第5話少女の過去



 鳥の宿で寝て、起きた僕は朝から牛丼特盛、豚丼特盛、サラダ特盛を食べていた。・・・・決していつもはこんなに食べないからね!昨日、能力のクールタイムすっ飛ばしたから体力減ってて回復するために食べてるだけだからね!


 

 1時間後。


「ごちそうさまでした!」


 僕は食事代をテーブルの上に置き、宿屋から外に出るために扉に手をかけた、瞬間。


「やっと見つけました!」


 僕が開けるより早く扉は開き、この街で最初に話した情報屋が疲れた様子でそこに立っていた。


「ちょっときてください」


 急に腕を掴まれ路地裏へと連れられる。


「あなたですよね?」


 路地裏に入った直後の質問がそれだった。


「何が?」


 僕には心当たりがあったが、確信がないため一応尋ねることにする。


「裏組織、ガックを破滅させ、デスイーター幹部の一人、ハイネを殺した人はあなたですよね?」


 この情報屋がすごいのか、単に見つけられたのが早いのかはわからないが、どうやら昨日僕がやったことはもうこの人にはバレているようだ。


「シリマセン」


 僕は知らないふりをする。


「しらを切っても無駄です。私の情報力ナメないでください」


 真剣な表情でそして若干キレ気味に情報屋は言う。


「わかったよ。認めるよ、僕がやったよ、どちらとも」


 僕は両腕を上げて降参のポーズをとる。


「やっぱり」


 情報屋は顎に手を当てブツブツと何かを言っている。


「で、何か用?」


 僕は考え事から離れられそうにない、情報屋をこちらの世界に呼び戻すかのように声をかける。


「実は、今日はあなた取引をしにきました」

「例えば?」

「デスイーターの本拠地の場所」


 その言葉に僕は呆気にとられる。


「な、それ言っちゃって大丈夫なのか?」


 僕が情報屋にそう言うと、情報屋は。


「だから、取引と言っているんです」


 真剣な顔をして言う。


「そうか、でも、もう一個の組織を潰してから行きたいから」


 僕がそう言うと、情報屋は。


「やっぱり、知らないんですね」


 僕には意味がわからなかった。


「え、何が?」

「あなたが昨日、殺したハイネはもう一個の組織スモークのリーダーです」


 僕の脳が情報屋が言ったことを理解できなかった。だから、もう一度言ってもらうことにした。


「え、なんだって?」

「だから、あと残りの組織はデスイーター1つということです」


 僕は唖然とする。


「わかった。・・・・デスイーターの本拠地の場所の情報はなんゴルド?」


 僕は一刻も早く除法が欲しかっため、すぐに金額を聞くとにした。


「4万ゴルドでどうですか?」

「高くないか?」


 この世界では100ゴルドもあれば宿に一泊はできるだろう金額だ。

 4万ゴルドともなると、高級宿に2週間は泊まれるぐらいの金額だ。まぁ、奴隷売買をしている組織の情報を入手することは難しいから、この値段は妥当だとも言える。


「それだけ、努力して集めた情報だからですよ」


 情報屋は胸に手を当て、誇りげに言う。


「わかった、はい、四万ゴルド」


 僕は宿から持って来ていた鞄からお金が入った袋を出し、その中から四万ゴルドを取り出して、情報屋に渡す。


 4万ゴルドを使ったことにより、これから食べするための資金が一気に減った。


「ありがとうございます。じゃあこれを」


 情報屋は四万ゴルドを受け取ると、自分の鞄の中に入れて、代わりに鞄から10枚程度の紙を取り出す。


「これは?」


 僕は渡された紙の一枚を見る。


「地図です。そこに、デスイーターの本拠地が示されています」


 情報屋がペンを紙に当て、説明してくれる。


 一通り説明が終わったあと。


「それでは、私はこれで」


 情報屋は大事そうに鞄を持ちながら笑顔で言い、大通りの人混みによって、姿が捉えられなくなった。


「おう、ありがとな」

「いえいえ」


 僕は鳥の宿に戻ると明日のために体力回復をした。





 僕は昨日もらった地図に書いてあったデスイーターズの本拠地の裏口の前にいる。


「こんな所にあったなんて・・・・」


 本拠地があったのは街の中心部付近! ではなく、街の端の方だった。


「まあ街の人に危害が及びにくいのは、いいことなんだけどね」


 僕は扉の前を確認する。やはり厳重な警備体制がひかれていた。


「じゃあ地図に書いてあった、隠しルートを通って行きますか」


 僕は地図に書いてあった場所に行った。


「ふぅ、やっとでれたまさか使われていない地下水道が道として機能するなんて」


 なぜか横向きについていたマンホールを開けて出た先は青髪の少女が着替えている場所だった。・・・・・・・・・・・・・・・・・終わった。


「なんであなたが、ここにいるの?」


 よく見たらその少女はハイネが奴隷ちゃんと読んでいた少女だった・・・・・顔だけしか見てないからね!信じてね!


「いや、ここに潜入しようとして・・・ごめんなさい」


 僕は頭を下げて謝る。


「どうして謝るの?」


 この娘はどうやら、本当に今の状況を見ていないようだ。


「大変申し訳ないのですが、その、服を着てください」


 少女の顔が真っ赤になっていく。


「み、見るなぁぁぁぁ!」


 青髪の少女はあたりの物を僕にめがけて投げながら顔を真っ赤にして言う。


「す、すいませんでしたァァ!」


 僕は飛んでくる物を避けながら謝る。


 それから少しして。


 20発ぐらい殴られました。


「・・・あなた、なんでここにいるの?」


 僕を殴ったせいか、手が腫れている青髪の少女の手は真っ赤になっていた。


「デスイーターを潰すためにここにきた」


 僕は青髪の少女の質問に素直に返答する。


「うん、それはわかったんだけど、なんでそれを、デスイーターの一員である私にいうの?」


 確かに、普通なら敵組織に入っている人には教えないようなことだ。だが、僕は無意識のうちに教えていた。


「なんでだろう?」


 僕は青髪の少女に聞くが、青髪の少女は。


「私に聞かないでよ」


 青髪の少女は呆れとようにため息をつく。


「じゃあ、僕を殺す?」


 僕はできれば青髪の少女と戦いたくなかったため、先に僕をどうするかだけ聞いておく。


「まだあなたには聞きたいことはたくさんあるし、あなたといると面白いから殺しはしないわ。命令があったら殺すけど」


 青髪の少女から発せられた言葉の最後の方は、気のせいかもしれないけれど、寂しさや、悲しさが感じられた。


「ありがとう、じゃあ伝言を伝えるね」


 僕が青髪の少女に言うと、青髪の少女は首をかしげる。


「伝言?」

「ハイネが『あなたの大切なものを奪ったのはキラーズとラジルだわ』と伝えてくれと頼まれた」


 僕がそう言うと青髪の少女は疑いの目を僕に向けて。


「嘘はないでしょうね」

「本当だよ」


 僕が答えると、青髪の少女は『そう』とだけ返して来た。


「それと、こうも言われた」


 僕がそう言うと、青髪の少女は又しても首をかしげる。


「君に名前をつけてあげてって言われた」


 僕が青髪の少女に言うと、青髪の少女はすごい殺意を込めて。


「いい加減にして!!」


 少女の周りに氷柱が地面から突き上げる。


「えっ」


 僕は驚きのあまり声を漏らす。


「あなたといるととうに捨てた感情が蘇ってくるの。だから、それ以上私に構わないで!」


 青髪の少女が発する言葉一つ一つに棘なようなものがある。だが、それ以外にも寂しさのようなものが感じられた。


「それはできないかな、約束したから」


 僕は少女に笑いかける。


「私に今以上の生活はいらない」


 少女は嘆く。


「命令のままに動く操り人形でもいいの?」

「あなたには関係ないでしょ!」

「確かに僕は君の事情を少ししか知らない」

「なら」

「だけど、僕も久々なんだ、こんなにも人を救いたいって思ったのは!」


 少女の顔から涙が出る。


「つっ」

「だから君を救いたい!君をここから救いたいんだよ」


 少女の周りの地面から出ていた氷柱が崩れていく。


「・・・・わかった、今から私がいうことは大きな私の独り言」

「ありがとう」

「だから独り言だってば!」





 13年前、私は生まれた。

 私は氷を自由自在に操ったり、氷を生成したりできる超異能力を持っていた。

 私の親は私を2歳の時に捨てた。

 2歳だから働けないし二日で死にかけたわ。

 死にかけた町で、赤い髪をした15歳の少女に拾われた。

 その少女の名前はファー・アルテル・ラーという長い名前だった。

 ファーは南の地出身で向こうの街の人はほとんどの名前が長いらしかった。

 私を助けてくれてしかも色々なことまで教えてくれるいい人だった。

 私が5歳になった時、彼女は宿屋でバイトを始めたらしく、いつも帰ってくるのが遅かった。

 私は何度も彼女の辛そうな顔を見ていた、どうやら彼女は宿屋の先輩たちにいじめや嫌がらせを受けていたようでいつもため息ばかりついていたが、私の前だけはずっと笑顔でいた。

 私が7歳になった時ファーは宿屋で大成功したらしくその宿屋を預けられたそうだ。

 ファーは嬉しそうに私に話してくれて、私もファーの嬉しそうな顔を見るのは好きだったから嫌な気持ちなしでずっと聴いていた。

 私が9歳になった頃ぐらいからファーと私の周りに妙な気配が付きまとっていた。

 ファーはあまり気にしない方がいいと言っていたんだけれど、私はずっと気にしていた。そんなある日の嵐が来た夜のことファーと私が夕飯を食べていると。


『パリーン』


 窓ガラスが割れた音がした。


「何があったのかしら?」

「さぁ?」


 私とファーは窓ガラスが割れた音がした部屋へと入っていく。


「動くな!!」


 そこにはマスクを被った団体が入って来ていた。


「あなたたち、一体何者?」


 ファーは私をかばうように、私の前に立った。


「依頼者の要望にファー・アルテル・ラーを殺せと言われたから殺しにきた組織だ」


 団体の先頭にいた人間が私とファーに向かって言った。


「逃げるよ」


 ファーは9歳の私の手を引っ張って逃げようとするが、この家はすでに囲まれていたらしく外に出てもそこには組織員と思われる人が数名立っていた。


疾風刄かまいたち


 私は初めてファーの異能力を見た。

 ファーが出した風の刃が次々とキラーズのメンバーを倒していく。

 けれど、


落雷らくらい


 ファーに雷が直撃する、その時私はただ見ていることしかできなかった。

 次に私の脳がはっきりした時にはファーは焼き殺されていた。


「ふぅ、手こずらせてくれたね全く」


 この時、私は怒り、苦しみ、憎しみ、恐怖など負の感情が一斉にこみ上げて来た。

 気づいたら私は私の周りにいた人間を殺していた。

 自分が怖くなってファーの元に戻ったそこにはファーの遺体と緑色の火玉があったその火玉は私の中に入って来てファーの声が聞こえて来たの。


「ねぇ、怒ってる ?私が死んだことに対して。それとごめんね君に名前をあげれなくて。私なんかが名前をあげていいのだろうかとばかり考えてたわ。

 だから、私からじゃなくてあなたのことを思ってくれる人から名前をもらってね。それじゃあ、そろそろ時間だから。じゃあね」


 私は泣いていた、なんで泣いているのかもうよくわからなかった嬉しくて泣いているのか、感動して泣いているのか、悲しくて泣いているのか、痛くて泣いているのかわからなくなった。


 その一ヶ月ご私は奴隷商人に捕まりデスイーターに売られたの。



「どう私の過去、面白くもなかったでしょ」


 少女は『フッ』と笑う。


「あれ、独り言じゃなかたの?」


 僕がそこを指摘すると。


「・・・・・」


 少女がこちらを睨んだままま無言になる。


「調子に乗りましたごめんなさい」


 僕はすぐに謝る。


「まあいいわ、もう一度聞くけど本当にハイネがファーを殺したのはキラーズとラジルって言ってたの?」

「うん、そう言ってた」

「じゃあ今から確かめにいくから・・・一緒に来る?」

「行かせてもらいます」


 僕たちは、ラジルの元にいくために歩き始めるのだった。・・・どうやら彼女は命令されてないことには本当にやらないようだ。



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