第60話灼熱龍の力
《十分の一》
『パシッ』
男は僕が突き刺そうとした刀を右手で受け止めた。
「少し、やばかったかな。まぁ、いくら力を抑えてるとはいえ僕にここまでダメージを与えるなんて、やっぱりあの方の血筋なのだな」
男は僕の刀を右手で持ちながらそう言う。
「なんのことだ?」
僕は男が喋った『あの方の血筋』と言う言葉について男に質問する。
「なんだ、知らないのか。お前はあの方の」
男が喋ろうとした瞬間、男の後ろの空間が歪んだと思うとそこからさっき戦ったヤミが出てきた。
「それ以上はルトバー様に対しての反逆行為として認識させてもらいますよ」
ヤミが男にそう言った。男はそれに従うように『わかったよ』とだけ言った。
「じゃあ殺し合い再開といきますか」
男はそう言って確かな殺気を放つ。
「ヤミ、邪魔するんじゃないぞ」
男は後ろで見ているヤミにそう言い放つとヤミは。
「わかってますよ。それに、私はフェルトの強さを見定めてこいとしか言われてませんから」
ヤミはそう言って空間の歪みに消えていく。
「よし、じゃあ始めようじゃないか。ここからが本当の殺し合いだ」
男はそう言って炎を纏い始める。
「な、それは僕が出した炎か?」
僕がそう男に聞くと、男は面白そうに。
「これは、灼熱龍の炎だ」
男が纏っていた炎が次第に消えていく。
「なんだよ、その姿は」
男の体の至る箇所に赤い龍の鱗みたいなものができていた。
「10体のうちの一体の力を解放」
男はそう言ってニイッと笑う。
「イフリート、まだ攻撃できる?」
僕は僕の後ろで見ているイフリートに確認を取る。
「ああ、我がこれしきのダメージで倒れると思うか?」
どうやらイフリートもまだ戦えるらしい。
「アクア、スズ、ジル、ムイ、ハイド守りをさらに固めてくれ」
僕がそう言うとアクアたちは能力を使い壁を作る。
「
僕は男の時間を止める。そして僕は男に斬りかかるのではなく、エルの体の方へ走る。
「アクア! エルを頼むぞ!」
僕はすぐに
壁はエルの体がぶつかるギリギリに解除され、エルの体が完全に壁を張っていたところを抜けると同時に壁がまた再建築された。
「へぇ、てっきり時間を止めて攻撃してくるのかと思ったら仲間を助けるなんて。随分と余裕じゃないか」
男の殺気はさらに強くなる。
「ひとつ面白いことを教えてあげるよ。僕は龍の力を解放するごとに能力が変化するんだ。だから、
男はそう言って自分の能力について喋る。どうやら、本気で真っ向勝負をしたいらしい。
「まぁ、
男はそう言ってから、僕に右手の手のひらを向けて。
「
男がそう言った瞬間。男の手のひらから僕めがけて大きな炎が噴出される。
「
僕は炎で壁を作り、なんとか攻撃を防ぐ。
「これぐらいでそんな顔してたら、お前は次の攻撃で終わりだぜ」
男はそう言って、今度は左手を僕に向けて両手に炎を集めている。
『フェルトよ、守りは我に任せて攻撃に専念せよ』
頭に直接イフリートの声が聞こえる。
『いいけど、これはなんだ?』
僕は僕からも通じるのかを確かめることお含めてイフリートに聞く。
『これは我の能力の一部でな、炎系の能力者と話すことができるのだ。それよりも早く攻撃することに集中しろ』
どうやらこちらからも受信可能のようだ。
僕は確認をした後、黒い炎と赤い炎を刀に纏わせる。
「さぁ、次はどうやって受け止めるかなぁ。
男の両手から僕めがけて一つの大きな炎の球が放たれる。
「ふぅぅぅ」
僕は刀を構えて集中する。
「ノーガード。刀で斬る気か」
男はおもしろそうにそう言うが、男の推測は外れている。
「さぁ、斬れるものなら切って見な」
男はどうやら完全に僕が炎を斬るつもりだと思い込んでいるようだ。
『バッ』
僕は地面をおもいっきりけり、男の方に向かって走る。
そして炎の球が僕のすぐ目の前に来た時。
『バシッ』
イフリートの腕が炎の球を真上から潰した。
「なっ、ここでイフリートだと」
男が自分の推測が外れたことを知ったことで大きな隙ができる。
「はぁぁぁ!」
僕は刀を思いっきり振る。
『スパァァン』
男を斬ることには成功したが、男は当たる直前にバックステップを踏み後ろに下がったため、腕を一本切り落とす程度だった。
「そうだった、そうだった。お前の方にはイフリートがいるんだった」
男はどうやら完全にイフリートの存在を忘れていたらしい。
「じゃあ、まずはイフリートから倒さないとな」
男はそう言って一瞬で空を飛んでいるイフリートの魔の前に飛ぶ。
「灼熱龍封印。聖水龍解放」
男の足元から大量の水が出て来て男を包む。
『バシャッ』
男を包んでいた水が音を立てて地面に落ちる。
男の姿はやはり少しだけ変わっていた。赤い鱗は完全に消えており、代わりに男の背中から青色の龍の羽が生えていた。
「くそっ」
僕は足に炎の翼を生成して、空を飛ぼうとする。
「
男がそう言った瞬間、僕の周りに水が出現し、僕を包む。
「君はあとで相手をしてあげるからそこで待ってなよ」
男はそう言って今度は、自分の周りに水を集め始めた。
「お主を倒すためにわざわざ地獄から出向いてやったのだ。我はそう簡単にはやられないぞ」
イフリートも身に纏う炎を強くしていく。
『フェルトよ、安心しろ。負けそうになった時はお前の中に隠れさせてもらう』
イフリートが脳に直接喋りかけて来た。
『わかった、絶対だぞ』
僕がそう返すとイフリートは『ああ』とだけ返事した。
上の階では灼熱の炎と渦を巻く水の竜巻がぶつかろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます