第三章 決戦
第76話神秘の森
《イナ大陸》
「見えてきたぞ、あれがイナ大陸だ」
エルはエトたちの背中から見える大きな大陸を指差して大きな声で言う。
「わぁ、木や植物で地面が見えない」
ムイが目をキラキラさせながら言う。
エルがイナ大陸と言って指差した場所は、木や植物などで地面が見えず薄暗かった。
「フェルト、ここから先は道案内頼むよ。イナ大陸は見ての通り一面木や植物で覆われているからどの場所が神秘の森なのかわからないんだ」
「わかった」
僕は記憶にある神秘の森の場所を思い出す。
「エト、こっから東へ進んで」
僕がエトに指示すると、エトはそれに従い東へ進んでいく。ライとスイもそれに続く。
《新異能力》
イナ大陸の空を3時間ぐらい東に向かって飛行していると・・・
「多分あそこだと思う」
僕は木々や植物の色が周りの森とは違う場所を指差し言う。
「なんか、別空間って感じがする」
ジルが森を見て呟く。
確かに神秘の森と思わしき場所以外は緑色のの木々や植物が生い茂っている。だが、神秘の森と思わしき場所にある木々や植物は白色だった。
「フェルトさん、あの森のどこに降りればいいんですか?」
エトが僕に尋ねてくる。
「神秘の森の中に大きな泉があるらしいからその近くで降ろしてくれると助かる」
「わかりました」
エトは空を飛ぶスピートをさらに早くする。ライとスイはエトの早さに必死について行っていた。
それからほんの少しして。
「大きな泉を発見しました。今から降りますね」
エトは神秘の森の中にあった泉の周りの地面に向かって空から降りていく。
「つきました」
エトは元気そうな声で言う。だが、ライとスイはもう疲れ切っている感じだった。
「フェルト、ついたのはいいけどここで何するんだ?」
エルが不思議そうに尋ねてくる。
「まずはエルたちに新しい異能力を習得してもらう」
エルたちは驚きのあまり「え」と声を出す。
「そんなことできるのか?」
「できる異能力を僕は習得したんだよ。まぁ、習得できる異能力は選べないらしんだけどね。でも、この場所だったら超異能力が習得できるんだって」
僕はフェイテが教えてくれたことをそのまま話す。
「それは誰情報なんだ?」
エルが不審がって訪ねてくる。それもそうだ、まだエルたちにはフェイテのことは話していないのだから。
「信じてもらえないかもしれないけど・・・、僕の前世が教えてくれた」
僕は何言ってんだこいつ?と思われるんだろうなと思った。だが、エルたちは。
「フェルトがいうことなら信じるよ。みんなも同じでしょ?」
エルがそう言ってみんなに話を振ると、みんなは全員で『そうだね』という。僕にはそれが嬉しくて笑みをこぼす。
「やっぱり仲間はいいものだね」
心の片隅に仲間なんて作らなければいいと思っていたが、これで完全にそんな気持ちはなくなった。
「じゃあ、そろそろ始めるから準備はいい?」
「準備って、何すればいいんだよ」
僕の言葉にエルがツッコミを入れる。
「いや、心の準備とかいるかなぁ〜って」
「いいよ、まずは俺から頼むよ」
エルは一歩前に出る。
「じゃあ、最初にエルからで。ジルたちも順番決めておいてね」
僕は記憶にある異能力の使い方を思い出す。
「
エルの体が黄色い光に包まれる。そしてその光はどんどん大きくなっていき、最後には眩しい光を放って消えた。
「エル、終わったよ」
エルはキョトンとしている。
「ああ、終わったのか。なんかいまいち変わった気がしないんだけどな」
「最初のうちは、小さい頃に初めて異能力が使えるようになった時と同じ感覚なんだって。まぁ、色々と試して見てよ」
「やってみる」
エルは試しに手のひらを空に向ける。そして異能力を発動する感覚で異能力を発動させようとする。
「なんでもいいから異能力を発動してくれ」
『ドゴォォォン』
エルの体に空から落雷が落ちる。僕の体に雷が走る。けれど、全然痛くなかった。それどころか、体が軽くなった感覚を覚えた。
「フェルト、多分俺の新しい異能力は電気の力を使っての身体能力上昇だ、それも普通の身体能力上昇とは比べ物にならないほどのな」
エルは自慢げに言う。
「なぜか僕の身体能力まで上がってるんだけど」
「多分、さっきの雷に触れたからじゃないか?」
「じゃあ、雷に触れたら敵でも身体能力が上がるってこと?」
「もう一回やってみるよ」
エルはまた手のひらを空に向けて雷を落とす。
『ドゴォォォン』
今度は僕の体に変化は見られなかった。
「フェルト、身体能力上がったか?」
「いや、上がってない」
「意識して使えば、身体能力を上げる人とあげない人とで分けれるみたいだ」
エルは自分の推測を話す。
「じゃあ、名前考えておかないとね。名前考えておいた方が発動時にいちいち想像しなくていいから」
「そうだな」
エルは僕たちがいるところから少し離れたところまで歩いて行って異能力を使って何ができるのか調べている。
「じゃあ、次は誰がやる?」
僕はジルたちの方へ振り向く。
「やっぱり男の僕からかな」
ジルは迷いの見えない足取りで僕の目の前に歩いてくる。
「じゃあ、始めるね。
ジルの体がエルと同じく黄色い光に包まれ、光が次第に大きくなっていき眩しい光を放って消える。
「ジル、どう?使えそう?」
僕がジルに尋ねると、ジルは。
「多分、これで使える」
ジルは剣を一本生成すると空に向かって突く。
すると、剣の先から光の円ができ、そこから鋼の鎧が顕現しジルの体に装着される。
「フェルト君、本気で一発殴って見て」
僕は言われた通りに拳に炎を纏わせてジルが着ている鎧めがけて殴る。
『ガキィン』
僕の拳が鎧に当たった直後、鈍い音がし、僕の拳に激痛が走る。
「フェルト君の拳も防げるんだ」
ジルは冷静に自分の異能力について解析する。僕はジルの目の前で痛みに悶えている。
「
僕はなんとか口を動かし、拳を治療した。
「フェルト君大丈夫?」
ジルは思い出したように僕を見て、聞いてくる。
「なんとか・・・、その鎧の防御力すごいな。あのパンチ、軽く城の城壁を壊すぐらいの威力があったはずなんだけど、傷一つつかないなんて」
僕はジルの鎧を見て言う。
「じゃあ、向こうでエルと新しい異能力で決闘をしてますね」
ジルはエルの方へ鎧を着たままはして行った。
そのあとに、ライ、スイ、エト、スズ、ハイド、ムイの順で異能力を習得することになった。
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