一章 高校生活1日目 

 学校につくと、先生たちが2年生を昇降口前に2列に並ばせていた。

今日は始業式。特に新学期の始業式というとクラス替え。ああ、私は一体どこのクラスになるのだろうか。


「最中、おはよう!」

「あ、美波、おはよう。」

「うわー、最中、今日もクール。流石だよ。」


彼女は釜鍋 美波(かまなべ みなみ)。男子を抑えて学年を誇る天才。絵もうまくて、料理も得意。運動も得意だから、きっと並大抵の子じゃないと彼女の上を行けない。

 だんだん先生たちの声が大きくなっていく。クラス表が配られ始めたらしい。その時、そよ風が吹いた。美波のきれいな黒髪がなびく。地面に落ちたばっかりの花びらも、一緒に舞う。すると、誰かが手放してしまったのだろうクラス替えの表が風にのって落ちてきた。

 ...美波と同じクラスだった。結局落ちてきたクラス表を拾い、美波と一緒に教室に向かった。クラスは2年A組。一番端のクラスだ。廊下を歩いていると、貼られたたくさんの紙がひらひらといっているのが聴こえる。


「最中、新A組に去年最中と同じクラスだった竹本がいるよ?」


竹本...。同じクラスだったが、覚えてないほどに存在感が薄い人だった。喋りかけることもなく、ただただ朝の挨拶を交わすことが多々あるだけだった。


「竹本 鴉...ね。からすって読むんだね。去年、私は違うクラスだったからな。」


 クラスに入ると、知らない人が結構いた。黒板を見ると、知らない先生の名前が。きっと新任の先生だろう。字や名前からして若そうだ。

 私は今年も、表向きの顔だけ見せていよう...。そう思った数ヶ月後には、裏の顔をもう見せつけていた。そんなことは、まだ知るはずもなかった。

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