第15話キラーズの情報



 アクアは、僕の話を聞いた後。


「そうなんだ、ありがとね」


 と言って笑った。

 その笑顔だけで、僕はものすごく安心した。


 それから、二日。僕たちは、エルの家に泊めてもらっていた。

 その時に、エルが集めたキラーズの情報を話す、と言ったがアクアにも聞いてもらいたいから。明日にしてもらった。

 僕の寝る部屋で、僕は月明かりを眺めていた。


『久しぶりだな』


 僕の頭の中に直接声が聞こえる。


「あの黒い炎か」


 僕は、聞き返す。


『ああそうだ』

「何か用か?」

『お前は、俺をなんのために使う?』

「なんでそんなこと聞くんだ? 僕の中にいる時点で築いてるんだろう」

『一様聞くだけだ。それに、お前の中にいるからと言って、全部の考えがわかるわけではない』

「そうか」

『話を戻すけれど、俺をなんのために使う?』

「復讐を成し遂げるために使う」


 僕は冷静に答えた。


『そうか、残念だ』

「それと、大切な人たちを守るために使いたい」

『・・・・え?』

「だから、大切な人たちを守るためにも使いたい」

『まさか、人のために使うなんていうとは』

「今回の件で、僕はまだ強くならないといけないと悟った。今のままじゃ、キラーズにも復讐できない」

『じゃあ、どうするんだ?』

「君を僕の力にする」

『何をいうかと思えば、俺は、あの時、気まぐれで力を貸しただけだ。勝手に仲間だと思うなよ』

「わかった、じゃあ。君に僕を認めさせる」

『はっ、戯言お!』

「いいや、僕は絶対君の力を入手する」

『まぁいい。じゃあ、俺からの試練だ。俺の力を制御してみろ』

「僕の中から出た炎なら、操れるよ」

『今、外に黒い炎を出したからやってみろよ』

「わかった。コントロール・・・・・・あれ、できない」

『わかっただろう? お前は満足に黒い炎を出すことも、操ることもできない。惨めな人間なのだよ』

「その、試練の期限っていうのはいつまでだ?」

『そうだな、お前が次にピンチになる時までだ』

「いつなるかわからないけどいいのか?」

『いいんだ』

「わかった」

『それでは、黒い炎を出す権限だけは与えてやろう』

「ありがとう」

『ついでに言っておくと、俺の炎は早くコントロールできないと、どんどん生命力を削っていくからな』

「忠告感謝する」


 僕は、黒い炎との会話を終え、寝る。





 黒い炎との会話をした次の日、僕たちは、エルの家の一番大きな部屋に集まって、エルの渡してきた資料を見てた。


「これが、僕の集めたキラーズに関する情報だ」

「「こんなにもよく、集められたね」」


 アクアとムイが言う。


「あー、耳と心が痛いなー」

「別に、フェルトの情報収集能力が低いわけじゃないぞ。この情報たちは、普通じゃ手に入らないものばかりだからな」

「「えっ?」」


 アクアとムイが驚いた。


「言ってなかったっけ? エルは情報屋をやってるんだよ」

「え、フェルト、じゃあこの情報にもお金がかかってるの?」


 アクアが問いかけてくる。


「大丈夫だよー、僕が協力したいからフェルトに情報などを提供してるだけだから」


 僕の代わりに、エルが答える。


「まぁ、その話はまた今度にして。情報の整理しますか」


 みんな、各自、自分の座っている場所に置いてある紙を読み上げていく。

 ムイだけは、エルに難しい字の読み方を聞いていた。


 ガックの時ほど、情報が書いてある紙がなかったし、人数もいたので10分後にはもう、発表できる準備は整っていた。


「じゃあ、まずはこの情報を集めてきた、僕からいきまーす。

 キラーズは依頼者の命と金と引き換えに、依頼者の依頼を果たすらしい。

 多分、フェルトがいた会場が襲われたのは、その会場にいたほぼ全員に恨みがある奴が犯人だろうな。まぁ、そいつはもう殺されているだろうが。

 僕が見た資料に書いてあったのはこれぐらいだ」

「じゃあ次は、私が発表しますね」


 ムイが一枚の紙をとって読み始めた。


「えっと、キラーズは合計で5つ組織の本拠地があって、それぞれ、研究所、戦闘兵育成所、暗殺隊待機所、獣討伐隊待機所、そして、キラーズをまとめているキラーズの王と呼ばれている人がいる、王の王宮と呼ばれる一番大きな本拠地があるそうです。

 私は、これで終わります」

「じゃあ、次は私が発表するわね」


 アクアが話し始めた。


「ムイが言ってくれた、研究所と戦闘兵訓練所と暗殺隊待機所について、話すね。まず、研究所は、まぁ、名前の通り研究をしているところなんだけど。どうやら、人体実験をやっているらしくて、獣討伐隊が倒した、もしくは、いきたまま連れてきた獣と、人を合成させて、人工的にキメラを作り出しているらしいの。

 戦闘兵訓練所はそこで、殺しの技とか、獣の倒し方などを教わる場所らしい。

 暗殺部隊待機所には、まぁ、名前の通り、殺しを得意とする人が待機する場所みたい。私たちの大事なものを奪ったのはこいつらね。暗殺部隊待機所には、情報を抹消する人が何人かいるみたい。

 私の話はこれでおしまい」


 アクアの話が終わると、次は僕の番になった。


「僕がまとめたのは、王の王宮以外の本拠地のそれぞれのリーダーの超異能力について。

 まずは、研究所のリーダーの超異能力は、人を操り、その人が持つ異能力でさえ操るらしい、操るためには条件が必要らしいけど、不明。

 戦闘訓練所のリーダーの超異能力は、身体能力2倍〜50倍。自身にかけることも、人にかけることも可能。25倍からは、たいていの人は体の急速な成長に耐えられず、体が破裂する可能性があるんだって。まぁ、本人は50倍まで使えるらしいけど。

 暗殺隊待機所のリーダーは・・・・」

「「「どうしたの?」」」


 アクアたちが聞いてくる。


「いや、僕の大事なものを壊して行った人間をやっと見つけて、ちょっと怒りがね。

 能力は、能力の無効化、土を自由に生成したり、操ったりできる能力者。

 前戦った時は、能力の無効化にはクールタイムが必要だった。

 獣討伐所のリーダーの超異能力は龍召喚能力。龍を従えているらしい、一度に召喚できる龍は1体〜10体だそうだ。大きさは関係ないらしい。

 僕が見た資料に書いてあったのはこれぐらいだよ」


 僕たちは、情報を提示しあった後。

 改めて自己紹介と、目的を言った。


 僕とアクアとムイの自己紹介と目的を言い終わった後、エルの自己紹介と、目的をエルは話した。


「僕の名前は、エル、人の精神を操る超異能力者だよ。精神を操る能力は、普通の異能力に入るんだけど、僕の場合は特別で、キラーズの研究所のリーダーみたいに、人を操ることができるんだ。まぁ、そんなに強くないから、せいぜい1時間が限界。他にも人の精神世界の扉を開けることができるなどの使いようによっては、結構使える能力さ。

 僕は元は、キラーズの暗殺部隊に居たんだ。」

「「えっ」」


 アクアとムイが驚く。


「フェルト、本当にこの人大丈夫なの?」

「僕が、3年前、キラーズの暗殺部隊に殺されかけた時に助けてくれた人だよ、それに、裏の世界ではエルの首に金がかかってる。それも、高額の。

 だから、エルは、裏世界のお尋ね者さ」


 僕が、説明するとエルが。


「僕は、元からキラーズには潜入捜査として入ったから、時期がちょうどよかったんだ。それに、僕の復讐のためには君たちみたいな仲間が必要不可欠なんだよ」


 エルは説明する。

 ムイは信じたようだが、アクアはあまり信じてなかった。

 まぁ、僕も完全には信じてはいないんだけどね。

 僕たちは、話を終わった後、ここを出発する日を明後日に決めて、それぞれの部屋に帰った。


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