら笑顔を返す。私のクラスの先生の名前は勝又 雪解(かつまた ゆきと)先生。笹軒 祐介(ささのき ゆうすけ)先生の名前は耳にしていたが、同期だという話、実は初耳だった。


「じゃあ、本当にありがとう。君みたいな美人がこの学校にいて、しかも人に優しいって嬉しいな。」

「...そんなことないです。では。」


 本当はそのまま真っすぐ進んで目的地まで行くつもりだった。が、何故か来た道を戻っている私がいた。視線を感じる。途中、開けっ放しの窓を閉めながら日が落ちていく空を眺めた。



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