第13話炎の獣イフリート
《イフリート》
「ここが、アクアの精神世界の中か。」
そこは、あたり一面が氷でできていた。
「人の、精神世界がその人の能力に影響されることは知っていたけど、こんなにも影響するものなのか」
僕は辺りを見渡す。そして奥の方に煙が上がっているのを見るける。
「何だあれは」
近くまで行って見ると、そこには溶岩と炎でできた獣、いや外見はもはや生命体というかキメラだ。
僕は近くに行って見る。
「貴様、我に何かようか」
気づかれた!
「この精神世界から出て行って欲しい」
「それは無理だ」
「何で?」
「私はここで力を溜めている、キラーズを倒すためにな」
「お前は、キラーズの配下の組織のリーダーが持っていた非能力武器の獣なんだろ?」
「私は、キラーズに討伐された後、剣にされた。だが、私は2000年は生きた獣だ、それも、地獄の炎を操るイフリートだ、やられたままで終わるわけにもいかない。でも、どうやったら復讐できるのか考えていた時にこの体に、私でできた武器が刺さった、これは好機だと思いこちらに移った」
「そ、それじゃあお前はイフリートの分身などではなく」
「あぁ、本物の私だ」
「そうか、でも、ここから出て行ってもらう」
「嫌だと言ったら?」
「ここで、お前を討伐する」
「貴様一人でできるわけなかろう。キラーズの時も超異能力者が15人は居たんだぞ、しかもそのほとんどが、私との戦いで命を落としている」
「関係ない、出ていかないんだったら討伐するまでだ」
「威勢がいいことだ。食らうがいい私の地獄の炎を!
僕の体が黒い炎に包まれる。
「な、何だこれは」
「この精神世界が壊れては私も困るからな、拘束させてもらった。抜け出そうなんて馬鹿な真似はするなよ、その炎に触れたりでもすれば、触れた部分は消滅する」
「おい、お前この精神世界から持ち主の力を奪ったらどうするつもりだ?」
「もう、力のない体に用はない、普通ならまた新しい体を探すところだが、この精神世界の持ち主は力が強くてな、探さなくてもいいようになったんだ。だから、この精神世界の持ち主が死んだ時、私は実体を持って世界を焼きちくし、キラーズをあぶり出す」
「そんなことはさせない。絶対に僕が何とかする」
「やってみなよ」
「炎の
僕が出した炎を纏う。
「ほう、面白いことをする。まぁ、どうしようもないがな」
「やってみなきゃわからない。炎の
炎の刃を放つ。だが、黒い炎に一瞬に飲み込まれる。
放つ、放つ、放つ。何発放っても黒い炎はビクともしない。
「無駄だと言ったろう。いい加減に諦めたらどうだ?」
「それはできない、彼女を救うためにも」
「人の心は理解に苦しむ、他人のために命を捨てるなどして何になる?」
イフリートが問いかけてくる。
「それは、人が本当に守りたいと思えば自然と体が動いてしまうんだよ」
「それが理解できないのだ」
「お前ら獣は、強いものが生きる。だけど、人間は一人じゃ生きるのに限界がある。だから、人は仲間を組んだりできる」
イフリートは笑っていた。
「そうか、その結論を聞いたのは初めてだ」
「他の人間にもこの問いを?」
「あぁ、だが大抵の答えは、わからん、そんなことしたことない、などの回答が返ってきた」
「そうなのか。じゃあ聞く相手が悪かったのかもな」
「どういうことだ?」
「この答えにたどり着いてるやつなんて、この世に何万人といる」
「そうか、そうなのか。わかったよ、ありがとな話に付き合ってくれて、もういいぞ炎から抜け出すための策を講じるがいい」
「そっちの問いかけに答えたんだから次はこちらの問いかけに答えてくれ」
「いいだろう」
「何でそんな問いかけをしてるんだ? あんたはキラーズの人たちを殺したいだけなんだろ?」
「まぁ、2000年以上も生きていれば少しくらい人間に興味が湧いてくるからだ」
「そうなんだ、じゃあ、そろそろ本気で炎を切るから」
「できるものならな」
「できるさ」
僕は気を集中させる。
「
炎を切り裂いていく。
「な、まさか本当にこの炎が切れるとは」
「どうだ」
「面白いぞ。この炎を切れたものは私が知る限り、三人目だ」
「そりゃどうも」
「お前、取引しないか?」
「なんの?」
「お前が私の出す試練を全てクリアしたら、私はここから出て行こう。だがもし負ければ、この精神世界は諦めてもらう」
「何個試練はあるんだ?」
「全部で合計2個だ」
「絶対クリアできない試練じゃないだろうな?」
「クリアはできるがそれはお前次第だ」
「わかった、その取引に乗ろう」
「じゃあ、少し離れてくれ」
僕は、言われた通りに離れる。
《第一の試練》
「炎の
炎の化身が5対召喚される。
「一つ目の試練はこの化身を倒すことだ」
「わかった」
「それでは、初め」
化身たちが一斉に襲ってくる。
「喰らえ!」
炎でできた剣を一振りする。
「スカ」
剣を化身がすり抜ける。
「言っていなかったが、化身に打撃は通用しないから、化身より強い炎で倒さないといけないぞ。しかも、化身より弱い炎を出すと逆に吸収されて化身が強くなるだけだからな」
「そんなの卑怯すぎるだろ」
「それが試練だ」
イフリートが楽しそうにみている。
「
炎の化身の5体のうち一体が消える。
「ほぉ、やるな」
一体消したのはいいけど、体力の消費量が半端なさすぎる。
時間を戻す能力は、まだ使えない、この間の戦闘でクールタイムを無視しすぎたせいで、まだ、クールタイム中だ。しかも、アクアの時を1日ずつ戻していたしで、さらにクールタイムが伸びていた。
「まぁ、あと4体は耐えられそうにないな」
「まだいける!
炎の化身は3体、2体と減っていく。
「おら!
残りは、最後の一体になった。
ここまでで、ほぼ全ての体力を使ってしまい立っているのがやっとの状態だった。
「これで、最後!
炎の化身は燃えるだが燃えている火力が上がってしまった。
「な、炎の吸収?!」
「どうやら、火力が足りなかったようだな」
これ以上、炎を作ることも、体力を回復することもできない。
考えろ、考えるんだ。
僕は、必死で考える、だが、炎の化身はどんどん迫ってくる。
その時!
『癒しの
僕の、体力が半分回復した。
「・・・え」
『君、この子を救ってね』
誰か、女の人の声が聞こえた。
「ちょっと、待って」
返事は返ってこない。
こうしている間にも炎の化身は迫ってくる。
「
炎の化身が消える。
「一つ目はクリアだ、これは私からのクリアの褒美だ」
「癒しの
体力が全回復する。
「二つ目の試練は、私と戦ってもらう」
「え、それは無しになったんじゃ」
「貴様が、私に10発以内にダメージというダメージを与えられたらクリアだ」
イフリートはルールの説明をする・・・
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