第77話試練
《神獣使い》
「じゃあ、最後にムイだね」
ライたちに異能力を与えていき、最期のムイの順番になった。
ちなみにライは分身を一体作る異能力。本人曰く、今は一体しか分身を作れないけれど、近いうちにもっと分身を作れるようになって見せるらしい。
スイは光を操る異能力。今は周りの光を強めることと、周りの風景を偽造することができるらしい、ライと同じく近いうちにもっと使えるようにすると自信満々に言った。
エトは未来視の異能力。2秒先の未来が見えるらしい、何回か使っていればもっと先の未来が見えるようになると推測されるらしい。
スズは3秒間だけ無敵になれる異能力。無敵になっている間は僕たちのどんな攻撃にも傷一つつかなかった。
ハイドは自分の体を霊体化させる異能力。この異能力には物理攻撃はすり抜けて効かなかったが、光を纏っている異能力や光の砲撃は通り抜けずに当たった。
「フェルトお兄ちゃん、お願い。初めて」
僕はムイに言われた通りに異能力を発動する。
「
ムイの体が黄色い光に包まれ、そしてみんなと同じく光はどんどん大きくなっていく。だが、光は眩しい光を放たずにどんどん大きくなっていき小さい町なら飲み込むぐらいの大きさになる。そして、光は小さくなっていきムイの体に入っていく。
「なんか俺たちと違わないか?」
エルたちも新しい異能力を使っての戦闘をやめ、こちらに歩いてきてエルが言う。
「ムイは何か変わったことある?」
僕はさっきから湖の方を見て動かないムイに尋ねる。
「・・・え、ごめんなさいぼーっとしちゃってて」
ムイは僕が声をかけたことに気づいたのか、慌ててこちらを振り向き、謝る。
「いや、別にいいよ。それよりムイの新しい異能力を見してくれないかな?」
「わ、わかりました。じゃあ、使って見ますね」
ムイは手を空に向けてこう叫ぶ。
「異能力発動」
ムイが立っている地面に大きな文字の書かれた陣ができる。そしてその陣が四つに分かれそれぞれ順に赤、青、緑、白色にひかる。
「・・・・・」
僕たちの間に沈黙が流れる。
そして、四つの陣から生き物が召喚される。
「あの中の一体は白虎だよな?それ以外の獣たちはなんなんだ?」
エルが召喚された生き物を見て言う。
「多分、神話に出てくる獣たちだと思う。赤い陣から出てきた炎を纏ってる鳥が朱雀で、青い陣から出てきた白虎と同じぐらいの大きさの青色の龍が青龍で、緑色の陣から出てきた大きな亀は玄武だと思う」
僕がそれぞれの獣を見て、そう推測するとムイが。
「フェルトお兄ちゃんの推測はあってる」
と言う。僕はムイの雰囲気が変わっていることに気づいた。だが、エルたちはそれに気づいた様子はない。
『フェルト、全員異能力を習得できたんなら今度はお前の試練について説明する。一回しか言わないからよく聞けよ』
僕の頭にフェイテの声が流れる。僕は小さく頷く。
『お前は泉の中、通称記憶の泉に入り、精神世界で僕を含めたお前の前世と戦わなくちゃいけない。ただし、僕らも手加減しないし、お前を殺すのに躊躇しない。そして、試練を受けてる最中に死んだら現実世界でも死ぬことになる。
一度受けた試練は途中で中断することもできない。終わらす方法は死ぬか、全員倒すかのどちらかだけだ。
これを聞いても試練を受ける気になるか?』
『その試練で力が手に入るんだろ? ならやるしかないじゃないか』
僕はなんの迷いもなく答える。
『お前がこの試練をクリアできたら、アクアちゃんの来世からの運命を変えることができる異能力を使えるようになる。と言っても、色々な異能力を組み合わせないといけないけどね』
フェイテは真面目な口ぶりでいう。僕はそれでもいいとフェイテに伝える。
『わかったよ、お前の仲間たちにはお前が試練を受けている間に襲ってくるルーン大陸にいる獣とは比べ物にならない強さの獣たちと戦ってもらう。そのことだけは伝えてくれ』
『え、僕そんな話聞いてないんだけど』
『あ、ごめん。言い忘れてたわ。じゃあ、今言ったから伝えておいてくれ』
それきり、フェイテとの通信は途切れた。
『なんかマイペースだな』
僕はそんなことを思いながらもエルたちに説明する。
「それじゃあ頼みます」
僕はエルたちに頭を下げてお願いする。
「「「任せて」」」
エルたちはなんの迷いも見られない表情で言ってくれる。
「じゃあ、行ってくる」
僕は湖に飛び込み、湖の底に向かって泳ぐ。
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