一章 高校生活1週間目 1
窓を開けると、雲が入ってきそうなほど強い強風が吹いていた。
今日は委員会決めだった。学級委員に推薦されたが、私は軽く断った。そして強風が収まりだした頃、今回所属する委員会が決まった。私はあの場所にいると落ち着く。静かで自分のやりたいことに集中でき、なおかつ調べ物ですぐに本を探せるからだ。本に囲まれた空間...そう、私は図書委員に決まった。
クラスで男女ともに一人づつ、同じ委員会に所属できる。黒板の図書委員の欄には小さめに、かつきれいに桐谷と書いてあった。新任の先生が書いてくれた。きれいな字だな、と思った。新任の先生は男の先生だ。最初に字を見たとき、女の先生だと勘違いするほどに。
外ではまたまた強風が吹き始めた。外で体育をしている1年生のボールが風で飛ばされてるのがわかる。そんな光景をぼんやりと見つめていたとき、私の名前の隣に名前が書かれてた。男子枠だ。名前は...竹本。同じ図書委員に選出されたのは、まさかの竹本鴉だった。まあいい。
委員会のポスターを書くために委員同士で顔合わせが始まった。委員会に属してない人は、クラス目標のポスター作りらしい。私が机を準備すると、竹本が紙やペンなどを持ってきた。
「...桐谷最中です。紙とペン持ってきてくれてどうも。」
「僕は竹本鴉です。こちらこそ。」
竹本はバリトンボイス...よりも少し高め、だけど低い声で、しかも少し早口で話した。身長は180近く、体重もそれに見合うだけある。頭いい。別に悪いところはないのだが、問題点が一つ。たらこ唇...。見た目も体育会系(筋肉質ではではない)の秀才なのに口だけがすごい。初めてみた。あそこまでのたらこ唇。
それでも竹本と話しているうちに、少し、わかったことがある。それは、敬語だが、慣れてくると敬語じゃなくなってくるという事実と、彼は面白い人だと言うこと。仲良くできそうだ...口に妖艶な笑みを浮かべて話を聞く私が、そこにはいた。
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