第70話ルトバーの目的
《戦い》
「目的?」
「ああそうだ、俺の目的はな、この世界から俺が信用する奴ら以外の人間のみを排除することだ。この世界は人間が増えすぎた、だから俺は俺が信用する奴ら以外殺すことに決めた。そのためにキラーズを作った。
そのために人体実験をして龍人や人狼、エルフ、ドワーフ、インプに天人と言った人間の知識を持ちながら、完全に人間ではない生物を作り上げた。さすがに、人間が持つ知識をたったの数十人で覚えるのは難しいからな」
ルトバーはどうやら世界を変えるつもりのようだ。
「お前は神にでもなったつもりか?」
「俺はただの神になるつもりはない、俺は世界を変える邪神になるんだよ。俺の能力は邪神が持っていた能力と全く同じなんだよ。お前も神話とかで読んだことあるだろう?」
「まさか、殺した生物の異能力を自分の異能力に変える異能力か?」
神話では邪神は絶対の異能力を求めて色々な生物を殺したと言われている。
「半分正解、半分不正解。俺の異能力は殺した生物の異能力を自分のものにできるんだよ。そして自分のもにできる異能力に上限がない」
僕はルトバーの異能力は異常、なおかつ最恐だと言うことを悟った。
「さぁ、俺の目的を聞いてどうする?」
ルトバーはどうやら僕だけではなくアクアにも聞いているような口ぶりだった。
「
ルトバーを覆うように氷が生成される。
「こんなの効かないよ」
ルトバーは動いていないのに氷は砕け散る。
「それぐらいわかってる。だから、次の一手を仕込んだ」
ルトバーの後ろに小さく、大量な氷柱が生成されていた。
「放て!」
氷柱はルトバーに向かって放たれる。
「なかなかいい戦法だ。相手が俺じゃなかったらよかったのにな」
氷柱はルトバーに当たる直前に蒸気とかして消えた。
「お前、呪赤目か。お前を見たときまさかとは思ったけど、奴隷商人が俺に売りつけてきたあの時の子供か」
「私はもう奴隷なんかじゃない!」
アクアは空気中に氷柱を生成してルトバーに向けて放つ。
「だから効かないって言ってんだろ。それにお前を殺そうと思えばたった一言で殺せるんだぞ」
ルトバーが喋った一言で僕は動き出していた。
「イフリート」
僕はイフリートの力を解放する。僕の髪の一部が赤くなる。
「炎を纏え」
僕は刀を腰から引き抜き炎を纏わせ、ルトバーの方に向けて構える。
「ハァッ!」
僕はルトバーに斬りかかる。
「異道具の武器か、面白い。だが、俺にはその程度の攻撃は効かねえよ」
ルトバーは刀の刃を腕で受け止め、刀がまとっていた炎を何かしらの方法で打ち消す。
「なっ」
僕は炎を打ち消されたことに驚き、隙ができてしまう。ルトバーはその隙を見逃さなかった。
「後ろに下がってろ」
ルトバーは僕を後方に蹴り飛ばす。
「なんで呪赤目の話をしたらいきなり攻撃してきたんだ、隙は見せてないはずなんだけどな。・・・・・・・・そう言うことか」
僕はルトバーが話しているのにもかかわらず斬りかかる。
「だから、その程度なら意味がないって」
ルトバーは刀を片手でつかむ。
「本気でかかってこいよ。じゃないと俺は殺せないぜ」
ルトバーは僕を挑発する。
「
僕は黒と赤色の炎を纏い、炎の形を龍に似たような形にする。
「
僕は右手を刀から離し、右手に炎で剣を生成してルトバーを斬ろうとする。
「
炎の剣が消され纏っていた炎も消される。僕はルトバーが使った技を見て、呆気にとられる。
「なんで、お前がその異能力を持っている」
「なんでって言われてもなぁ。・・・・そうだったな、この異能力の持ち主はお前の友人を殺した仇だったな。残念だけど、お前の友人を殺した仇は生きてないよ」
以前の僕だったらその一言だけで自分が行なってきた6年間に絶望し、恐怖しただろう。だが、今の僕にはアクアがいて、みんながいる。それに、ハルトとも話せた。だから、今の僕にはあまり衝撃的ではなかった。
「それがどうした。その話を聞いたところで僕は絶望したりはしないぞ」
「そうかい、まぁ、俺も最近入手した技だからいい練習相手になるぜ」
僕はルトバーの周りに炎の槍を大量に生成する。
「そろそろ刀を離してもらうぞ」
僕は右手を横に払う。直後、ルトバーの周りにできた炎の槍がルトバーに向かって一斉に放たれる。
「
ルトバーを中心に音波が円状に放たれる。炎の槍は音波によって打ち消される。
「やっぱりクールタイムがある技は不便だな」
ルトバーはそう言って刀から手を離す。僕はすぐにバックステップを踏み後ろに下がる。
「その程度か?」
ルトバーはそう言うものの、僕はすでに体力が限界に近かった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
僕は自然と息が上がる。
「そうか、あれがお前の本気か。自分の子だからと少しでも期待した俺が馬鹿だったな。・・・・・いやまてよ。いいこと思いついた」
ルトバーはアクアの方を不気味な目で見る。
「
アクアの肌に黒い蛇のような模様が浮かび上がる。
「うぁぁあぁ」
アクアの口、鼻から血が吹き出る。
「アクア!」
僕はアクアの元に一瞬で駆け寄る。
「その娘、持って十数分にしといた。その間にお俺に呪いが解けるほどの致命傷を負わせられればその娘はたすかろぞ、お前の大事な人なんだろ? それができなかったらもう一度失うことになるな」
僕はアクアを地面にそっと倒す。
「
僕はアクアの時間を止める。
「へぇ、それがお前の本当の異能力か。そっちの方も使えよ」
「残念ながらこっちの能力は攻撃型じゃないんだよ。まぁ、一回ぐらいならこう言うことできるけどね。
ルトバーの首から上が体から落ちる。だが、血は出なかった。
「な、光?」
ルトバーの体は光になって消えた。
「こっちだよ」
僕は肩を掴まれる。僕はすぐに振り向き、振り向きながら刀を横に振る。
「おっと、危ないな。まぁ、嫌な予感がして光の分身を作っておいてよかったぜ」
ルトバーは刀を下にかがむことで避け、僕の腹を殴る。
「まだだ」
僕はルトバーに殴られるが、イフリートの力を使っているからかあまり痛みはなかったおかげですぐに攻撃に移る。
「おいおい、さっきまで体力に限界が来てたんじゃないのか?」
僕はルトバーに言われるまで体力のことをすかり忘れていた。だが、今はアクアを守りたいと言う気持ちの方が強いため、体力が減って言っている気がしない。
「まだ、まだいける」
僕は自分に暗示をかけるようにそう言いながらルトバーに斬りかかったり、炎で攻撃したりする。
「そういえばもう5分は経ってるけど、後ろで苦しみながら寝てるその娘、そろそろ時間も動いて苦しみ始めてると思うよ」
僕は後ろを振り返る。だが、まだアクアの時間はまだ止まったままだ。
「隙あり!」
ルトバーはそう言って、さっきとは比べ物にならない威力の拳を僕に繰り出す。
「グハァッ」
僕はそのまま後ろに殴り飛ばされ、数メートル離れた壁に激突する。
「さらにもう1発」
ルトバーは一瞬で僕の目の前に移動して蹴りを入れる。
「うぐ」
「やれやれ、そろそろ飽きて来たな、俺が相手するのもなんだしあとはヤミに相手してもらうか」
ルトバーがそう言って椅子の方へと歩き出す。
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