第61話イフリート・攻
《水 対 炎》
「くらえ。
水の竜巻の中にいる男がそう言って水の竜巻を切り離し、イフリートに向かって放つ。
「炎よ打ち消せ。
イフリートの周りに赤い透明な小さな円が5個ほどできる。
「放て!」
イフリートがそう言った瞬間、小さな円から炎のレーザーが放たれる。
そしてそのレーザーは水の竜巻に当たった瞬間、水の竜巻を当たった箇所を中心に蒸発させていく。
「そのまま焼き殺せ!」
炎のレーザーはそれぞれ違う方向に放たれていたがイフリートがそう言った瞬間、男を焦点とするかのようにいきなり曲がり、男に近づいていく。
「そんなこともできるのかよ!」
男はそういって驚くがすぐに対応しようとする。だが、どう見ても誰もが間に合わないと思う状況だった。
「風龍解放」
男は炎のレーザーが当たる直前に何か言った気がした。
《風水龍の力》
「あっけないものよな」
イフリートはそう言って笑う。僕も完全に勝ったなと思った。
「勝手に終わらせないでくれる?」
イフリートの笑い声は一瞬で消える。僕も身構える。
「ふぅ、当たる直前に風龍の力を解放してなかったら流石の僕でも致命傷だったな」
男はさっきと若干違う姿で生きていた。
「あれ、もしかしてこの程度で僕を倒せたとおもってた?」
男はあっけにとられている僕の顔とイフリートの無言の殺意に気づいてか、そう聞いてくる。
「我の攻撃はちゃんと当たったはずだ。なのになぜ、貴様は傷一つ負っていない?」
イフリートはそういう。確かに、僕の方から見てもイフリートの攻撃は当たっていた。
「それなら、風龍の力を解放して、当たるところを強引に捻じ曲げさせてもらったよ」
男はそう言って自分の足を指差す。
「ほら、僕の足が風を操る龍と同じ形の足だろ?」
男は足を強調するかのように身が足を前に出す。
「さぁ、少し冷めてしまったが、殺し合いを再開しよう」
男はそう言って構える。
「それでは我も少しばかり本気を出すとしよう」
イフリートも男が身構えると同時に身構える。
「地獄炎段六段、
イフリートの両腕に金色の炎が集まっていく。
「そっちがさっきと違う技を使ってくるなら、僕も違う技を見せてあげるよ」
男はそう言って両手に風を集め始める。
「
イフリートの手のひらに金色の銃弾のような炎が何個も生成される。
「
男が風を纏っている両手をイフリートに向ける。
イフリートも金色の銃弾のような炎が集めてある両手を男に向ける。
「「放つ!」」
男とイフリートがそう言った瞬間、イフリートは黄金の銃弾を男に向けて放ち、男はイフリートに向けて巨大な風の竜巻を放つ。
風の竜巻は黄金の炎の銃弾を無力化していく。だが、完全には無力化できておらず、既に何発か男に当たっている。
「これじゃあ先に僕の方がやられてしまうな」
顔から汗を垂らしている男がそう言った直後、男の周りに水が浮き始める。
「
男の周りに浮いた水が集まって男が放っている風の竜巻を遮らないように水のバリアが生成される。
『バシュッ、バシュッ、バシュッ』
金色の炎の弾丸は水のバリアを通過する前に勢いを殺され、水によって消されていく。
今度は逆に、風の竜巻から時々放たれる風の刃がイフリートの体に当たっていく。
「ぐっ」
イフリートから声が漏れる。
「僕には何かできないのか?」
僕は吐き捨てるように呟き、考える。
「ああもう、考えてもわからない。もう戦いの本能にしやがってやる!」
僕は考えることをやめ、刀に黒い炎と赤い炎を纏わせる。
「はぁぁぁ!」
僕は思いっきり僕を捉えている水の部屋の壁に向かって刀を振る。
『スパァァン』
水の壁は刀が当たった瞬間、一気に水は蒸発していく。
「よし、これなら」
僕はもう一度刀を構える。
『フェルトよ、少しいいか?』
頭の中にイフリートの声が聞こえる。
『なんだ?』
『時間を稼ぐから、お主の最大火力をあやつにはなってほしい』
イフリートの声が次第に聞こえづらくなる。
『とにかく今は時間がない、頼んだぞ』
それ以降、イフリートの声は聞こえなくなった。
「ああ、任せてよ」
僕はそう呟き、刀を後ろに引き、刀に炎を集める。
《時間稼ぎ》
「
イフリートの体は激しく燃え、炎の形が龍に似た形になる。
「これなら、行けそうだな」
イフリートはそう言って体の調子を確かめている。
「へぇ、まだそんなの隠し持ってたんだ」
男はそう言って面白そうに笑う。
「今の状態だとやばい気がするから、封印を解除させてもらうね」
男はそう言ってから『雷龍解放。炎龍解放』という。
男の体が炎に包まれ、赤い鱗ができ、男の右目に小さな雷が落ち、男の右目が黄色に光る。
「さぁ、始めようじゃないか」
男はそう言って戦闘態勢に入ろうとする。だが、男の体は戦闘態勢に入った瞬間、男の体は地面に叩きつけられ、一気に城の最下層に落ちる。
「何が起こったんだ?」
僕は目の前で一瞬で起きた光景に目を丸くする。
「この力を使った我に、たかが龍4体分の力でどうにかなるわけがないであろう!」
イフリートはそう言って甲高い声で笑う。
「この姿だと少し動きにくいな。仕方ない、久々にあの姿にでもなるかのう」
イフリートがそういうと、イフリートの体をまた違う炎が覆っていく。
炎がイフリートを完全に覆った直後、炎はどんどん縮まっていき、人間と同じぐらいの大きさにまで小さくなる。
『バァーン』
弾ける音とともにイフリートを包んでいた炎がはじけて爆発する。
そして、イフリートがいたはずの炎の中から一人の赤い髪をし、赤い目を持つ人間そっくりの二十歳ぐらいの男が出てくる。
「イフリートか?」
僕は刀に込めている力を弱めずに赤髪の男に聞く。
「そうだ、この姿をお主に見せるのは初めてであったな」
イフリートはそう言って『どうだ?』と言わんばかりの表情を向けてくる。人型になったからか、イフリートの表情が読み取りやすくなった。
「フェルトよ、引き続き力を溜めていてくれよな」
イフリートはそう言って僕に笑いかける。
「さっきの龍みたいな炎消えてるけど大丈夫なのか?」
僕がイフリートを心配するかのように聞くと、イフリートは。
「大丈夫だ、我をよく見ろ。薄くだが、炎を纏っているであろう?」
僕はイフリートに言われた通り、イフリートを見る。確かに炎を纏っていた。
「確認したな? それでは行ってくる。我が男を打ち上げるから、お主の視界に男が映ったら思いっきり斬ってくれよな。タイミングは我の能力で伝えるからの」
イフリートは僕にそう言って、男が落ちて言った穴に入り、一気に最下層に降りていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます