第3話少年と少女




 今僕は、デスイーターが本拠地としている街「ネイザー」にいる。

 この街は治安がいいと聞かれれば普通な方だろう。なぜなら、デスイーターみたいな裏の組織が何個か隠れているからだ。


「まずは情報収集しないとな。この街にデスイーターの本拠地があることしかわかってないんだよな〜」


 そう、この街にデスイータの本拠地があることしかわかってないんだ。しかも、この街は結構な大きさなのだ、調べたところこの街には住人が約7千人ほど住んでいるらしい。


「まあこの街の裏組織は全部つぶすつもりだったからまあいいんだけどね」


 僕は一人呟く。


「あのぉ〜」


 短髪で黄色い髪をした二十歳ぐらいの女性に声をかけられた。


「旅のお方ですか? 何か困りごとがあるんですか?」


 当然声をかけられたあとすぐに、質問ぜめをされたので少し戸惑ってしまう。


「えっと、あなたは?」


 僕がそう聞くと短髪の女性が申し訳なさそうに頭を下げてから。


「すいません。自己紹介がまだでしたね。私はこの街で情報屋をやっているカナンと申します。獣の高確率出現場所などの情報を有料で売っています。・・・・・それで何か困りごとはありますか?」


 彼女はどうやらここで情報屋をやっているようだ・・・なんか後で大変な目に合いそう


「じゃあ、この辺で安くてきれいな宿屋の場所を教えていただけますか?」


 僕はまず宿を確保しないと行けないと考え、余計な時間と出費をなくすためにカナンに聞く。


「わかりました。宿屋は今私たちが立っている大通りをまっすぐ行ったところに、鳥の宿っていう宿屋がありますからそこで泊まっていけばいいと思います。湯船もありますし、食事もおいしいですし、お金もあまりかからないんで」


 カナンさんは鳥の宿という宿をお勧めしてくれる。


「教えてくれてありがとう。それともう一つ聞いていいかな?」


 僕がそう言うとカナンさんは嫌な顔一つせず。

「なんですか?」


 と返してくれる。

 僕はすぐにデスイーターについて知っていることはないか聞く。


「カナンさん、デスイーターっていう組織知らない?」


 僕がこの質問をした瞬間、カナンさんが纏っている空気が変わる。


「あの、その名前はここではあまり出さないほうがいいと、思います」


 誰かに聞かれてでもしたらまずいのか僕の耳元でボソッという。


「なんで?」


 まだこの街に来たばかりの僕には意味がわからなかった。


「その組織は、この街の裏組織すべてをまとめるリーダー的組織なのでこの街の法律も経済にも関わっているんです。しかも、人身売買をしているっていう噂があるんですよ。だから、あまり話題に出さない方がいいと思います」


 カナンさんはそう言ってくれる。多分、忠告だろう。


「そうなんだ、ありがとう。はいこれお金4000ゴルド」


 僕は腰につけたバッグから1000goldと書いてある紙を四枚渡す。それを見てカンナさんは目を丸くする。


「こんなにも、もらえないです。こんなの街の常識ぐらいですし」


 カンナさんはそう言って両手を左右に振る。


「受け取ってください。僕にとってはそれぐらいの価値がある情報だったんですから」


 僕がそう言うとカンナさんは観念したように。


「じゃあ、貰っておきますね。ありがとうございます」


 と言って僕から四千ゴルド受け取る。


「じゃあまたね」


 僕はそう言ってから鳥の宿があると言われた道を走って行く。


 それから少しして。僕は鳥の宿の前につく。


「あった、ここが鳥の宿か」


 僕は『鳥の宿』と書いてある看板を見つけて、宿に入り部屋を借りた・・・精算は出て行く時にすることにした。


「よし、じゃあ街を見て回るか」


 僕は持っていた旅道具を宿に置き、お金とフード付きの上着を持って街の様子を見に行くために宿を出た。




 ・・・・・・最悪だ。なぜこうなった。


 僕は今、道に迷っている。


「ちょっと時をさかのぼってみよう」


 僕は鳥の宿を出て、商店街を見つけて、ちょうどお腹が減ったから何か食べようと思って店を見ていたら。いきなり大量の人が同じ方向に歩いていて、それに流されて気づいたらこの路地裏にいる。


 『さっき情報屋にあったのがいけなかったの???』


 僕の頭の中でそんな考えが浮かぶ。だが、僕はすぐにそんなことを考えている場合ではないと考えて、周りを見る。


「やばい、もう日が暮れてきた。まさかこんなにも道がこんがらがっていたなん。」


 僕は路地裏をさまよっていると一人のガタイのいい男に話しかけられる。


「おい、あんちゃん」


 男は僕の前に立つ。


「ここがどこの組織のさんかの組織ってわかってきたんだろうな」


 男は僕を脅しているつもりなのだろう。だが、全く怖くない。


「もしかしてデスイーターの組織の傘下ですか?」


 僕は男の態度なんて気にしていないように男に聞くと。


「デスイータを知っているんだったら、今すぐここを離れろ。そしたら今回だけは見逃してやる」


 男はそう言って威張る。・・・・こいつ強いのか?


「えーいやですよ」


 僕は挑発気味に男に言う。すると男は驚き。


「な、そうかせっかく見逃してやろうと思ったが。あんたはここで死ぬという選択をしたんだ、後悔するなよ」


 男は多分、自分の力を価値評価しすぎているのだろう。・・・だって、さっきから僕が放ってる殺気に気づいてないもん。


「この姿を見てもまだそんなことが言えるかな? 身体能力パワーアップX5」


 男はさらにゴツくなって僕にその姿を強調して来た。


「どうだ、この肉体。ビビって声も出ないか?!」


 男は本当に自分の力を価値評価しすぎているらしい。


「燃えろ」


 男の腕が燃える。


「なっなんだこれぇぇぇぇ」


 男は叫び悶える。


「ねぇ、ねぇ、そのまま炎で全身焼かれたくなかったら、あんたがいる組織の場所教えて」


 僕は笑顔で、できる限り相手に恐怖を与えるように言う。


「わかった、わかったから教える。だからこの炎を消してくれ」


 男はそう言う。だが、僕は炎を消さない。


「あんたが本当のことを話してくれるとも限らないのになんで消さなきゃ行けないの?」


 僕は自然に男にそう言うと、男から余裕や侮りなどの表情が消える。


「俺がいる組織の名前はガックだ。この先にある建物を拠点にしている。・・・喋った。だから命だけは助けてくれ」


 男はそう言って頭を地面に擦り付ける。


「もしかしてそれが全部?」


 僕はてっきりこんなに強気でいるのだから結構情報を持っているのかと思ったから、無意識にその言葉が出てしまう。


「本当だ、俺はまだ下っ端の身だ。能力のコントロールがいいとかで組織の中でちやほやされていたから調子に乗っていただけだ」


『わー、こいつの本音駄々漏れだ』


 僕は内心そう思いながら炎を解除する。


「もうどっか行っていいよ」


 僕がそう言うと男は一瞬で路地へと消えて言った。



 僕はそれから、男が喋ったガックという組織を見つけるために歩く。


 少しして。


「ふぅ、ここがガックか結構でかいな。しかも遠かった。どんだけ遠いところに警備つけてんだ10分も歩いたじゃねえか!」


 僕はつい建物の前で叫んでしまう。


「そこを止まれ」


 3階建ての建物の二階のベランダから男が僕に言ってくる。


「ん?」


 僕は男を見上げる。


「動けばお前を殺す」


 男はそう言って腕を上にあげた。瞬間、あたりの建物の屋根やベランダなどから四十人近い銃を持つ人間たちが姿を現す。


「はぁ、完全に僕を殺す気か。・・・・まぁ、いっか」


 僕はため息をした後開き直る。


「ガキなのにすごい余裕だな。やはりガキは自分の危機感というものを知らんのか」


 手を上げたままの男がそう言って笑う。


時空切断タイムカッター


 僕がそう言った瞬間、手を上げている男以外の銃を持っている人たちの首が飛ぶ。

 男はその光景を見て驚いている。


「なんだ、これは、貴様何をした?!」


 男はさっきまで笑っていたはずなのに、今は恐怖に怯えている顔になっている。


「何って、首をはねただけだけど」


 僕がそういうと男はさらに怯えて。


「バケモノー!」


 男はそう言って建物の中に入っていく。


「待てよ、まだ何も聞けてない」


 僕は少し走り、地面からジャンプしてさっきまで男がいた二階のベランダに降り立つ。


『ドシャ』


 何かが潰れる音がした。


「なんだ?」


 僕は中を覗く。そこには男の平に潰された死体があった。


 僕はすぐに戦闘態勢に入り、周りを見る。


「・・・・・え」


 僕は驚きのあまり声が漏れる。

 男の死を確認するように男の死体に近づき完全に潰れていることを確認する青髪の少女がいたのだ。


「それは君がやったの?」


 僕は青髪の少女に聞く。


「はい、もう使えないので殺せと命令されたので」


 少女はそういう。僕はその少女の顔から感情を感じれなかった。


「命令って誰が?」


 僕は青髪少女に聞く。


「それは言えません」


 当然の返答だろう。わかっていたはずなのになぜか期待してしまった。


「もしかしてデスイーター?」


 僕は彼女の返答を無視するかのように質問を続ける。


「その質問には答えられません。あなたに答える義理はありませんから。

 先に忠告しておきます、この街の裏に関わるのはやめたほうがいいです。そんなバカなことはやめてさっさとこの街から出て言った方が身のためです」


 青い髪の少女はそう言った。その時の少女の顔には少しだが悲しさが見えた。


「なんでそんなことを僕に?」

「わかりません。なんででしょう? 無駄話をしすぎてしまいました、それでは忠告はしましたから」


 そういうと彼女は去って行った。

 僕は彼女に僕と同じような過去を持つものだと直感した。だが、その根拠はない。



SIDE



 私は何を言っているのだろう。

 彼からは私と同じような空気が感じられた、そのせいかもしれない。

 でも、なんで彼を助けるような忠告をしたんだろう。感情はあの時捨てたはずなのに。


 私は月明かりの夜を走って行った。





 ガックの資料庫であろうそこにはデスイーターとの取引情報であろう紙が何十枚も大切に保管されていた・・・そのほかの資料とかは全部床とかにばらまいてあった。


「どれどれ、デスイーターの危険人物とその他の情報・・・これあっていいの?」


 そう思いながらも読み上げていく。


『デスイーターはこの街の裏の組織のリーダーだ。なぜリーダーなのかというとデスイーターには牙と呼ばれる4人の超異能力者がいる。その中で一番強いウォルフという男がデスイーターのリーダー。この男の能力は特定できていない、年齢も共に不明予測もつかない。

 次に強いのはラジルという男だ。彼は3種類能力を持っているがそれ一つ一つはあまり強いものではない。だから、能力同士を組み合わせて強くしているらしい。

 一つ目は電気を右腕から出す能力。

 二つ目は水を生成する能力「「コントロールはできない」」

 三つ目は風を操る能力「「風がないところでは意味がないらしい」」


 ラジルの次はウォルフの女と噂される女性ハイネ。彼女はちょっと不思議な能力を使う彼女は自分の体を煙に変える能力を持っているその煙の効果は彼女の感情で変わるらしい。

 つぎに、氷を操る青髪で赤い目をした少女。彼女はラジルの奴隷でガジルの命令に従い用無しの組織を次々に潰して行っている。彼女に名前はない。』


 僕は紙に書いてあったことを読む。


『最後のってやっぱあの子だよね?』


 僕はそう思いながらも次の資料に目を通す。


 そして、資料を漁ってから時間がだいぶ経った頃。


 いつのまにか朝になっていた・・・いくら倒したからと行って敵の本拠地で言ってりしすぎだろ僕。

 まあ、結構な情報は集められた。この街にある裏組織はデスイーターを含めてあと三つだということがわかった。

 結構少ないと思ったが、読んでるうちにそうではないということがわかった。

 つい先月までは30個も裏組織がありウォルフが多すぎるといいデスイーターを含めた3個にしたそうだ。それに従わなかった組織はあの青髪の少女が潰して行っているらしい。


「次はデスイーター以外の組織を潰しに行こう。今日の僕は運がいい。だって、デスイーター以外の組織の場所の地図見つけたもん」


 僕はそう呟き、次の組織、セシルを潰す準備をしに一旦、鳥の宿へと帰ろうとしたその時・・・・・・・


『道に迷ってたの忘れてた』


 僕はやっとここにきた一番の理由を思い出した。


 それから3時間ほどさまよって、やっと鳥の宿の前に着いた。そしてその日は一日中寝た。

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