陳情! モジシャン超マシン伝説(【モジシャン】より)

簡単な用語説明

 ・モジシャンもじしゃん→ヒーローの名称。イメージとしては仮面ライダーが近い。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 会社の休憩室にて。


 江角えすみ勇助ゆうすけ佐々木ささきじんがコーヒーブレイクをしている最中。


 部屋の扉がドンっと開かれ、佐倉さくら乃々ののが現れる。


勇助ゆうすけ、聞きたいことがあるの!」


「サンドバッグとは名ばかりで、実は中に砂は入っていない!」


「そうじゃなくて。私達モジシャンもじしゃんって、仮面ライダーがモチーフじゃない?」


「そうだな」


「なのにさ。なんで私達、バイクに乗らないの? なんで出動は、いつも走っていくか、社用車での移動なの?」


「忘れたのか佐倉さくら勇助ゆうすけが第4章で、第7章で俺がバイクに乗ってただろーが」


「あんなのノーカンです。変身しないで、生身の状態で乗ったんじゃダメです」


「そもそも俺が乗ったバイク、厳密には俺のじゃなくて十文字じゅうもんじの物だったしな」


「ほらっ、おかしいじゃない! 仮面ライダーには(特別な場合を除けば)何かしらの専用バイクがあるのに……なんで私達モジシャンもじしゃんには、それが無いの!?」


「……言われてみると、確かになんでだろう?」


じんさん! 奈央なおさんは何か専用バイク持っていましたか!?」


「……無かったな」


「やっぱりおかしい! ネット版でネタにされたディエンドだって、レッツゴー仮面ライダーではバイクに乗ってたのに! もう我慢できない! ちょっと社長に、専用バイク作ってもらうように直談判してくる!!」


 そう言い残し、乃々ののは休憩室を飛び出していった。


「これは……」


「陳情だな……」











 社長室。


「社長、お話があります!」


「……部屋に入る際はノックをする、それが人間社会のルールだ」


「そのことに関しては後で謝ります。それより社長、モジシャンもじしゃんの専用バイクを作ってください!! なんならバイクじゃなくてもいいです! ドライブみたいに車でも、この際自転車でもいいです!」


「却下だ」


「どうしてですか!? 私が免許を持っていないからですか? それなら安心してください。私は今、免許を取っています! いずれはトライドロンで2人を援護します!」


「そんなことは関係ない」


「だったらなんで!」




「これが、小説だから、だ」




「……へ?」


「仮面ライダーは、特撮という『映像』作品。故にライダー達がバイクに乗るアクションは画になる。エンジン音、疾走感など、全ての要素が画になる。火薬やCG等を使えば、更に迫力が増す。だがモジシャンもじしゃんは小説という『文字だけ』の作品。画には決してならない。たとえモジシャンもじしゃん達がバイクに乗っても、『バイクに乗った』という文字列にしかならない。エンジン音も擬音語にしかならない。そもそもこの作者に、バイクアクションという高度な描写を書く技量は無い」


「ノック忘れてすみませんでした!!」


 かん社長にここまで言われてしまっては、もう専用バイクを作ってくれなんて言えない。そう思う乃々ののであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る