第19話情報と自己紹介


 僕たちとジルは、森の中でまずは、自己紹介をすることにした。


「そう言えば、僕たちの能力、教えてなかったね」

「そうですね、僕も、自分の能力を言っていませんし」


 ジルがそういう・・・普段は、ジルの方の人格が出ているらしい。


「それでは、僕から始めますね。

 僕の名前は、ジルです。まぁ、知っての通り、実験の実験体です。

 僕の親は、僕を捨てどこかに言ったそうです。まぁ、研究所の実験体に使われている、人間は、だいたい親に捨てられたか、人身売買によって研究所に買い取られた人たちだからね。

 そして、僕の能力は、放出系の能力を威力などをそのまま、跳ね返す能力です。

 まぁ、剣などで、刺されたりしたら、終わりですけどね。

 じゃあ、僕のもう一つの人格に変わりますね」


 そう、ジルが言うと。


「俺は、ジルの中にある人格だ、元は人間語が話せる獣だ。ジルには、キルって呼ばれてる。

 安心してくれていいぞ、俺は、人間を襲ったりしない。それに、ジルの体で暴れても、ジルに迷惑かけるだけだからな。

 俺の能力は、剣を生成し自分を中心に100メートル内で操ることができる能力だ。剣は最大で100個生成できるぞ」


「え・・・獣って能力使えたの?」


 アクアが、聞いた。


「獣だってちゃんと能力は使えるぞ、でも、人間と違って、弱い種族の中には、弱い能力を持つものしか生まれない。だからと言って、強い種族同士では、強い能力を持つものが生まれるとは限らない。

 あと、獣は種族が豊富だから。それぞれの種族によって、異能力とは、また別の能力・・・ステータスと言ったほうがいいかもな。そんなのがついている。」

「へーそうなんだ」


 アクアが楽しそうに聞いていた。


「あ、それと僕は14歳なので、さん付けなどは不要ですので」

「それを言ったら、この中でエルさん以外、みんな、14歳以下だよ」

「そ、そうなんですか?」

「うん、だから、私のことは、アクアって呼んで」

「はい、そうさせていただきます」


 この後、アクアは僕たちを紹介するとジルに一つ聞いた。


「ジルとキルってどちらも、潮位能力者なの?・・・そう言えば、研究所にいたから、超異能力者とかわからないか」

「いえ、研究所でもそれなりの知識は覚えさせられます。実験に成功した時では、脳のメモリーに結構負荷がかかってしまいますから、あまり物事を覚えられないんですよ」

「じゃあ、ジルもジルの助けたい子も、記憶力が弱いの?」

「いえ、僕と彼女は、珍しい特異体質でして、脳が強いんです。だから、研究所では実験後は、研究所の奴隷として扱われました。本当は、僕と彼女とで逃げ出すつもりだったのですが、研究所の人に見つかり、すぐに、警報がなってしまって、僕だけしか逃げ出せなかったんです」

「そうだったんだ、ごめん、変なこと思い出させて」

「いいですよ、それと、僕とキルは超異能力者ですよ」


 ジルは、にっこりと笑う。


「ジル、そろそろ研究所について、何か知っていることを話してくれ」


 僕が、ジルにそう言うと。


「わかりました」


 ジルは、冷静にそう言った。





「まずは、何から話したら良いでしょうか?」

「まずは、研究所で何の種類のキメラを作っていたかだ」

「えーと、僕が知っている限りでは、今日あった、コウモリのキメラ、鳥のキメラ、魚のキメラ、人間同士のキメラを作っていました」

「それらのキメラには、すべて人間が使われているのか?」

「一回目の実験で壊れた人などが使われています。多分、ほとんどのキメラには使われているでしょうね」

「そうか、次の質問いいか?」

「はい、どうぞ」

「君の知っている限りでいいから、研究員の異能力を教えてくれ」

「えーと、研究員は基本的に自分の異能力を使わないんです。だから、一つも知りません、ごめんなさい」

「そうか、じゃあいいよ」

「あ、でも。研究員の中には自分の体をキメラ化させてる研究員もいました」

「そうなんだ、それはありがたい情報だ」

「お役に立てて良かったです。それと、研究所の中では、あなたの噂はもう流れてますので、それ相応の対応はされると思います」

「今日、キメラたちが襲撃してきたから、もう、俺らの場所はバレてるんじゃないか?」

「いえ、あのキメラたちは、実験の失敗作としてこの森に捨てられたものたちですから、バレている可能性は低いと思います」

「そうなんだ、よく知っているね」

「逃げ出す時に、ちゃんと調べましたから」

「じゃあ、最後の質問」

「何ですか?」

「科学の街の人間は大丈夫なのか?」

「・・・何を言っているんですか?」


 ジルが不思議そうな顔をしてこっちを見てくる。


「科学の街は、2年前に無くなりましたよ。今は、科学の街があった場所には、研究所が建てられてますから」

「え、でも。ここ最近の貿易記録を見たときは、科学の街って書いてあったぞ」

「多分、それは、研究所があるとバレなくするための偽装工作ですね」

「そうか」

「フェルトさ・・・フェルトくん、僕からも、質問いいですか?」

「フェルトくん?」

「年が同じだったからそう呼ばせてもらいますね」

「わ、わかった。それで、質問とは?」

「あなたの時を戻す能力は、どれぐらいの日数戻せますか?」

「多分、二日」

「そうですか、教えていただきありがとうございます」

「何で、そんなこと聞くんだ?」

「いえ、時間を戻せば、キメラになった人たちを救えるかもと思っただけです」

「すまないな、この能力は決して万能じゃないんだ」

「そうですよね、そんな万能な能力があったら、能力を使うための対価が体力だけじゃすまなさそうですしね」


 ジルは、そう言いどこか悲しそうな顔をしたが、すぐに元の顔に戻した。

 僕だって、できることなら救いたい。でも、そんなことはできないとわかってるんだ。なぜなら、この世界は神という存在が遊びで作ったようなものなのだから。神に作られた生き物は、神みたいなことはしてはいけないのだから。

 僕は、アクアたちと作戦をたて、特訓をして、能力の連携技などを考えて日中を過ごした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る