18 祭りの終わり(戦場にて友を思う)

「終わった、な」

 背を何かに預けたまま大きく息をつく。手から愛用の得物がこぼれ落ちる同時に、足から力が抜けずるりとその場に足元から崩れ落ちた。

 先ほどから少しだけ遠くなった空を見上げ、もう一度確かめるようにつぶやく。

「……終わってしまった」


 そう、終わってしまったのだ。

 一世一代の大舞台。

 全てが始まり全てが終わる、何よりもこの自分の血をたぎらせる祭。

 それがとうとう終幕を迎えてしまった。


「つまらん……が、いたしかたないか」

 祭の始まりを望んだのが真実なら、終わりを望んだのもまた真実だ。

「……これで満足だろう?」

 今はもう見えない面影にささやいた。

「お前はずっと、これを願っていたのだろう?」

 だから祭は終わる。この手で終わらせた。

 祭を終わらせることこそが、あれの望んだことだったから。


 誰もいなくなった戦場で、一人空を見つめ続ける。

「青空、か」

 祭の終わりに、あれの旅立ちにふさわしい快晴だった。


 まぶしさに目を閉じる。

「あァ……少し、疲れたな……」

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